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20代 男性のご相談

熱傷ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 広い範囲に及ぶやけど
◻︎ 白っぽい・黒褐色で固く、痛みや感覚が乏しい変化がある
◻︎ 化学物質や電気による受傷
◻︎ 膿・発赤・発熱など感染が疑われる
◻︎ 乳幼児・高齢者、糖尿病や神経疾患があり重症化しやすい方のやけど

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談

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医師の回答

熱湯や蒸気、熱した油、アイロン、火など熱いものに接触することにより皮膚が損傷された状態です。

熱や火による皮膚の損傷。
適切な処置でキズあとを残さないケアを

熱傷(ねっしょう)は、火や熱い液体、蒸気などによって皮ふやその下の組織が傷ついた状態のことです。一般に「やけど」と呼ばれます。 赤くヒリヒリする軽いものから、水ぶくれができたり、皮ふが白く硬くなったりする深いものまで重さはいろいろです。広い範囲や深いやけどは、 命に関わることもあるため、早めの医療機関での治療が大切です。

U.Eさん

味噌汁が太ももにかかり、赤くヒリヒリした後に水ぶくれが出て不安でした。まずシャワーの流水で20分ほど冷やし、服が貼り付いた部分は無理に剥がさず、そのまま冷却を続けました。痛みは少し和らいだものの白っぽい所も見え、受診を考えました。

オンラインで相談し、医師の指示で水疱は潰さず、ハイドロコロイド材で保護。必要に応じて鎮痛薬を使い、入浴時は擦らないよう注意しました。氷は使わないことを学び、跡を残さないケアの大切さを実感しました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

赤みとヒリヒリで水疱なし(I度に相当)

水疱がある/強い痛み(II度浅達に相当)

白っぽい・黒褐色で固い/感覚が鈍い(II度深達〜III度に相当)

02

経過・持続

数日で改善しやすい(I度)

治癒に時間がかかり跡が残ることがある(深い熱傷)

03

随伴症状・背景

膿・発赤・発熱など感染が疑われる

広い範囲に及ぶ

化学物質や電気による受傷

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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熱傷とは?

熱傷(やけど)とは、熱湯・火炎・蒸気・油といった高温や、化学物質・電気などの刺激によって皮膚や粘膜が損傷する疾患の総称です。触れた直後には赤みやヒリヒリした痛みが出て、時間が経つと水ぶくれや白っぽい変化、感覚の鈍さが生じることもあります。損傷の深さに応じて、表皮のみの浅いものから、皮膚全層に及ぶ深いものまで分類され、後に瘢痕(はんこん)や色素沈着を残す場合があります。特に乳幼児や高齢者は皮膚が薄く、軽い熱傷でも重症化しやすい点に注意が必要です。

熱傷にはいくつかの分類があります。たとえばI度熱傷は表皮までの損傷で赤みと痛みを伴い、数日で回復します。II度浅達性では水ぶくれと強い痛みが特徴で、1〜2週間程度で治癒します。II度深達性では白っぽい皮膚変化が見られ、治癒に時間がかかり瘢痕を残すことがあります。III度熱傷では皮膚が焦げたように変化し感覚が失われ、自然治癒せず手術が必要になることもあります。

【主な原因】

  • 熱湯・飲料・味噌汁など熱い液体のこぼれ

  • ストーブ・アイロン・ヘアアイロンなど高温器具との接触

  • 電子レンジ加熱直後の食品やカイロの熱

  • 強い日焼けや紫外線による熱傷

  • 化学物質による化学熱傷

  • 電流による電撃傷

好発部位としては、調理中の事故による上肢や胸部、ストーブ接触による下肢、アイロンやカイロによる局所などが多くみられます。乳幼児や高齢者、また感覚が鈍い糖尿病や神経疾患の方では注意が必要です。

進行は、まず赤みと痛みが出て、その後水疱形成やただれを生じます。掻き壊しや摩擦で悪化すると滲出液が増え、感染を併発することもあります。慢性化すると瘢痕や関節部のひきつれ(瘢痕拘縮)を残すことがあり、生活に支障を及ぼします。乾燥、摩擦、紫外線、発熱などが悪化因子となりやすいため、適切な処置と早期の受診が後遺症を防ぎ、生活の質を守ることにつながります。

応急処置(今日できること)

  • 直ちに流水で15〜30分冷却(最重要)。氷は使わない

  • 衣類が皮膚に貼り付いていても剥がさず、そのまま冷やす

  • 水疱は潰さない(感染予防)

  • 大範囲の熱傷では、冷却後に体温保持(低体温予防、特に小児)

一般的な熱傷治療

① 【基本情報と分類】
▶ 熱傷は熱や化学物質による皮膚の損傷で、深さと広がりが重症度評価に重要
I度(表皮のみ) 発赤・ヒリヒリ痛みあり・水疱なし 日焼けなど。1週間程度で自然治癒
II度浅達(浅達性) 水疱形成・発赤・強い痛み 真皮浅層まで。跡を残さず治ることが多い
II度深達(深達性) 白色~黄褐色・水疱・感覚鈍麻 真皮深層まで。瘢痕残ることがあり、治癒に時間
III度(全層) 炭化・黒褐色または白色・感覚消失 皮下組織まで壊死。手術的治療(植皮など)要検討

② 【初期対応(応急処置)】
▶ 重症化予防に最初の対応が非常に重要!
冷却(流水で15〜30分) 最も重要な処置。ただし氷は使用しない(凍傷リスクあり)
衣類は脱がずに冷やす 衣類が皮膚にくっついていても、無理に剥がさずそのまま流水冷却
水疱は潰さない 感染リスクが高まるため医師の指示があるまで触らない
大範囲熱傷では低体温予防 冷却後はタオル・毛布などで体温保持を意識(特に小児)

③ 【外用薬治療(軽度〜中等度熱傷)】
▶ 深さ・部位・感染の有無に応じて薬剤を使い分ける
銀含有薬剤 スルファジアジン銀(ゲーベンクリーム) 抗菌+保湿作用。II〜III度熱傷の感染予防に用いられる
ヨウ素含有薬剤 イソジンシュガーパスタなど 化膿予防目的。やや刺激あり、顔面や乳幼児では注意
保湿性軟膏 アズノール、ワセリンなど 浅い熱傷に。創傷保護・治癒促進
絆創膏・ドレッシング材 ハイドロコロイド(デュオアクティブなど) 滲出液が多い場合に使用。痛み軽減・湿潤環境の維持が可能

④ 【全身管理・内服治療(必要時)】
痛み止め アセトアミノフェン、NSAIDsなど。小児では発熱との区別も大切
抗生剤(感染時) セフェム系・ペニシリン系などを使用。膿・発赤・発熱があれば内服や点滴を検討
水分・電解質補正(広範囲) 特に乳幼児は脱水リスク高。口から飲めない場合は輸液が必要
破傷風予防 外傷が大きい・不衛生な創がある場合は破傷風トキソイドの接種を検討

病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:受傷状況や熱源を確認し、皮膚の色・水疱の有無・痛みの程度を観察します。熱傷の深さや範囲を迅速に把握するための基本検査です。受診直後から行われます。

  • 熱傷面積の評価(九の法則・Lund and Browder図):身体表面積に対する熱傷の割合を算出し、輸液や入院の必要性を判断します。特に小児では年齢別の図表を用いて正確に評価します。

  • 血液検査:広範囲熱傷では電解質異常・脱水・炎症反応(CRPや白血球数)を把握します。入院時や経過中に繰り返し行い、全身管理に役立ちます。

  • 細菌培養検査:水疱やびらん部に感染が疑われる場合に実施します。起因菌を同定し、抗菌薬の選択に役立てます。結果が出るまで数日かかることがあります。

  • 皮膚生検:熱傷の深さが判別困難なときに行われます。局所麻酔下で組織を採取し、治癒の可能性や手術適応を評価します。小さな瘢痕を残す可能性があります。

  • 画像検査(必要時):電撃傷や深部損傷が疑われる場合にMRIやエコーを行い、筋肉・血管・神経への影響を確認します。

他の熱傷との違いは?

I度(表皮まで)

表皮 赤くヒリヒリ 強い 数日で自然治癒

I度(浅達)

真皮浅層 ピンク・水ぶくれ とても痛い 約1〜2週間で回復

II度(深達)

真皮深層 白っぽい・湿っている 鈍い痛み 2〜3週間以上/跡が残ることも

III度

皮下組織まで 白・黒・乾燥・無感覚 感じにくい 自然治癒しない/手術が必要

熱傷の特徴をチェック!

◻︎ 広い範囲に及ぶやけど
◻︎ 白っぽい・黒褐色で固く、痛みや感覚が乏しい変化がある
◻︎ 化学物質や電気による受傷
◻︎ 膿・発赤・発熱など感染が疑われる
◻︎ 乳幼児・高齢者、糖尿病や神経疾患があり重症化しやすい方のやけど

▶︎ これらに当てはまれば、「熱傷」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 広い範囲に及ぶやけど
◻︎ 白っぽい・黒褐色で固い/感覚が乏しい
◻︎ 化学物質や電気による受傷
◻︎ 膿・発赤・発熱など感染が疑われる
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:広い範囲、白っぽい/黒褐色・感覚低下など深い変化が疑われる、化学物質・電気による受傷、乳幼児や高齢者の熱傷

早めに受診:水疱やただれがある、痛みが強い、滲出液が多い

様子見可:赤みとヒリヒリのみで軽度(I度相当)。悪化や感染徴候があれば相談を

予防のポイント

  • 調理中の熱湯・油は子どもの手が届かない位置に置く

  • ストーブやアイロンは使用後すぐ片付ける/ヘアアイロンも注意

  • 電子レンジで加熱した食品や離乳食の温度を必ず確認

  • カイロや湯たんぽはカバー越しに使用し、直接当てない

  • 強い紫外線を避け、日焼け止めを使用

  • 化学薬品の取り扱いは手袋・保護具を使用

  • 子どもの入浴は温度確認を徹底/飲酒・疲労時の入浴での熱傷にも注意

FAQ

Q1. まず何をすべきですか?

すぐに 流水で15〜30分冷却 します。衣類が貼り付いていても無理に剥がさず、そのまま冷やしてください。水疱は 潰さない ことが重要です。

Q2. 市販薬やガーゼは使えますか?

浅い熱傷では 保湿性軟膏ハイドロコロイド材 を用いることがあります。刺激のある薬剤や自己判断での長期使用は避け、医師の指示に従ってください。

Q3. 受診の目安は?

広い範囲白っぽい/黒褐色・感覚低下、化学物質・電気による受傷、膿や発熱など感染が疑われる場合は早めに受診してください。

Q4. 検査は何をしますか?

視診・問診に加え、必要に応じて 熱傷面積の評価(九の法則・Lund and Browder図)や血液検査、培養検査、深さが不明な場合は皮膚生検、電撃傷では画像検査を行います。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。