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30代 男性のご相談

疥癬ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 全身が厚い垢のようにガサガサして広がる(角化型疥癬が疑われる/感染力が非常に強い)
◻︎ 家族・同居人や施設内で、複数人に同様の強いかゆみが出ている
◻︎ 指の間・手首・陰部などに白っぽい線状の「疥癬トンネル」+夜間に強いかゆみ
◻︎ かゆみが数週間続く、治療しても湿疹がよくならない
◻︎ 高齢者・免疫低下・長期入院で急速に悪化、全身に拡大している

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談

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医師の回答

疥癬は、ヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)というたいへん小さなダニが人の皮膚に寄生して起こる、かゆみを伴う病気です。疥癬は、ヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)というたいへん小さなダニが人の皮膚に寄生して起こる、かゆみを伴う病気です。

全身のかゆみ・家族もかゆい?
それ、「ダニ」が原因の皮ふ病かもしれません

①顔・頭を除く全身(とくに指の間や陰部)にかゆみの強い赤いブツブツや疥癬トンネル※がみられる ②全身が垢が増えたような状態になるという2つのタイプがあります。家族内、集団生活をする寮や病院などでシーツや人を介して広がります。 ②は珍しいですが感染力が強いので注意が必要です。

T.Eさん

夜だけ強くなるかゆみが続き、指の間と手首に細い白い線のようなものも見えました。家族も同じ時期にかゆくなり、不安で受診。虫刺されと思い込んでいたので、疥癬と聞いて驚きました。 診断はダーモスコープと角質の検査で確定。指示通り外用薬を全身に塗り、同居家族も同時に治療しました。洗濯やタオルの共用禁止を徹底したところ、徐々に落ち着きました。「自己判断しない」ことの大切さを実感しました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

夜にかゆみが強くなる

指の間・手首・わき・腰や陰部に赤いぶつぶつ/小水ぶくれ/かさぶた

線状の白っぽい盛り上がり(疥癬トンネル)がある

02

経過・持続

感染から1〜3週間で症状が出ることがある

かゆみが数週間続く

治療後もしばらくかゆみが残ることがある(炎症が続くため)

03

随伴症状・背景

家族や同居人も同時期にかゆい

寮・施設・病院など集団生活の場にいる/介護・性接触がある

高齢・免疫低下・長期入院で全身がガサガサに厚くなる(角化型)

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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疥癬とは?

疥癬(かいせん)は、「ヒゼンダニ」という非常に小さなダニが人の皮膚に寄生して起こる、かゆみを伴う感染性の皮膚疾患です。このダニは皮膚の角質層にトンネルを掘って住みつき、卵を産んだりフンを排出することでアレルギー反応や炎症を引き起こします。その結果、皮膚に赤いブツブツや湿疹、水ぶくれ、小さなかさぶた、そして強いかゆみが現れます。特に夜間にかゆみが増すのが特徴で、「虫刺されだと思っていたけど全然治らない」「夜だけかゆくなる」「家族にも同じ症状がある」場合は、疥癬の可能性が考えられます。

疥癬の症状が出やすい部位は、指の間、手首、ひじ、わきの下、足首、足の裏、腰、おしり、陰部まわりなどです。高齢者や寝たきりの方では、背中を含む全身に症状が広がることもあります。疥癬に感染してからかゆみが出るまでの潜伏期間は1〜3週間程度で、見た目がアトピー性皮膚炎や虫刺されと似ているため、診断が遅れることも少なくありません。

疥癬には主に2つのタイプがあります。1つ目は、指の間や陰部などに赤い湿疹や疥癬トンネルと呼ばれる白っぽい線状の盛り上がりができる通常型。もう1つは、全身が垢のように厚くなる角化型(ノルウェー疥癬)で、こちらは非常に感染力が強く、集団生活の場での拡大リスクが高いため特に注意が必要です。角化型はまれですが、免疫力が落ちている人や高齢者、長期入院者などで見られやすい傾向があります。

感染経路としては、主に皮膚同士の直接接触(家族間、介護、性行為など)によるものですが、寝具やタオル、衣類などを介して間接的に感染することもあります。特に高齢者施設、病院、寮などの集団生活の場では注意が必要です。感染力が高いため、発見が遅れると周囲の人にも広がりやすくなります。

治療は、抗ダニ薬の塗り薬や飲み薬が基本です。外用薬にはイベルメクチンクリームやスミスリンローションなどがあり、首から下の全身に1〜2回塗布することでダニを駆除します。内服薬としてはイベルメクチン錠があり、外用が難しい方や重症の方に使われることがあります。ダニが死滅しても、皮膚の炎症が続くためにかゆみが残ることがあり、その場合は抗ヒスタミン薬などのかゆみ止めで対応します。

感染を広げないためには、家族や同居人を含めた同時治療が重要です。衣類、寝具、タオルは毎日交換し、60℃以上のお湯で洗濯するのが理想的です。介護や接触時には手袋と手洗いを徹底し、施設や病院などでは隔離や感染報告などの集団感染対策が求められます。

「かゆみが何週間も続いている」「家族もかゆがっている」「治療しても湿疹がよくならない」——そんなときは、早めに皮膚科を受診することが大切です。疥癬は目に見えないダニによる感染症であるため、自己判断は難しく、正確な診断には皮膚科での検査が必要です。

応急処置(今日できること)

  • 家族・同居人も含めて同時に受診・治療の相談をする

  • 衣類・寝具・タオルは毎日交換し、高温(目安:60℃以上)で洗濯する

  • 施設・病院・介護現場では、手袋と手洗いを徹底し、必要に応じて隔離・報告など集団感染対策を行う

  • 靴下はこまめに替えて毎日洗う/靴はローテーションで使用(衛生管理の徹底)

一般的な疥癬治療に使われる薬

① 【第一選択:外用薬】
▶ イベルメクチン内服と併用する場合も多い

フェノトリン スミスリンローション(外用) 1回塗布 → 翌日洗い流す → 1週間後に再度塗布(合計2回)
ベンジルベンゾエート(BBE) ※日本では未承認 海外で使用されることがある

🔸 首から下の全身に塗布(顔を除く)。
🔸 かゆみが続いても、ダニは死滅していることが多いため、決められた回数で終了する。

② 【内服薬:全身投与】
▶ イベルメクチン(ストロメクトール錠)

ストロメクトール錠 通常は1回200μg/kg 1回内服 → 1週間後にもう1回内服(計2回)

🔸 角化型疥癬や高齢者施設での集団感染例では特に有効
🔸 内服は体重に応じて量を調整

③ 【補助的な治療薬】
▶ かゆみ・炎症対策(ダニが死んでもかゆみが残るため)

抗ヒスタミン薬(内服) アレグラ、ザイザル、アレロックなど かゆみを抑える
ステロイド外用薬 ロコイド、リンデロンなど 掻きこわしや炎症が強い部位に短期使用

④ 【重症・角化型疥癬の場合】
イベルメクチン内服を複数回繰り返す(週1回 × 3〜4回)

角化を取るための角質溶解薬(尿素クリーム、サリチル酸ワセリン)

感染対策のため、接触者も一斉治療(予防投与含む)

病院で何を調べるの?

1.  視診(皮膚の観察)
  • 医師が実際に患部を見て、湿疹の分布や特徴を確認します。

  • 疥癬に特徴的な疥癬トンネル(白っぽい線状の発疹)があるかをチェックします。

  • 特に指の間、手首、わきの下、陰部、足裏などを重点的に診ます。

2.  ダーモスコピー(拡大鏡)による観察
  • ダーモスコープという拡大鏡で皮膚を詳しく観察し、ヒゼンダニが掘ったトンネルやダニの姿を確認します。

  • 肉眼では見えにくい「かすかな線」や「点状の黒い影」なども確認できます。

3.  皮膚検査(角質採取)
  • 疑わしい部位の角質をこすり取って、顕微鏡でヒゼンダニ本体・卵・フンなどを調べます。

  • 結果がその場でわかることも多く、確定診断に重要です。

「疥癬」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

アトピー性皮膚炎

幼少期からのかゆみ・乾燥肌 家族歴あり/左右対称/夜間のかゆみはやや軽い

接触皮膚炎(かぶれ)

特定の物質に触れて赤くなる 限定された部位に強く出る/原因に心当たりがあることが多い

薬疹(やくしん)

薬によって全身に発疹 対称性/薬の服用歴あり

虫刺され

単発・赤く腫れる/かゆみも強い 季節・屋外/左右非対称に出ることが多い

尋常性乾癬

肘・膝などに白い粉状の皮むけ 明瞭な境界/かゆみは軽め/血縁者に同じ病気があることも

ノルウェー疥癬(角化型疥癬)

高齢者や免疫低下時に起きる重症型 全身の皮膚がガサガサに厚くなる/接触感染リスク大⚠️

疥癬の特徴をチェック!

◻︎ 全身が厚い垢のようにガサガサして広がる(角化型疥癬が疑われる/感染力が非常に強い)
◻︎ 家族・同居人や施設内で、複数人に同様の強いかゆみが出ている
◻︎ 指の間・手首・陰部などに白っぽい線状の「疥癬トンネル」+夜間に強いかゆみ
◻︎ かゆみが数週間続く、治療しても湿疹がよくならない
◻︎ 高齢者・免疫低下・長期入院で急速に悪化、全身に拡大している

▶︎ これらに当てはまれば、「疥癬」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 強い拍動痛や指全体の腫れ・熱感
◻︎ 明らかな膿の貯留
◻︎ 発熱・リンパ節腫脹を伴う
◻︎ 糖尿病・免疫低下がある/急速に悪化
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:角化型が疑われる/施設・寮・病院などで複数人に拡大している

早めに受診:かゆみが何週間も続く/家族・同居人にも同様の症状/治療しても湿疹が改善しない

様子見可:本文に明記はありません。迷う場合も早めに医師へ相談してください。

予防のポイント

  • 衣類・タオル・寝具は毎日交換し、高温で洗濯

  • 家族でタオル・スリッパの共用は避ける

  • 靴下はこまめに替え、靴はローテーション

  • 施設・介護現場では手袋と手洗いを徹底

  • 予防・セルフケアは状況により異なるため、次回受診時に医師へ相談し指示に従ってください

FAQ

Q1. 家族もかゆい場合、どうすれば?

疥癬は接触で広がります。家族・同居人を含め同時に受診し、一斉治療と洗濯・タオル共用禁止などの衛生管理を徹底してください。

Q2. 治療を始めてもかゆいのはなぜ?

ダニは死滅していても皮膚の炎症が続くため、しばらくかゆみが残ることがあります。抗ヒスタミン薬やステロイド外用で症状を抑えつつ、指示通りに治療を完了しましょう。

Q3. 角化型(ノルウェー疥癬)は何が違う?

全身が厚い角化でガサガサになり、感染力が非常に強いタイプです。隔離や一斉治療など、施設内では特に対策が必要になります。早急に受診してください。

Q4. 病院ではどんな検査をする?

視診で分布と特徴を確認し、ダーモスコピーでトンネルやダニの所見を観察します。角質をこすり取って顕微鏡でダニ・卵・フンを確認する検査が確定診断に有用です。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。