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20代 男性のご相談

耳瘻孔ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 耳の前が急に赤く腫れあがり、強い痛みや発熱を伴う
◻︎ 膿がたまってパンパンに腫れている(切開排膿が必要なことあり)
◻︎ 赤み・腫れ・痛み・膿などの感染徴候がある
◻︎ 分泌物が長く続く/同じ部位で感染を繰り返す
◻︎ 広がる強い炎症(蜂窩織炎など)が疑われる

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談

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医師の回答

主に耳前部や耳輪前縁に存在する先天性の小孔です。

耳の前に小さな穴…?
それは「耳瘻孔」という生まれつきのくぼみかも!?

主に耳前部や耳輪前縁に存在する先天性の小孔です。開口部は小さくても皮下で広い嚢胞を形成していたり、外耳道方向に向かって長い瘻管を形成することもあります。感染(化膿)を来すことがあり、それにより初めて発見されることもあります。感染を繰り返す場合には、それが落ち着いてから瘻孔の切除術を行います。

K.Sさん

中学生の頃から、耳の前に小さな点のようなくぼみがありました。普段は何も問題ありませんでしたが、社会人になってから忙しい時期に赤く腫れて痛み、少し膿も出て驚きました。自分で押すのは怖くて、その日は触らずに過ごしました。

オンラインで相談し、抗菌薬で炎症を落ち着けてもらいました。再発しやすいと聞き、いじらない・やさしく洗う を続けています。今後、また繰り返すようなら炎症がない時期に手術で摘出する選択肢もあると理解でき、不安が減りました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

耳の前(耳珠付近)に小さな穴やくぼみがある

無症状〜分泌物が少量/ときどき腫れる

強い痛み・発熱・広い赤みがある(要注意)

02

経過・持続

昔からある先天的なくぼみ(片側が多い/両側ことも)

数日で落ち着く軽い腫れ〜感染を繰り返すことがある

03

随伴症状・背景

膿やにおいのある分泌物が出ることがある

押した・ピアスなどで刺激した後に悪化しやすい

同部位にしこり様の袋(表皮嚢腫)とは異なり「開口部」が見える

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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耳瘻孔とは?

耳瘻孔(じろうこう)**とは、耳の前に小さな穴(くぼみ)が見られる先天性の皮膚構造異常の総称です。胎児期に耳の組織が形成される過程で皮膚や組織の一部が閉じきらず、そのまま小さな瘻孔として残ることで生じます。通常は無症状で生活に支障はありませんが、分泌物が出たり、まれに感染を繰り返して腫れや痛みを伴うことがあります。日本では約1%に見られ、アジア圏で比較的多く報告されています。

耳瘻孔には明確な「型」はなく、片側だけに生じることが多いものの、両側にみられる例もあります。耳珠〔じじゅ〕の近くやその上方に小さな点状の開口部があり、奥に瘻管(トンネル状の組織)が続いていることもあります。無症状のまま一生過ごす方もいれば、炎症を繰り返す例もあり、経過には幅があります。

【主な原因】

  • 胎児期の耳介形成過程で組織の癒合が不完全となった

  • 皮膚や皮下組織の一部が残存して瘻孔を形成した

  • 遺伝的背景の関与が指摘される場合もある

好発部位は耳の前、特に耳珠付近や耳の付け根です。片耳のみの方が多いですが、まれに両耳に見られることもあります。男女差は少なく、特定の生活習慣や環境要因による発症ではなく、生まれつきの特徴として認められます。

経過としては、無症状であれば問題なく経過しますが、分泌物が出口にたまり感染を起こすと、赤みや腫れ、膿が出ることがあります。急性期は抗生物質の投与や切開排膿で改善しますが、炎症を繰り返すと慢性的に瘻管が残り、再発を招きます。炎症が落ち着いた時期に瘻管ごと摘出する手術を行うと再発予防につながります。早期に専門医へ相談することで、不必要な腫れや痛みを防ぎ、生活の質を保つことができます。

応急処置(今日できること)

  • 無症状なら、石けんと水でやさしく洗い清潔を保つ。こすらない・押さない。

  • 分泌があっても自分で絞り出さない。刺激やピアスは避ける。

  • 赤み・腫れ・痛み・膿などが出たら早めに受診。

  • 膿で強く腫れている場合は切開排膿が必要になることがある(自己処置は避ける)。

一般的な耳瘻孔治療に使われる薬

① 【基本情報と特徴】
▶ 耳瘻孔は生まれつき存在する、小さな“耳のあな”(皮膚に開口した管状構造)
発生時期 妊娠6〜9週頃、耳介形成の過程で皮膚が閉じきらずに残った先天奇形
好発部位 耳のつけ根(耳輪の前方・上部)に小さな穴が見られる。まれに耳の後ろ・頬などにも発生
発見時期 多くは出生時に確認される(髪の毛に隠れて見逃されることも)
好発側 片側性が多いが、両側性や家族性もある
呼び方 「先天性耳瘻孔」「耳瘻」「耳前瘻孔」とも呼ばれる

🔹 耳瘻孔そのものは無害・放置可だが、炎症や感染を繰り返すと治療が必要になる。

② 【基本対応:無症状の場合】
▶ 炎症や分泌がなければ定期的な観察・清潔保持でOK
洗浄 毎日の洗顔・洗髪時に周囲をやさしく洗浄。無理に穴をいじらない・押さないことが重要
ピアス・外傷を避ける 耳の近くに針を刺す・打撲するなどは感染や炎症の引き金になるため注意
感染徴候があれば受診 赤み・腫れ・痛み・膿などが出た場合は早めに耳鼻科・皮膚科へ

🔹 一生なにも起きない人も多いが、思春期〜成人で初めて炎症を起こすこともある。

③ 【炎症・感染が起きた場合】
▶ 赤み・痛み・腫れ・膿などがあるときは急性炎症の治療を優先
抗菌薬内服 セフェム系やペニシリン系などを処方。化膿菌(ブドウ球菌)などが主な原因
抗菌薬外用 ゲンタシン軟膏、フシジン酸軟膏など。排膿がある場合は併用
切開排膿 膿がたまって腫れている場合は局所麻酔で小切開し、排膿処置を行う

🔹 炎症を落ち着けてからでないと根治手術はできないため、まずは急性期の治療をしっかりと。

④ 【再発性・慢性化の場合:手術による摘出】
▶ 感染を繰り返す/膿が長期間出る場合は**根治術(瘻孔摘出術)**を検討
手術方法 耳瘻孔とその奥の管を**完全に切除(瘻孔摘出術)**する
実施時期 感染・炎症が落ち着いてから実施(無症状時が最適)
麻酔 通常は局所麻酔での日帰り手術、小児では全身麻酔が必要なことも
手術時間・傷 手術は30〜60分程度。耳の前に小さな線状の傷が残るが、目立たないことが多い
保険適用 医療保険の対象。繰り返す感染による日常生活障害への対処として適応される

病院で何を調べるの?

  • 視診・触診:耳の前に小さな開口部や瘻孔の有無を確認します。膿や分泌物の有無、炎症の程度も診察で分かります。非侵襲的で基本的な検査です。

  • 超音波検査:瘻管の広がりや深さを把握する目的で行います。皮膚の下にどの程度瘻管が存在するかを簡便に評価できます。特に小児でも負担が少ないのが利点です。

  • 細菌培養検査:膿や分泌物がある場合に採取して培養します。どの菌が感染を起こしているかを調べ、適切な抗生物質選択に役立ちます。結果が出るまで数日を要します。

  • 造影検査(瘻孔造影):瘻孔の形や奥行きを詳しく確認するために造影剤を注入してX線撮影します。手術計画を立てる際に有用ですが、感染がある時期は行いません。

  • 病理検査(摘出後):手術で摘出した瘻孔組織を病理検査で調べます。良性の瘻孔であることを確認し、まれな異常を除外します。手術後1〜2週間で結果が得られます。

「耳瘻孔」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

にきび・湿疹

一時的にできたできものや毛穴の炎症 数日で消える・同じ場所に繰り返し出ることは少ない

表皮嚢腫

皮膚の下にしこり状の袋ができる 瘻孔のような「開いた穴」はない/触るとコリコリ

耳の感染症(蜂窩織炎など)

耳や耳の前が赤く腫れあがり痛みが強い 急な発熱や強い腫れ・痛みがある場合は別の病気の可能性も

耳瘻孔の特徴をチェック!

◻︎ 耳の前が急に赤く腫れあがり、強い痛みや発熱を伴う
◻︎ 膿がたまってパンパンに腫れている(切開排膿が必要なことあり)
◻︎ 赤み・腫れ・痛み・膿などの感染徴候がある
◻︎ 分泌物が長く続く/同じ部位で感染を繰り返す
◻︎ 広がる強い炎症(蜂窩織炎など)が疑われる

▶︎ これらに当てはまれば、「耳瘻孔」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 強い痛み・発熱を伴う腫れ
◻︎ 膿がたまって強く腫脹(切開排膿が必要なことあり)
◻︎ 感染を繰り返す・分泌が長期化
◻︎ 広がる赤み(蜂窩織炎が疑われる)
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:強い痛み・発熱、急に広がる腫れ、膿がたまっている

早めに受診:赤み・腫れ・痛み・膿など感染徴候がある/再発を繰り返す

様子見可:無症状で分泌なし(清潔保持・刺激回避を続け、変化あれば相談)

予防のポイント

  • 穴を押さない・いじらない・自分で絞らない

  • 日々の洗顔・洗髪でやさしく洗い、清潔を保つ

  • ピアスや打撲など耳周囲の刺激を避ける

  • 汗や皮脂がたまりやすい時は早めに洗浄

  • 日常生活の特別な制限は不要だが、悪化時は早めに受診

FAQ

Q1. 手術はいつ受けるのがよいですか?

感染や炎症が落ち着いた時期が適しています。再発を繰り返す場合に根治術(瘻孔摘出術)を検討します。

Q2. 無症状なら放置して大丈夫?

無症状なら経過観察で問題ないことが多いです。清潔保持と刺激回避を続け、変化があれば相談してください。

Q3. 市販薬で治せますか?

感染が起きた場合は医療機関での評価と、抗菌薬や排膿などの治療が必要になることがあります。自己処置は避けてください。

Q4. 手術の痛みや跡が心配です。

多くは局所麻酔で日帰り。耳の前に小さな線状の傷が残りますが、目立ちにくいことが多いとされています。詳細は診察でご確認ください。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。