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10代 女性のご相談

麻疹【はしか】ってどんな病気?

医師の回答

麻疹は、麻疹ウイルスに感染することによって引き起こされる感染症で、一般的に「はしか」とも呼ばれています。 空気感染、飛沫感染、接触感染とさまざまな感染経路があり、強い感染力が特徴です。

〜強い感染力と高熱、発疹が特徴のウイルス感染症〜
原因ウイルスに対して免疫を持たない人が感染すると、2週間前後に倦怠感、喉の痛みがあらわれ、38℃前後の熱が2~4日ほど続きます。一度熱が下がった後、39℃以上の高熱とともに発疹があらわれます。発疹は、顔、頭、耳の後ろから始まり、全身に広がります。口腔粘膜に生じる点状の白色斑(コプリック斑)も特徴的です。また、目の充血が見られることもあります。3~4日で熱が下がり、皮疹ははがれ落ち、濃い色が皮膚に残りながら治ります。 中耳炎、肺炎、脳炎などの合併症を引き起こす場合があります。小児に多くみられます。

麻疹(ましん)とは、麻疹ウイルスにより引き起こされる、強い感染力をもつウイルス性の全身感染症です。高熱や咳、鼻水、結膜充血といったかぜ様の症状で始まり、その後、特徴的な全身性の発疹が現れることが特徴です。子どもに多いと考えられてきましたが、ワクチン未接種の成人でも重症化しやすく、肺炎や中耳炎、脳炎といった合併症を伴うこともあります。日本ではワクチン普及により患者数は減少していますが、海外からの持ち込みによって散発的に流行するため注意が必要です。

代表的な症状の経過は、まず数日間の高熱・咳・鼻水・目の充血が続き、その後、口腔内にコプリック斑という白い小斑点が現れます。さらに発熱が一度下がったのち再上昇し、赤い発疹が顔から体幹・四肢へと広がっていきます。発疹は色素沈着を残しながら消退していきます。

【主な原因】

    • 麻疹ウイルス感染

    • 空気感染、飛沫感染、接触感染

    • 潜伏期から発症直前まで続く高い感染力

    • ワクチン未接種や抗体不足による感受性

麻疹は乳幼児だけでなく、ワクチン接種歴が不十分な成人にも発症します。集団生活の場で広がりやすく、学校や職場、公共交通機関での感染例が報告されています。特に海外渡航歴のある人や、医療・教育関係者はリスクが高いとされています。

発症は潜伏期(約10〜12日)を経て、かぜ様症状から始まり、発疹期、回復期へと移行します。乾燥、発熱、咳やくしゃみによる飛沫などで悪化しやすく、二次感染による肺炎や中耳炎、まれに脳炎を併発することもあります。早期の診断と適切な安静管理、合併症予防が生活の質の保持に重要です。

✅ 治療法(特異的治療薬なし)
麻疹にはウイルスに対する特効薬はなく、対症療法が中心です。

分類 内容
解熱・鎮痛 アセトアミノフェンなど
水分補給 脱水予防/経口または点滴
栄養補給 食欲がない場合は補助的に点滴
抗生物質 二次感染(肺炎や中耳炎)に対して使用
ビタミンA補充 小児ではビタミンA欠乏が重症化因子となるため、WHOは推奨(日本では例外的)

 ◆ 病院で何を調べるの?

    • 視診・問診:発疹の広がり方、発熱経過、コプリック斑の有無を確認します。症状の時期的特徴が診断に有用です。

    • 血液検査(抗体検査):麻疹ウイルスに対するIgM抗体やIgG抗体を調べます。急性感染か既感染かを区別するために用いられます。

    • PCR検査(咽頭ぬぐい液・尿):ウイルス遺伝子を直接検出する検査です。高感度で、確定診断に役立ちます。結果判定には数日を要する場合があります。

    • 胸部X線検査:肺炎などの合併症を疑う場合に行われます。呼吸状態の評価に重要です。

    • 鑑別検査:風疹、突発性発疹、薬疹など、類似の発疹性疾患と区別するため、必要に応じて追加検査が行われます。

🔍 麻疹と間違えやすい類似疾患(鑑別)

風疹(三日はしか)
⇒微熱+発疹+リンパ節腫脹        熱が軽い/発疹が早く消える/合併症が少ない

突発性発疹(乳児)
⇒高熱のあとに発疹/1歳未満に多い        発熱が先→熱が下がってから発疹/機嫌は良い

猩紅熱(しょうこうねつ)
⇒高熱+のどの痛み+発疹/苺舌        溶連菌感染/抗生物質で治る/顔は赤くならない

川崎病
⇒発熱+目の充血+くちびるの赤み+発疹        5日以上高熱/手足のむくみ/心臓の合併症に注意

伝染性紅斑(りんご病)
⇒頬が赤くなる→レース状の発疹        顔に特徴的/熱は軽め/合併症はまれ

薬疹(薬による発疹)
⇒発熱+全身の発疹        服薬歴あり/かゆみが強いことも/左右対称のことが多い

COVID-19(小児)
⇒発熱+発疹+咳など        PCR検査で判明/年齢や症状によって多彩に変化

予防のポイント
定期接種のMRワクチンを2回確実に受ける
過去の接種歴が不明な場合は抗体検査を受ける
成人も不足があれば追加接種を検討する
海外渡航前にワクチン接種や抗体確認を行う
発症者との接触を避け、感染拡大を防ぐ
体調不良時は無理をせず休養・隔離する
手洗い・うがい・マスクで二次感染を予防する
妊娠を希望する女性は事前に免疫の有無を確認する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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