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20代 女性のご相談

皮膚線条ってどんな病気?

医師の回答

皮膚線条は、皮膚が引っ張られることで皮膚に線状のスジが入った状態です。

〜急にあらわれた「スジ状のあと」、それは皮膚の悲鳴かも!?〜
皮膚線条は、皮膚が引っ張られることで皮膚に線状のスジが入った状態です。 
原因はさまざまで、皮膚が引っ張られる状況、成長期に急激に肉付きがよくなる状況、急激に体重が増加する状況などでも生じることがあります。
影響を受けた皮膚が薄くなり、ピンク色になります。かゆみを伴う場合もあります。
特に妊娠時には、妊娠6ヵ月頃から下腹部、乳房、臀部などに妊娠線条(妊娠線)が妊婦の90%以上に認められます。

皮膚線条(ひふせんじょう)とは、皮膚が急激に引き伸ばされたりホルモンの影響を受けたりすることで、真皮(皮膚の中間層)が断裂して現れる線状の皮膚変化を指します。ストレッチマーク、妊娠線、成長線などとも呼ばれ、美容的な悩みにつながりやすい状態です。初期には赤紫色〜赤褐色の線として現れ、時間とともに白色や銀色に変化し、完全に消失することは少ないとされています。かゆみや痛みは伴わないことが多いものの、発生初期には軽いかゆみを感じる場合があります。

皮膚線条には、妊娠線や成長線、肥満や急激な筋肉増加に伴う線条など複数のタイプがあります。腹部、太もも、胸部、腰、二の腕などに出やすく、赤色の新しい線条と、時間が経過して白色に変化した陳旧性の線条とに分けられます。

【主な原因】

  • 急激な体重増加や肥満

  • 妊娠に伴う腹部や乳房の拡大

  • 思春期の急速な成長

  • 筋トレやステロイド使用による筋肉の肥大

  • ホルモンバランスの変化やコラーゲン減少(例:クッシング症候群)

皮膚線条は、妊娠中・出産後の女性、思春期の成長期にある男女、短期間で体重が増加した方、筋肉増強を行う方、長期のステロイド使用歴がある方などに多くみられます。皮膚の柔軟性や体質も関係しており、誰にでも起こりうる変化です。

経過としては、初期には赤や紫色の線状の皮膚変化が出現し、時間の経過とともに炎症が落ち着き、白色や銀色の線へと移行します。悪化因子には皮膚の乾燥、急激な体型変化、ホルモン変動などが挙げられます。美容面での悩みが大きい場合、皮膚科や美容皮膚科での早期相談により、症状の進行を抑えたり改善を図ったりできることがあります。

✅ 治療法(※完全に消すことは困難)
皮膚線条は自然退色(赤→白)して目立たなくなっていきますが、完全に消失することはまれです。
美容目的の治療が主となります。

◆ ①【外用療法】
保湿剤(ヒルドイドなど) 進行抑制・皮膚の柔軟性保持
トレチノイン外用(※自費) ビタミンA誘導体/コラーゲン生成促進・表皮のターンオーバー促進
※注意 妊娠中・授乳中の使用は禁忌です

◆ ②【美容皮膚科的アプローチ(自由診療)】
フラクショナルレーザー 真皮層の再構築(コラーゲン産生刺激)
ダーマペン 微細な傷で自然治癒力を促進し、線条を薄くする
高周波治療(RF) 真皮を加熱して弾力アップを図る
PRP(自己血小板療法) 成長因子で皮膚再生を促進(併用療法)

📌 これらは継続的な治療が必要であり、完全な消失ではなく「目立たなくする」ことが目標です。

 ◆ 病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:皮膚の色調や線状の形態を直接観察し、発症時期や生活背景を確認します。妊娠、体重変動、薬剤使用歴などが重要な情報となります。
  • ダーモスコピー(皮膚鏡検査):拡大して観察することで皮膚線条の色調や皮膚構造の変化を詳しく確認します。初期か陳旧性かの判断に役立ちます。
  • 超音波検査(皮膚エコー):真皮や皮下組織の厚みを評価し、断裂や菲薄化の程度を把握するために行うことがあります。非侵襲的で安全に施行可能です。
  • 血液検査(ホルモン関連):異常に広範囲の皮膚線条がある場合、クッシング症候群などの内分泌疾患を疑い、副腎皮質ホルモンなどの値を測定することがあります。
  • 皮膚生検:まれに他の皮膚疾患と鑑別が必要な際に行われます。局所麻酔下で組織を一部採取し、真皮の断裂や膠原線維の変化を確認します。瘢痕化の可能性があるため慎重に選択されます。

🔍 間違えやすい!皮膚線条の類似疾患(鑑別)

 線状皮膚萎縮症

⇒アトピーやステロイド外用の長期使用後に皮ふがへこむ 表皮が薄くなる/透明感あり/ステロイド歴あり

 皮膚筋炎

⇒皮膚の色素沈着・浮腫+筋力低下/肘・膝にスジ状皮疹 筋肉痛・倦怠感など全身症状あり/血液検査で診断

 リニア状扁平苔癬

⇒紫がかった平らな線状の発疹 かゆみあり/表面が光沢/ネット状の白い模様あり

 皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症)

⇒スジ状・地図状の赤褐色病変 慢性経過/ステロイド無効/皮膚生検で確定

 色素沈着(外傷・湿疹後)

⇒かいたりぶつけたあとに線状に色が残る 皮ふが薄くない/前駆症状がはっきりしている

 クッシング症候群

⇒顔のむくみ・体毛増加・ニキビ+赤紫の皮膚線条 内分泌疾患/血液検査やホルモン検査で確認

予防のポイント
毎日保湿剤を塗って皮膚の柔軟性を保つ
妊娠中や成長期には体重の急激な増加を避ける
適度な運動で筋肉増加を緩やかに行う
入浴やシャワー後に必ずスキンケアをする
皮膚が引き伸ばされる部位を意識してマッサージする
長期のステロイド使用は必ず医師の指示に従う
バランスのよい食事と十分な睡眠で皮膚の再生を助ける
早期に赤い線条を見つけたら皮膚科で相談する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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