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30代 男性のご相談

マラセチア毛包炎ってどんな病気?

医師の回答

マラセチア毛包炎は、マラセチアという常在するカビ(真菌)が毛包で増殖することによって引き起こされる病気です。

〜ニキビかと思ったらカビ!? 背中や肩のブツブツ、実は別の皮膚トラブルかも〜
脂が多い皮膚、高温多湿、ジョギングのTシャツ などの環境下で、マラセチアが異常に増殖することで発症します。
胸や背中などに、毛穴に一致した赤いボツボツとした症状がみられます。症状が悪化すると、赤いボツボツが増え、膿(うみ)もみられ、かゆみを伴う場合もあります。顔にでないことでざ瘡と鑑別されます。再発することもあります。

マラセチア毛包炎(もうほうえん)とは、皮膚に常在する真菌(カビ)の一種であるマラセチア菌が毛穴(毛包)に感染して炎症を起こす皮膚疾患です。ニキビと非常によく似た赤いブツブツや膿疱(のうほう)が現れるため混同されやすいですが、原因菌や治療法が異なるのが特徴です。特に背中や肩、上腕に多発し、かゆみを伴うことが多いため生活の質を下げる要因となります。

たとえば、背中・肩・胸・上腕に小さな赤い丘疹や膿疱が多数出現するタイプ、顔に少数出るタイプ、夏場に汗や皮脂が多いときに悪化するタイプなどがあります。ニキビの薬では改善しないどころか悪化することもあるため、区別が重要です。

【主な原因】

    • マラセチア菌の増殖による毛穴の炎症

    • 汗や湿気など蒸れた環境

    • 皮脂分泌が多い体質やオイリーなスキンケア

    • ステロイド外用の長期使用や免疫低下

蒙古斑はアジア人種、とくに日本人の新生児に非常に多くみられます。欧米人では比較的まれですが、アフリカ系の赤ちゃんでもよくみられることが知られています。出現部位は主におしりや腰、背中下部で、両側性に広がる場合もあります。

経過としては、生後から数年間で徐々に色が薄くなり、多くは就学前に目立たなくなります。まれに遷延性蒙古斑として思春期以降も残ることがありますが、生活に支障をきたすことはほとんどありません。乾燥や摩擦、日焼けなどで悪化することはなく、基本的に進行する病変ではありません。気になる場合には皮膚科で鑑別や経過観察を行うと安心であり、早期に正しい診断を受けることで不要な不安を軽減できます。

✅ 治療薬(抗真菌薬が主体)
◆ 外用薬(軽症~中等症)
分類 薬剤名 備考
抗真菌薬外用

ケトコナゾール外用(ニゾラール®クリーム/ローション)

ルリコナゾール(ルリコン®)

アスタット®、ラミシール®など
| 1日1~2回塗布(数週間以上の継続が必要)
髪の生え際や広範囲にはローションタイプが便利 |

◆ 内服薬(中等症以上、再発例)
分類 薬剤名 備考
抗真菌薬内服

イトラコナゾール(イトリゾール®)

フルコナゾール(ジフルカン®)
| 通常は1〜2週間の短期投与で改善するが、医師の管理下で使用が必要(肝機能などチェック) |

 ◆ 病院で何を調べるの?

    • 視診・問診:皮疹の部位や分布、かゆみの有無などから、ニキビとの違いを確認します。生活習慣や使用薬剤の聞き取りも重要です。
    • 真菌鏡検(KOH法):皮疹の膿や角質を採取し、顕微鏡でマラセチア菌の存在を確認します。即日判定が可能で、鑑別診断に有用です。

    • 細菌培養検査:細菌感染による膿痂疹などとの鑑別を目的に行います。結果が出るまで数日かかることがあり、二次感染の有無を確認できます。

    • ダーモスコピー(皮膚鏡検査):皮膚表面の毛穴に一致した均一な皮疹であるかを観察し、ニキビや他の発疹との違いを把握します。非侵襲的で簡便です。

    • 血液検査:免疫低下や基礎疾患の有無を調べるために行うことがあります。特に再発を繰り返す場合には、全身状態の確認として役立ちます。

🔍 マラセチア毛包炎と間違えやすい類似疾患(鑑別)

尋常性ざ瘡(ニキビ
⇒毛穴の詰まりが原因/顔に多い        痛みや圧痛が強い/白ニキビ・黒ニキビあり/かゆみはあまりなし

毛包炎(バイ菌による)
⇒毛穴に一致して膿を持つ赤いできもの        触ると痛い/1つ1つが独立/原因は細菌(ブドウ球菌)

多発性粉瘤(アテローム)
⇒毛穴の奥に袋状のしこりができる        皮膚の奥にしこり/においのある内容物/かゆみはあまりなし

汗疹(あせも)
⇒細かい赤いぶつぶつ/夏に多い        汗管のつまり/小さい水ぶくれ/かゆみありだが膿疱はまれ

膿痂疹(とびひ)
⇒ジュクジュクした赤い発疹が拡がる        水ぶくれが破れてかさぶたに/広がりが早い/感染性あり

毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)
⇒ひじや太ももにできるザラザラ        触るとブツブツ/痛みもかゆみも軽い/思春期に多い 

予防のポイント
汗をかいたら早めにシャワーや着替えをする
通気性の良い衣類を選ぶ
抗真菌成分を含む洗浄料を活用する
オイル系のスキンケアやボディクリームを控える
運動後は肌を清潔に保つ
かゆみや湿疹は掻かずに治療薬で抑える
睡眠や食生活を整えて免疫を保つ
夏場や再発時期には予防的な外用を継続する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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