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10代 男性のご相談

蒙古斑ってどんな病気?

医師の回答

蒙古斑は、赤ちゃんのお尻や腰にみられる青いあざのことをいいます。

〜赤ちゃんのおしりの青あざ、心配いりません〜
発達過程の異常で、メラニン色素を作り出す色素細胞(メラノサイト)が真皮に残ってしまうことが原因だと考えられています。
生後1週から1ヵ月頃までに、お尻や腰に青いあざがあらわれますが、多くの場合、10歳頃までに自然に消えていくため、治療は行わず、経過観察で対処します。まれに大人になっても残る場合や他の部位に出ること(異所性蒙古斑)もあります。

蒙古斑(もうこはん)とは、新生児や乳児に見られる青〜青紫色のあざ(母斑)の総称です。主におしりや腰、背中の下のほうに出現し、生まれつき存在することが多いのが特徴です。痛みやかゆみを伴うことはなく、ほとんどの場合は小学校入学頃までに自然に薄くなっていきます。外見上は打撲や虐待によるあざと誤解されることもありますが、蒙古斑は病気ではなく、生理的な現象として理解されています。

たとえば、おしりや腰部に出現する典型的な蒙古斑がもっとも多く見られます。まれに腕や足、顔などに現れる「異所性蒙古斑」、学童期以降も残る「遷延性蒙古斑」などの亜型が知られています。似た病変として太田母斑や青色母斑があり、これらは自然に消えにくいため注意が必要です。

【主な原因】

    •  胎児期にメラノサイト(色素細胞)が皮膚の深い層に残ること
    • 人種的要因(アジア系・アフリカ系で頻度が高い)

    • 遺伝的背景や発達の個人差

    • まれに学童期以降まで色素が残存する場合

蒙古斑はアジア人種、とくに日本人の新生児に非常に多くみられます。欧米人では比較的まれですが、アフリカ系の赤ちゃんでもよくみられることが知られています。出現部位は主におしりや腰、背中下部で、両側性に広がる場合もあります。

経過としては、生後から数年間で徐々に色が薄くなり、多くは就学前に目立たなくなります。まれに遷延性蒙古斑として思春期以降も残ることがありますが、生活に支障をきたすことはほとんどありません。乾燥や摩擦、日焼けなどで悪化することはなく、基本的に進行する病変ではありません。気になる場合には皮膚科で鑑別や経過観察を行うと安心であり、早期に正しい診断を受けることで不要な不安を軽減できます。

✅ 治療法(希望がある場合のみ)
基本的には治療不要ですが、学童以降も消えない蒙古斑が目立つ場合には、レーザー治療が行われることもあります。

方法 内容
Qスイッチレーザー(アレキサンドライト/ルビーレーザーなど)
・メラニン色素に反応して破壊する
・数回の照射が必要(間隔をあけて施術)
・効果は比較的良好/保険適用の可能性も(遷延性蒙古斑など)

 ◆ 病院で何を調べるの?

  • 視診・触診:蒙古斑は特徴的な青〜青紫色を示すため、皮膚科医が目で確認することが基本です。形状や部位、経過を総合的に判断し、他のあざとの違いを見極めます。多くは視診のみで診断可能です。

  • 問診:出生時から存在するか、成長に伴う変化を確認します。家族歴や人種背景も診断の参考になります。虐待によるあざとの区別において重要な情報となります。

  • ダーモスコピー(皮膚鏡検査):皮膚表面を拡大観察することで、色素の分布や深さをより詳細に確認できます。蒙古斑と太田母斑・青色母斑などとの鑑別に有用です。

  • 画像記録(写真保存):経過観察のために撮影することがあります。数か月〜数年ごとに比較することで自然退縮の程度を確認できます。診断や説明の補助となります。

  • 必要時の皮膚生検:一般的には不要ですが、他の母斑や腫瘍との鑑別が困難な場合に限り行われます。局所麻酔下で小さく切り取り、組織を顕微鏡で確認します。瘢痕のリスクがあるため、慎重に判断されます。

🔍 蒙古斑と間違えやすい類似疾患(鑑別)

皮下出血(打撲・あざ)
⇒血がにじんでできたあざ/色が変化して治る        経過で色が変わる(赤→紫→黄)/圧痛があることも

児童虐待によるあざ
⇒身体にくり返しできるあざ        場所が不自然(耳・太ももなど)/生活歴に不一致

青色母斑
⇒青っぽく盛り上がる小さなホクロ様のあざ        小さくて丸い/盛り上がりあり/数は少ないことが多い

太田母斑
⇒顔面にできる青灰色のあざ        片側の目の周囲にできる/眼球結膜に色がつくことも

異所性蒙古斑
⇒背中・おしり以外にできる蒙古斑        手足・肩などにできるが、蒙古斑の一種/自然に消えにくい

カフェオレ斑
⇒ミルクティー色のあざ/神経線維腫症の兆候のことも        茶色っぽい/数が多い・大きい場合は注意

 
予防のポイント
強くこすらず、皮膚への摩擦を避ける
紫外線から守るために外出時は日焼け止めや衣服で調整する
乾燥を防ぐために保湿剤を使用する
定期的に写真を撮って経過を確認する
気になる変化があれば皮膚科を受診する
遷延性の場合は思春期以降にレーザー治療を検討する
太田母斑や青色母斑との違いが不安なときは専門医に相談する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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