【保険適用】ヒフメド|皮フ科専門オンライン診療

20代 男性のご相談

梅毒(扁平コンジローム)ってどんな病気?

医師の回答

扁平コンジローマは、肛門周囲、外陰部、わきの下、乳房の下などの皮膚が擦れ合う場所でみられる浸潤した平らに盛り上がったブツブツ[丘疹(きゅうしん)]で、多くの梅毒トレポネーマが存在し、感染性が高い病気です。

〜皮膚や粘膜にできる“しこりや湿疹”……それ、性感染症のサインかも!?〜
第Ⅰ期梅毒の症状が改善して4~10週間ほど経過した後に、粘膜や皮膚から体内に侵入した梅毒トレポネーマが血液によって
全身に運ばれることで、第Ⅱ期に分類される扁平コンジローマを発症します。
扁平コンジローマは、肛門周囲、外陰部、わきの下、乳房の下などの皮膚が擦れ合う場所でみられる浸潤した平らに盛り上がった
ブツブツ[丘疹(きゅうしん)]で、多くの梅毒トレポネーマが存在し、感染性が高い病気です。

梅毒(ばいどく)とは、「トレポネーマ・パリダム」という細菌に感染することで、皮膚や粘膜に潰瘍や発疹など多彩な症状を引き起こす性感染症です。感染の初期には性器や口にしこりや潰瘍が生じ、その後、時間の経過とともに全身に湿疹様の皮疹やリンパ節の腫れ、発熱などを呈します。妊婦に感染があると胎児に先天梅毒を起こす危険があるため、早期発見と治療が極めて重要です。

たとえば、第2期梅毒では、全身の赤い発疹(ばら疹)、脱毛、口腔内の白斑、倦怠感などが現れます。扁平コンジロームはこの時期にみられる代表的な皮膚症状で、肛門周囲や外陰部などに湿疹やいぼ状の病変が出現します。これらは尋常性疣贅(いぼ)や湿疹と紛らわしく、誤認されやすい点に注意が必要です。

【主な原因】

  • トレポネーマ・パリダムという細菌の感染

  • 性交渉による接触感染

  • 妊娠中に母体から胎児への母子感染

  • 潰瘍や皮疹からの体液接触

梅毒は性器・肛門周囲・口腔内など粘膜や皮膚の薄い部位に初発しやすく、若年者や複数のパートナーをもつ方、また妊婦に多くみられます。特に湿潤部位である外陰部や肛門部に扁平コンジロームが出現しやすい傾向があります。

経過は、初期の硬いしこりや潰瘍から始まり、第2期では全身性の発疹や扁平コンジロームが出現します。放置すると神経や臓器に障害を及ぼす後期梅毒へ進行することがあります。掻破や摩擦、発熱やストレスは悪化因子となり得ます。早期に受診し、抗菌薬治療を受けることで生活の質を保ちながら再感染や合併症を防ぐことが可能です。

✅ 治療薬(梅毒全体と同様)
梅毒の標準的な抗菌薬治療で扁平コンジローマも消失します。

アモキシシリン(サワシリン®)+プロベネシド 第一選択/2g/日×2〜4週間(病期に応じて)
ドキシサイクリン ペニシリンアレルギー例に使用(100mg×2/日)
セフトリアキソン静注 神経梅毒や重症例/日帰り治療では難しい

📌 皮膚病変は治療後1〜2週間で改善しはじめ、完全に消失します。

 ◆ 病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:皮疹の形態や分布、発症時期、性交歴などを確認し、梅毒の可能性を推測します。皮膚や粘膜の潰瘍や扁平コンジロームの特徴を直接観察します。

  • 血液検査(抗体検査):RPRやTPHAなどの検査で感染の有無や活動性を判定します。初診時と治療後に繰り返し測定し、抗体価の推移を追跡します。

  • ダーモスコピー:皮膚の病変を拡大して観察し、疣贅や湿疹などとの鑑別を行います。非侵襲的で迅速に確認できる利点があります。

  • 皮膚生検:診断が不明瞭な場合に実施され、病理組織で梅毒性変化を確認します。局所麻酔下で一部を切除し、結果は数日後に判明します。

  • 病原菌検出(暗視野顕微鏡法など):潰瘍や病変部から直接トレポネーマ・パリダムを確認する方法です。迅速に菌体を証明できる一方で、特殊な設備が必要です。

  • パートナー検査:患者の性行為相手も血液検査を受けることが推奨され、感染連鎖を防ぐ目的で重要です。

🔍 扁平コンジロームと間違えやすい!類似疾患(鑑別)

 尖圭コンジローマ HPVによる性感染症

⇒イボ/ツブツブが連なる カリフラワー状/乾いている/かゆみがあることも

 尋常性疣贅(ふつうのいぼ)

⇒手足・陰部にできる硬いいぼ 盛り上がりがしっかり/感染力は低い/ウイルス性

 カンジダ性間擦疹

⇒股・陰部の赤くジュクジュクした湿疹 抗真菌薬で改善/白いカス/強いかゆみ

 接触皮膚炎・湿疹

⇒下着・ナプキンなどでかぶれる 原因に心当たりあり/左右対称のことが多い

 有棘細胞がん(皮膚のがん)

⇒硬くてただれる・出血を伴う 痛み・出血/長く変わらない or 徐々に悪化

 伝染性軟属腫(みずいぼ)

⇒子どもや免疫力低下時に/光沢あるポツポツ 中央が凹んでいる/押すと白い芯が出る

予防のポイント
性交渉時にはコンドームを正しく使用する
定期的に性感染症検査を受ける
陰部や肛門まわりの発疹・しこりを放置しない
パートナーの感染が疑われる場合は一緒に受診する
妊娠中は必ず梅毒検査を受ける
皮膚の異常があれば早めに皮膚科や性感染症外来で相談する
免疫力を保つために十分な睡眠・栄養・ストレス対策を心がける

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。
アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。