
30代 男性のご相談
太田母斑ってどんな病気?

医師の回答
太田母斑(おおたぼはん)は、顔の片側に現れる青〜青黒いあざのような色素斑で、主に目のまわり、頬、こめかみ、額、鼻のわきなどに見られます。

見た目は青あざのようですが、皮膚の深い層(真皮)にメラニン色素をつくるメラノサイトという細胞が残ってしまっていることが原因とされており、病気というよりも「色素細胞の配置に関する体質」とも言えるものです。
太田母斑には、生まれたときから存在する「早発型」と、思春期以降に出現する「遅発型」があり、遅発型のうち一部は「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」という独立した疾患として扱われます。
太田母斑の色は肌の表面ではなく深部から発色するため、コンシーラーやファンデーションでは隠しにくく、見た目に悩みを感じる方も多くいらっしゃいます。片側だけに現れるのが典型的ですが、まれに両側に出るケースや、眼球の白目(結膜)に青みが見られることもあります。発症の背景には遺伝的な体質も関係するとされ、特にアジア系(日本人・韓国人など)の女性に多く見られる傾向があります。
このあざは自然に薄くなることはなく、外用薬や内服薬(ステロイド、美白剤、漢方薬など)では効果がないとされています。そのため、治療の第一選択はレーザー治療となります。色素を少しずつ破壊・排出させる仕組みで、保険適用されることもあります。肌の状態や色の深さ、部位、年齢によって必要な回数は異なりますが、一般的には数回から十数回の治療が必要です。最近では「ピコレーザー」と呼ばれるより新しい機器も登場しており、炎症や色素沈着のリスクが少ないとされる場合もあります。
「太田母斑(おおたぼはん)」に対して、塗り薬や飲み薬などの薬物療法は基本的に無効です。
太田母斑は皮膚の深い層(真皮)に存在するメラニン色素が原因のため、外用薬や内服薬では届かず、効果が期待できません。1回では消えないことが多く、数回〜十数回の照射が必要なことも。小児期から治療を始めると効果が高い傾向もあります!
肌の色や部位、年齢によって反応が違うので、まずは診察を受けてプランを立てましょう。治療の第一選択は「レーザー治療」
▶ 保険適用となる医療用レーザー
・Qスイッチルビーレーザー:太田母斑に保険適用。メラニンを選択的に破壊 ←一般的
・QスイッチNd:YAGレーザー より深部まで届く。肌質や部位で使い分け
・ピコレーザー(ピコ秒レーザー) :炎症や色素沈着が起きにくい傾向。レーザー治療後には一時的に赤みやかさぶたが生じることもありますが、通常は数日から1週間ほどで落ち着き、回数を重ねるごとに徐々に色が薄くなっていきます。
治療の際は、日焼け対策や保湿などのスキンケアも重要で、紫外線による色素沈着を防ぐためにもUVケアを徹底することが推奨されます。
太田母斑と間違えやすい病気
- ADM(後天性真皮メラノサイトーシス) 青~灰色の小さな点が両側に出ることが多い 20代以降に発症/両頬に左右対称で出る
- 扁平母斑(へんぺいぼはん) 茶色く平らなシミ状のアザ 青っぽさがない/表皮性なので浅い
- 異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん) 通常お尻にできる蒙古斑が顔や肩に現れる 赤ちゃんの時に発見される/時間とともに自然に薄くなることも
- 色素性母斑(ほくろ) 小さな茶〜黒の点/少し盛り上がることも 丸い形・成長に伴い変化することもある
- 色素沈着(炎症後) にきび・けがの跡が茶色く残る 局所的・時間経過で少しずつ薄くなる傾向あり
- カフェオレ斑 均一な明るい茶色/神経線維腫症と関係する場合も 境界がはっきり&青みはないのが特徴
🔬 診断方法
皮膚科では、ダーモスコピー・ウッド灯(UVライト)・肌の色調の経過観察などにより診断します。
必要に応じて皮膚生検や画像診断(レーザー治療前)を行うこともあります。
🩺 こんなときは皮膚科へ!
片側の顔に青~黒っぽいアザがある
生まれつき or 思春期以降に出てきたアザが気になる
「シミかな?」と思っていたけど消えない
まぶたや白目(眼球)にも色がある
→ それは太田母斑か、または他の病気かもしれません!
気になるときは、まずは皮膚科で相談してみましょう👩⚕️👨⚕️
日本皮膚科学会 Q&A|太田母斑とはなにか、治療法、レーザーの解説あり
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa21/q04.html
https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/hifu/otabohan.html
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23456162/
https://www.webmd.com/skin-problems-and-treatments/what-is-nevus-of-ota
https://en.wikipedia.org/wiki/Nevus_of_Ota