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接触アレルギーってどんな病気?症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック!
◻︎ 顔・まぶた・口唇・陰部などデリケート部位が急に腫れる/水ぶくれが出た
◻︎ 広い範囲に急速に拡大する、滲出液や痛み・発熱を伴う
◻︎ 市販薬を数日〜1週間使っても改善しない
→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

20代 男性のご相談

接触アレルギーってどんな病気?

医師の回答

接触アレルギーとは、金属やゴム、化粧品、植物など皮ふにふれたものを体が「悪いものだ」とまちがえて反応し、かゆみや赤み、ぶつぶつなどの湿疹を起こす病気で、予防には原因となるものにふれないようにすることが大切です。

〜それ、ただのかぶれじゃないかも〜
接触アレルギー(アレルギー性接触皮膚炎)は、特定の物質にふれた数時間〜数日後に、かゆみや赤み、湿疹が続く状態です。
単なる刺激による「かぶれ」と違い、免疫の遅延型過敏反応〔ちえんがたかびんはんのう〕が関わります。
原因が続くと数週間〜数か月と長引き、慢性化すると皮膚が厚くなることもあります。
悪化や長引く場合は早めの受診を勧めます。
金属、香料、防腐剤、ゴム、植物など多様な因子が知られています。

S.Eさん

大学でアルバイト中にゴム手袋を使うようになってから、手の甲に赤みと強いかゆみが出ました。最初は手荒れと思い保湿だけで様子を見ましたが、同じ場所にぶつぶつが繰り返し、汗をかく日ほど悪化しました。

オンラインで相談し、ゴム手袋の加硫促進剤が疑われると言われました。内側に綿手袋を着けるようにし、指示どおりの外用薬と保湿で数日で落ち着きました。原因を避けることの大切さと、悪化時は我慢せず相談する重要性を学びました。

30秒セルフチェック/診断チャート

STEP 1|症状の出方・強さ

・触れてから数時間〜数日後に赤み・強いかゆみ・ぶつぶつ
・線状/接触部位をなぞるように水疱・湿疹が出ることがある
・同じ場所に繰り返しやすい

STEP 2|経過・持続

・原因に触れ続けると数週間〜数か月と長引く
・掻いて悪化し、滲出やびらん→慢性化で皮膚が厚くなる

STEP 3|随伴症状・背景

・金属アクセ/化粧品/ゴム製品/毛染め/植物/外用薬などに心当たり
・汗・摩擦・長時間の湿潤(洗い物等)で悪化しやすい
・アトピー素因や乾燥肌、特定物質に触れる職業で起こりやすい

—— 判定 ——
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

接触アレルギーとは、皮膚が特定の物質に再び触れたときに免疫が過剰に反応し、赤み・強いかゆみ・ぶつぶつ・ときに水ぶくれを生じる皮膚炎の総称です。症状はふれてから遅れて出るのが特徴で、同じ部位に繰り返し起きます。

代表的な原因には、金属(ニッケル・コバルト・クロム)、香料や防腐剤(イソチアゾリノン類など)を含む化粧品・日焼け止め、ゴム手袋の加硫促進剤、毛染め(パラフェニレンジアミン)、外用薬(抗生物質・局所麻酔薬)、ウルシやキク科植物などがあります。刺激性接触皮膚炎(いわゆる「かぶれ」)とは機序が異なり、しばしば見分けがつきにくい同義語・関連概念として扱われます。

【主な原因】

  • 金属:汗や摩擦で金属イオンが溶け出し、皮膚でアレルゲン化する。

  • 香料・防腐剤:化粧品・洗浄剤・保湿剤など日常品に広く含まれる。

  • ゴム加硫促進剤:手袋や弾性製品で接触部に反復性湿疹を起こす。

  • 毛染め薬(PPD):頭皮・生え際・耳周囲に遅発性の強い炎症を生じる。

  • 植物:ウルシ類・キク科などで線状の紅斑や水疱を作る。

好発部位・なりやすい人としては、金属では耳たぶ・首・腹部(ボタン・ベルト)、ゴムでは手指・手背、化粧品では顔面・まぶた、毛染めでは頭皮・耳周囲に出やすい傾向があります。ピアス・アクセサリーを日常的に使う人、美容・医療・清掃・理美容・建設など特定物質に触れる職種、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の人はバリア機能低下により起こしやすいとされます。

経過は、初期の紅斑・丘疹から、掻破により滲出やびらん、慢性化で苔癬化〔たいせんか〕・色素沈着へ進みます。乾燥、汗、摩擦、ストレス、長時間の湿潤(洗い物・手荒れ)、夏季の発汗や金属の溶出などで悪化しやすいです。

受診の目安・危険サインは、

(1)顔や陰部などデリケート部位の急な腫れ・水疱、
(2)広範囲に拡大・滲出や痛み・発熱を伴う、
(3)市販薬で数日〜1週間で改善しない、などです。

早期に原因回避と適切な外用治療を行うと再発や慢性化を防げます。

応急処置(今日できること)

  • 応急対応は疾患により異なります。自己判断での処置は避け、症状が強い/拡大する/痛む場合は医師に相談してください。

✅ 主な治療薬(接触アレルギー)
① 外用薬(第一選択)

▶ ステロイド外用薬(炎症を抑える基本薬)
赤み・かゆみ・湿疹の強さに応じて選択。

強さ 主な薬剤名 商品名(例)
Very Strong モメタゾンフランカルボン酸 フルメタ など
Strong ベタメタゾン吉草酸エステル リンデロン-VG など
Medium ヒドロコルチゾン酪酸エステル ロコイド など
Weak プレドニゾロン プレドニン軟膏 など

👉 顔や首などデリケートな部位は弱めの薬を選ぶのが基本

▶ タクロリムス軟膏(非ステロイド免疫抑制剤)

プロトピック軟膏
👉 ステロイドを避けたい部位に使用

▶ JAK阻害薬外用

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)
👉 小児にも使いやすい新しい治療薬

▶ 保湿剤

ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)

ワセリン
👉 バリア機能を回復して再発を防ぐ

② 内服薬(かゆみが強い場合)

▶ 抗ヒスタミン薬

セチリジン(ジルテック)
フェキソフェナジン(アレグラ)
オロパタジン(アレロック)

👉 かゆみを軽減

▶ 抗アレルギー薬

エピナスチン(アレジオン)など
👉 かゆみ・炎症の抑制に

③ 注射薬(重症例・慢性例)

▶ デュピクセント(デュピルマブ)

IL-4/IL-13阻害抗体
👉 アトピー性皮膚炎や難治例の接触皮膚炎に適応が広がりつつある

④ 特殊療法・注意点

▶ パッチテストで原因物質を特定
👉 ニッケル、香料、ゴムなど、原因を明確にして避けることが治療の第一歩

▶ 原因物質の回避が最重要

金属アクセサリー → 樹脂コーティング
ゴム手袋 → 綿手袋を内側に着用
化粧品 → 無添加・低刺激のものを選ぶ

📌 まとめ

第一選択はステロイド外用薬で炎症を抑える
かゆみが強ければ抗ヒスタミン薬を併用
重症例は生物学的製剤(デュピクセント)も選択肢

最重要は「原因を避ける」こと!

◆ 病院で何を調べるの?

        • 視診・問診:発生部位と生活歴(装飾品、化粧品、職業や趣味、作業手順)を照らし、原因候補を絞ります。症状の時間経過(接触から48〜72時間の遅発)やパターン(アクセサリー接触部など)から鑑別します。結果は当日説明可能です。

        • パッチテスト:標準・追加アレルゲンを背部に48時間貼付し、48〜96時間で判定します。原因物質を特定する検査で、アレルギー性の証明に有用です。ステロイド外用は検査部位で一時中止が必要、汗や入浴制限など注意点があります。

        • フォトパッチテスト:日焼け止めや香料、薬剤で光線による増悪が疑われるときに、貼付後に一部を紫外線照射して比較します。光アレルギーの有無を見分け、結果は数日後に判定します。

        • 皮膚生検:診断が難しい、他疾患(乾癬、薬疹、自己免疫性疾患など)との鑑別が必要な場合に実施します。局所麻酔で組織を採取し、結果は数日〜1週間程度です。小さな瘢痕の可能性があります。

        • 真菌鏡検(KOH)・培養:手足や体幹の環状病変などで白癬との鑑別が必要なときに行います。迅速に真菌要素の有無を確認し、必要に応じて培養します。

        • 細菌培養:滲出・びらんが強く二次感染が疑われる場合に実施します。起因菌と感受性を確認し、抗菌薬選択の参考にします。

        • 血液検査:炎症の程度や合併症の評価に用いますが、IgE検査は遅延型反応の判別には基本的に有用性が低い点に注意します。

 

皮膚感染症(とびひ・白癬など)

⇒黄色い膿・かさぶた/カビ感染は皮むけ        真菌・細菌検査で陽性/感染の広がり方が違う

刺激性皮膚炎(かぶれ)

⇒強い洗剤や薬品でただれる        免疫反応ではなく刺激そのものが原因

アトピー性皮膚炎

⇒慢性的なかゆみと赤み、乾燥肌        アレルゲン特定が難しい/全身に出やすい

食物アレルギー(皮膚症状型)

⇒食後にじんましんや赤みが出る        接触ではなく摂取後に全身に出る

自己免疫性皮膚疾患(乾癬など)

⇒銀白色のフケ・厚い皮膚        かぶれのような原因物質との関係なし

光線過敏症(日光アレルギー)

⇒日光に当たった部分が赤くブツブツ        光の当たる場所に限局/原因は紫外線

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 顔・まぶた・陰部の急な腫れ/水ぶくれ
◻︎ 広範囲に拡大し滲出・痛み・発熱を伴う
◻︎ 市販薬で数日〜1週間改善しない

→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

受診の目安(タイムライン)

  • 当日〜翌日:顔・陰部などデリケート部位の腫れ/水疱、急速な拡大や痛み・発熱を伴う

  • 早めに受診:原因回避や市販薬でも改善しない、同じ部位に繰り返す

  • 様子見可:軽症で原因が明確に回避でき、悪化がない(不安なら相談を)

予防のポイント

金属アクセは樹脂コーティング/直接触れない工夫を
ゴム手袋は綿手袋を内側に重ねる
化粧品は無添加・低刺激のものを選ぶ
汗・摩擦・長時間の湿潤(洗い物等)を避ける工夫を

FAQ

Q1. パッチテストはどんな検査?どれくらいで結果がわかりますか?
A1. 背部に標準・追加アレルゲンを48時間貼付し、貼付後48〜96時間で判定します。検査部位は一時的に外用を控え、汗や入浴制限などの注意点があります。

Q2. IgE(血液)検査で接触アレルギーはわかりますか?
A2. 接触アレルギーは遅延型反応で、IgE検査の有用性は低いとされます。診断には問診・視診とパッチテストが役立ちます。

Q3. 金属アレルギーでも使えるアクセサリーは?
A3. 直接皮膚に触れない工夫(樹脂コーティング等)が基本です。症状が出る場合は装着を避け、別素材へ切り替えてください。

 

Q4. 髪染めでかぶれたら、いつ再開して良いですか?
A4. 原因の特定と皮膚の回復が先です。自己判断での再開は避け、医師と相談のうえ代替や試験的使用の可否を検討します。

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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