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昆虫アレルギーってどんな病気?症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック!

◻︎ 顔・まぶた・口唇・舌・陰部などが急に腫れる/水ぶくれが出た
◻︎ 息苦しさ・声のかすれ・ぜいぜい、ふらつき・意識低下など全身症状がある
◻︎ 広い範囲に急速に拡大する、強い痛み・発熱・滲出を伴う
◻︎ 数日たっても悪化する、発熱して感染が疑われる
◻︎ 市販薬を数日〜1週間使っても改善しない

→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

10代 男性のご相談

昆虫アレルギーってどんな病気?

医師の回答

昆虫アレルギーとは、ハチやアリ、蚊などに刺されたりかまれたりしたときに体がその成分を「悪いものだ」とまちがえて反応し、赤みやはれ、かゆみなどの症状が出て、重いときはアナフィラキシーという命にかかわる強い症状を起こすことがある病気で、予防には昆虫にさされないよう気をつけることや、アレルギーがあることを医師に伝えておくことが大切です。

〜それ、ただの虫さされじゃないかも〜
昆虫アレルギーは、ハチやアリの毒・蚊などの唾液成分に免疫が過剰反応して起こる状態です。
通常の虫刺されより赤み・はれ・痛みが強く、数時間〜数日続くことがあり、
まれに数分で全身症状(アナフィラキシー)に進む可能性があります。
繰り返す人、屋外活動が多い人は早めの受診をおすすめします。
原因には毒(蜂毒など)や唾液のアレルゲン、既往の刺傷歴による感作が関与します。

B.Nさん

夏の部活中に刺されたあと、腕がどんどん腫れて熱っぽく、かゆみも強くて眠れませんでした。翌日になっても腫れが広がり、触れると痛む感じ。友人はすぐ引いたと言うのに、自分だけ数日続き不安でした。

スマホで患部を撮ってオンラインで相談。飲み薬と塗り薬の使い方を教わり、冷却も指示どおりに。数日で落ち着きました。強い時は受診すること、再発しやすいことを知れたのが収穫。今は屋外では肌を覆い、虫よけも活用しています。

30秒セルフチェック/診断チャート

STEP 1|症状の出方・強さ

・通常より赤み・腫れ・かゆみ・痛みが強い
・膨らみ/蕁麻疹が出る、広がる
・数分〜数時間で全身症状(息苦しさ、声のかすれ、ふらつき 等)

STEP 2|経過・持続

・局所反応が数時間〜数日続く
・大きな局所反応は3〜10日続くことがある

STEP 3|随伴症状・背景

・発熱、滲出、強い疼痛が出る/悪化する
・屋外活動(登山・園芸・釣り・作業)が多い
・過去に強い反応やアナフィラキシーの既往がある

—— 判定 ——
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

昆虫アレルギーとは、ハチ・アリの毒や、蚊・ブヨなど吸血昆虫の唾液に対する免疫反応により、皮膚の赤み・はれ・そう痒、蕁麻疹〔じんましん〕、呼吸困難や血圧低下などの全身症状を引き起こす総称です。刺傷・咬傷後、通常より強い局所反応が数時間〜数日に及ぶ、あるいは数分〜数時間で全身症状が出る点が特徴です。

たとえば、蜂刺傷では局所の激しい疼痛・腫脹、まれに急速なアナフィラキシー、ヒアリ刺咬では膿疱様の皮疹と強い痛み、蚊では「スキータ症候群」と呼ばれる大きな局所腫脹が代表例です。かぶれ、感染性蜂窩織炎、毒性反応(大量刺傷で起こる非アレルギー性全身反応)などが紛らわしいため鑑別を要します。

【主な原因】

  • ハチ・アリの毒成分に対するIgE依存性アレルギー反応(再刺傷で増悪しやすい)

  • 蚊・ブヨ・ノミなど吸血昆虫の唾液たんぱくへの過敏反応

  • 大量刺傷による毒性反応(アレルギーではないが重症化要因)

  • 二次感染や掻破〔そうは〕に伴う炎症の増悪

  • 交差反応(蜂毒と一部アリ毒で成分が類似しうる)

好発部位は露出部(顔・頸・前腕・下腿)で、屋外作業者や登山・園芸・釣りなど野外活動者に多くみられます。過去に強い反応を起こした人、アレルギー体質の人はリスクが高い傾向です。ヒアリなど外来種への曝露地域では注意が必要です。

経過は、数分〜数時間で局所反応が最大となり、通常は数日以内に軽快しますが、大きな局所反応は3〜10日続くことがあります。悪化因子として、熱・運動・飲酒・NSAIDs・ストレス・掻破・摩擦・高温多湿が知られます。

受診の目安は、

①息苦しさ・声のかすれ・咳やぜいぜい、ふらつきや意識低下など全身症状がある、
②顔面・口唇・舌の急な腫れ、
③局所腫脹が広範囲で日常生活に支障、
④数日たっても増悪・発熱し感染が疑われる、です。

早期受診によりアナフィラキシーの見逃しを避け、再発予防策(自己注射アドレナリンの適応評価や回避指導)につながります。

応急処置(今日できること)

    • 刺されたら流水で洗浄し、保冷材や流水で冷却する。
    • かかない・こすらないようにする。

    • 過去にアナフィラキシー既往がある人は、指示どおりエピペン®を携帯。

✅ 主な治療薬(昆虫アレルギー)
① 外用薬(刺された部位の炎症・かゆみに)

▶ ステロイド外用薬

ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド)

ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロン-VG)など
👉 赤み・腫れ・かゆみを抑える

▶ 抗ヒスタミン薬外用(かゆみ止め)

ジフェンヒドラミン(レスタミンコーワクリーム®)など

▶ 保湿剤・冷却

ワセリン

保冷剤や流水で冷やすと炎症が和らぐ

② 内服薬(全身のかゆみ・じんましんに)

▶ 抗ヒスタミン薬(第一選択)

セチリジン(ジルテック)
フェキソフェナジン(アレグラ)
オロパタジン(アレロック)

👉 全身のかゆみ・じんましんを軽減

▶ ステロイド内服(中等症〜重症例)

プレドニゾロン
👉 強い腫れ・発疹・全身反応があるとき短期間のみ使用

③ 注射薬(重症・アナフィラキシー対策)

▶ アドレナリン自己注射薬(エピペン®)

ハチ刺傷などでアナフィラキシーを起こしたことがある人に処方される
のどの腫れ、呼吸困難、血圧低下が出たときに即使用

▶ 病院での緊急治療

ステロイド点滴
抗ヒスタミン薬注射
酸素投与・輸液

④ 特殊療法

▶ アレルゲン免疫療法(減感作療法)

ハチ刺傷による重症アレルギーに対して実施される場合あり
専門医のもとで、ハチ毒を少量から注射して免疫を慣らす

⑤ セルフケア・予防

刺されたら流水で洗い、冷却する
長そで・長ズボンで肌を守る
虫よけスプレーを活用する

過去にアナフィラキシーを起こした人は必ずエピペン®を携帯

📌 まとめ

軽症 → 外用ステロイド・抗ヒスタミンで対処
全身症状 → 抗ヒスタミン内服+必要に応じてステロイド内服
重症 → エピペン®と救急外来へ

根本治療 → ハチ毒に限り免疫療法が有効

◆ 病院で何を調べるの?

        • 視診・問診:発生部位と生活歴(装飾品、化粧品、職業や趣味、作業手順)を照らし、原因候補を絞ります。症状の時間経過(接触から48〜72時間の遅発)やパターン(アクセサリー接触部など)から鑑別します。結果は当日説明可能です。

        • パッチテスト:標準・追加アレルゲンを背部に48時間貼付し、48〜96時間で判定します。原因物質を特定する検査で、アレルギー性の証明に有用です。ステロイド外用は検査部位で一時中止が必要、汗や入浴制限など注意点があります。

        • フォトパッチテスト:日焼け止めや香料、薬剤で光線による増悪が疑われるときに、貼付後に一部を紫外線照射して比較します。光アレルギーの有無を見分け、結果は数日後に判定します。

        • 皮膚生検:診断が難しい、他疾患(乾癬、薬疹、自己免疫性疾患など)との鑑別が必要な場合に実施します。局所麻酔で組織を採取し、結果は数日〜1週間程度です。小さな瘢痕の可能性があります。

        • 真菌鏡検(KOH)・培養:手足や体幹の環状病変などで白癬との鑑別が必要なときに行います。迅速に真菌要素の有無を確認し、必要に応じて培養します。

        • 細菌培養:滲出・びらんが強く二次感染が疑われる場合に実施します。起因菌と感受性を確認し、抗菌薬選択の参考にします。

        • 血液検査:炎症の程度や合併症の評価に用いますが、IgE検査は遅延型反応の判別には基本的に有用性が低い点に注意します。

 虫刺され(通常反応)

⇒蚊やノミで赤く腫れるが数日で改善        症状が軽度・一時的/全身症状なし

接触皮膚炎(かぶれ)

⇒草木・化学物質で赤くかゆい        刺し口がない/触れた部分に限局

蜂窩織炎(細菌感染)

⇒赤く腫れて熱感・痛み/発熱も        徐々に悪化/抗生物質で改善する

アトピー性皮膚炎

⇒慢性的なかゆみ・湿疹        昆虫に刺されなくても持続する

じんましん(特発性)

⇒急に赤い膨らみが全身に出る        刺された部位に限定されず全身に出現

花粉症・アレルギー性鼻炎

⇒くしゃみ・鼻水・目のかゆみ        虫に刺されなくても発症する

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 息苦しさ・声のかすれ・ふらつきなど全身症状
◻︎ 顔・口唇・舌の急な腫れ
◻︎ 広範囲で強い腫れや痛み、発熱・滲出を伴う

→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

受診の目安(タイムライン)

  • 当日〜翌日:息苦しさ・声のかすれ・ふらつき、顔や舌の急な腫れ、全身症状がある。

  • 早めに受診:広範囲で強い腫れ・痛み・滲出がある、数日経っても悪化する/発熱がある。

  • 様子見可:軽度で範囲が限られ、数日で改善傾向がある場合(悪化時は受診)。

予防のポイント

屋外では長そで・長ズボンで露出を減らす。
虫よけスプレーを活用する。
再発歴がある人は指示どおりエピペン®を携帯。
刺されたら早めの洗浄・冷却、掻破を避ける。

FAQ

Q1. 強い腫れが出たら、まず何をすれば良いですか?
A1. 掻かずに洗浄・冷却し、外用薬や内服薬の使用可否を確認してください。息苦しさや顔の腫れがあれば受診を。

Q2. 何日ぐらい続いたら受診すべきですか?
A2. 通常より強い反応が数日続く、悪化する、発熱や痛みが増す場合は早めに受診してください。

Q3. 予防で気をつけることは?
A3. 露出を減らし、虫よけを活用。過去にアナフィラキシーがあればエピペン®携帯を医師と確認してください。

Q4. 免疫療法は誰でも受けられますか?
A4. ハチ毒による重症例で専門医が適応を判断します。自己判断せず受診でご相談ください。

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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