
50代 女性のご相談
有棘細胞癌ってどんな病気?

医師の回答
有棘細胞がんは、皮膚がんの一種で、ボーエン病(ぼーえんびょう)や日光角化症(にっこうかくかしょう)から発症することが多いといわれています。
〜皮膚にできるがんのひとつ。早期発見・治療で良好な経過も〜 有棘細胞がんは、皮膚がんの一種で、ボーエン病(ぼーえんびょう)や日光角化症(にっこうかくかしょう)から発症することが多いといわれています。 顔や手の甲など、日光にあたる部分にできることが多いため、紫外線が要因のひとつとして考えられていましたが、慢性炎症、ウイルス、放射線などが関与していることがわかっています。昔は広い範囲のやけどの跡や放射線治療後の皮膚炎から発症するものが多かった病気です。
有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)とは、皮膚の表面近くにある有棘層(ゆうきょくそう)の細胞から発生する皮膚がんの一種です。日本人では基底細胞癌に次いで多くみられる皮膚がんで、特に高齢者の顔・耳・頭皮・手・腕など、紫外線を浴びやすい部位に好発します。進行がゆるやかな場合もありますが、深部への浸潤やリンパ節転移を起こすことがあるため、早期発見が重要です。
たとえば、顔・頭皮・耳にみられる腫瘤型、手背や前腕にできやすい潰瘍型、外陰部に生じるウイルス関連型などが知られています。老人性疣贅(いぼ)、慢性潰瘍、放射線や熱傷の瘢痕から発生することもあり、臨床像には硬い結節、表面のびらん、潰瘍を伴うものまで多様です。
【主な原因】
長年の紫外線曝露によるDNA損傷
火傷や外傷後の瘢痕、慢性潰瘍部位からの発生
放射線治療後の皮膚変化
臓器移植後などの免疫抑制状態
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関与する例
好発部位は顔・耳・頭皮・手背・前腕などの露光部位で、性器や肛門周囲に発生する例もあります。特に高齢者や屋外労働に従事する人、免疫抑制薬を使用している人に生じやすいとされています。
経過としては、初期には赤みやかさぶたを伴うしこりとして現れ、次第に硬く盛り上がり潰瘍や出血を繰り返すことがあります。掻破や摩擦で悪化しやすく、進行すると深部組織への浸潤やリンパ節転移を起こします。慢性化すると潰瘍や硬結が持続し、生活の質を損なうこともあります。紫外線や外傷部位の持続刺激が悪化因子となるため、早めに皮膚科を受診し治療することで良好な経過が期待できます。

✅ 使用される薬(補助療法など)
薬剤分類 薬品名 用途
抗悪性腫瘍薬 シスプラチン、フルオロウラシル 進行・再発例で化学療法として使用
分子標的薬 セツキシマブ(アービタックス®) EGFR陽性例に
免疫療法薬 ペムブロリズマブ(キイトルーダ®) 遠隔転移を伴う例に使用されることも
◆ 病院で何を調べるの?
視診・触診:皮膚のしこりや潰瘍の形・硬さ・広がりを確認します。周囲皮膚やリンパ節の腫れもチェックし、進行度の目安になります。
ダーモスコピー(皮膚鏡検査):拡大鏡を用いて表面の血管像や角化の特徴を観察します。基底細胞癌や良性腫瘍との鑑別に役立ちます。
皮膚生検(組織検査):局所麻酔下で病変の一部を切除し、病理組織学的に診断します。確定診断に必須で、数日〜1週間程度で結果が分かります。
超音波検査:腫瘍の深達度や近隣リンパ節の腫脹を確認します。痛みが少なく、外来で簡便に行える検査です。
CT・MRI検査:腫瘍の広がりやリンパ節転移・遠隔転移を評価します。進行例や手術前の病期判定に重要であり、治療方針を決める助けになります。
血液検査:炎症反応や全身状態を把握するために行います。直接的に診断するものではありませんが、治療に向けた全身評価として必要です。
🔍 有棘細胞癌と間違えやすい疾患(類似疾患)
基底細胞癌(きていさいぼうがん)
⇒ 黒っぽく光沢のあるしこり/ゆっくり進行 転移しにくいが局所破壊あり/見た目はやや黒め
ボーエン病(表在型有棘細胞癌)
⇒ 赤くてカサカサした“湿疹のような”病変 境界がハッキリ/じくじく感があるが平坦なことが多い
ケラトアカントーマ
⇒ 急に大きくなるドーム状のしこり 一見がんに見えるが自然に縮小することも/診断が難しい
日光角化症(にっこうかっかしょう)
⇒ 赤くてザラザラした前がん病変 進行前の段階/早期治療でがん化を防げる
湿疹・かぶれ
⇒ 赤くかゆい/表面にジュクジュク 一時的/治療ですぐ良くなる/かゆみが強いことが多い
皮膚潰瘍・とびひ・感染性病変
⇒ 感染やケガに伴う赤み・ただれ 急にできた/周囲に熱感や痛みあり/抗菌薬で改善する
予防のポイント 日焼け止めをこまめに塗る 帽子や長袖で紫外線を避ける 慢性的な傷や湿疹を放置しない 火傷や外傷のあとを清潔に保つ 免疫抑制薬を使う人は皮膚を定期的に観察する 性器や肛門周囲の変化を放置せず早めに受診する 高齢者は皮膚のしこりや潰瘍を定期的にチェックする 気になる皮膚の変化があれば早期に皮膚科へ相談する
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。
アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。