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40代 男性のご相談

類天疱瘡ってどんな病気?

医師の回答

類天疱瘡は、自己免疫性疾患といって、異物からからだを守るためにはたらく免疫が、誤って自身のからだを攻撃することで、皮膚や粘膜に水ぶくれやただれ(びらん)などが起こる病気ですが、詳細な原因は不明です。

〜高齢者に多い“かゆみをともなう水ぶくれ”の病気〜
類天疱瘡は表皮と真皮の間にある基底膜が主な攻撃対象になっているため、破れにくい大きな水ぶくれができます。

類天疱瘡には、水疱性類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡などがあり、分類によって症状やみられやすい部位は異なります。

類天疱瘡(るいてんぽうそう)とは、自己免疫の異常により皮膚に水疱(水ぶくれ)が生じる自己免疫性の皮膚疾患です。主に70歳以上の高齢者に多く、突然のかゆみを伴う赤い発疹や水疱が現れます。人から人へ感染する病気ではなく、免疫の誤作動によって起こるのが特徴です。初期には湿疹やじんましんのように見えることも多く、見た目だけで他の皮膚疾患と区別するのは難しいことがあります。

たとえば、腕や脚・腹部・背中に発疹や水疱が多く出る型、まれに口腔内など粘膜に病変が出る型などがあります。見た目がかぶれや薬疹に似ているため、専門的な検査が必要になります。

【主な原因】

  • 加齢:高齢者に多く発症する

  • 薬剤:一部の糖尿病治療薬や抗菌薬など

  • 自己免疫反応:皮膚の接着構造に対する自己抗体が関与

  • 関連疾患:がんや神経疾患(パーキンソン病、認知症など)と併発する例

好発部位は腕や脚、腹部、背中などの体幹や四肢で、強いかゆみを伴う発疹が広範囲に現れることがあります。なりやすい人は特に高齢者で、基礎疾患を持つ方や免疫異常の背景がある方です。

経過としては、最初に湿疹やじんましん様の赤い発疹が出現し、数日から数週間でやや大きめの水疱が形成されます。水疱は比較的厚く破れにくいものの、かゆみで掻き壊すと滲出や感染を起こしやすく、慢性化すると苔癬化〔たいせんか〕が見られることもあります。悪化因子として乾燥、摩擦、発熱やストレスなどが関与します。早期に受診して治療を開始することで感染リスクを減らし、生活の質を維持することにつながります。

✅ 類天疱瘡の治療薬
◆ 軽症〜中等症
薬剤分類 薬剤名 用途・備考
外用ステロイド
・クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート®)
・ジフルプレドナート(マイザー®)など
水疱部・びらん・紅斑に外用/広範囲に必要なことも多い(包帯など併用)

◆ 中等症〜重症
薬剤分類 薬剤名 備考
ステロイド内服 プレドニゾロン(プレドニン®) 活動性に応じて0.5〜1mg/kg/日から開始し、徐々に減量
免疫抑制剤 アザチオプリン(イムラン®)/ミコフェノール酸モフェチル ステロイドの併用薬として(副作用対策含む)
テトラサイクリン系抗菌薬 ミノサイクリン、ドキシサイクリン 抗炎症目的(軽症例など)
生物学的製剤(近年) オマリズマブ(ゾレア®) など 難治例・高IgE症例に使用されることも
免疫グロブリン療法 IVIG(免疫調整作用) 難治・再発例に検討されることがある

 ◆ 病院で何を調べるの?

    • 視診・問診:皮膚の発疹や水疱の形態を確認し、出現時期やかゆみの程度、薬剤使用歴を聞き取ります。初期の段階では湿疹や薬疹と区別が難しいため、詳細な観察が重要です。

    • 皮膚生検:水疱部分の皮膚を局所麻酔で一部切除し、顕微鏡で組織を確認します。病理診断には数日かかり、小さな瘢痕が残る可能性がありますが、確定診断に有用です。

    • 血液検査(自己抗体測定):類天疱瘡関連の自己抗体(BP180抗体など)を調べます。病勢の把握や治療効果のモニタリングにも活用されます。結果が出るまで数日必要です。

    • 直接蛍光抗体法(免疫染色):生検した皮膚に沈着した免疫グロブリンや補体を蛍光染色で確認します。自己免疫性皮膚疾患の診断に特異性が高い検査です。

    • 細菌培養検査:破れた水疱や掻き壊した部分から分泌液を採取し、二次感染の有無を確認します。抗菌薬の選択に役立ちます。結果判明には数日かかります。

    • 血液一般検査:炎症の程度や合併症の有無を把握する目的で行います。長期のステロイド治療を予定する場合には基礎データとしても必要です。

🔍 類天疱瘡と間違えやすい疾患(類似疾患)

天疱瘡(てんぽうそう)

⇒  類天疱瘡よりも深刻/口の中にもびらんが出る        水ぶくれがやぶれやすく、口の中の痛みが強いのが特徴

膿痂疹(とびひ)

⇒  子どもに多い/水ぶくれやかさぶたが広がる        かゆみ+黄色いかさぶた/感染が原因で急に広がる

薬疹(薬による皮膚アレルギー)

⇒  薬を使ったあとに発疹・水疱・びらん        薬の使用歴がヒント/全身に出ることもある

疱疹状皮膚炎

⇒  グルテン不耐症に関連/ひじ・膝などに小さな水疱        小さいブツブツ+強いかゆみ/左右対称が多い

接触皮膚炎(水ぶくれ型)

⇒  アレルゲンに触れた部分に水ぶくれ        限局的/アレルゲン接触歴あり/かゆみが主

帯状疱疹(たいじょうほうしん)

⇒  片側にピリピリ+水ぶくれが並ぶ        神経に沿って片側だけ/痛みが強い

予防のポイント
低刺激性の石けんでやさしく洗う
入浴後は保湿剤を塗り乾燥を防ぐ
水疱を掻き壊さないよう冷却や薬でコントロールする
衣類や寝具は摩擦の少ない素材を選ぶ
水疱が破れたら清潔なガーゼで保護する
十分な睡眠と栄養を心がける
定期的に皮膚科を受診し薬の量を調整する
使用中の薬について主治医と定期的に確認する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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