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10代 男性のご相談

点状角質融解症【足ペタ病】ってどんな病気?

医師の回答

点状角質融解症は、足裏の皮膚の浅い部分が細菌に感染することで発症する病気です。「足ペタ病」ともいわれます。 原因となる細菌は数種類ありますが、高温多湿の環境下で細菌が増殖し、角質を溶かす物質を産生することで角質層を破壊します。

〜足のうらが白くふやけてペタペタ・においも気になる…それ、「足ペタ病」かもしれません〜
高温多湿な環境では、足の裏にいる細菌が増えやすくなります。
これらの細菌は、角質(皮ふの表面のかたい部分)を溶かす成分を出すことで、
皮ふの表面を傷つけてしまいます。
その結果、足の裏に数ミリほどの小さなへこみ(穴)がたくさんできてしまい、
悪臭がしたり、歩くと痛みを感じることもあります。
特に、足に汗をかきやすい人に多く見られる症状です。

点状角質融解症(てんじょうかくしつゆうかいしょう/通称「足ペタ病」)は、足裏の皮膚が細菌に感染して発症する皮膚疾患の一つで、特に足の裏が白くふやけてペタペタ・ザラザラとした感触になり、無数の小さなへこみ(点状の穴)が現れるのが特徴です。

悪臭や歩行時の不快感を伴うこともあり、足のにおいや湿りが気になる人に多く見られます。主な原因は、汗やムレによって角質層が柔らかくなった状態に「コリネバクテリウム」などの細菌が感染し、細菌が角質を溶かす物質(酵素)を出すことで角質層が破壊されることにあります。

特に高温多湿の環境で細菌は増殖しやすく、通気性の悪い靴や靴下、長時間の靴の着用がリスクを高めます。発症部位は、足の裏、特に指の付け根から前足部に多く、指の間にも見られることがあります。足を洗ってもザラザラ感や悪臭が取れず、「水虫かな?」と間違われることも少なくありませんが、点状角質融解症は真菌ではなく細菌による感染症です。

この病気は特に汗っかきな人や学生、スポーツをする若年層(特に男子)、立ち仕事や接客業などで長時間靴を履くことが多い人に多く見られ、梅雨から夏場にかけて悪化しやすい傾向があります。

治療には、抗菌薬の塗り薬(例:クリンダマイシン、ナジフロキサシンなど)が用いられ、重症や再発を繰り返す場合には内服薬を併用することもあります。適切に治療を行えば、数日から1〜2週間程度で改善するケースがほとんどです。

再発予防には、毎日の足のケアと清潔保持が重要です。

具体的には、足を1日1回以上洗ってしっかり乾かすこと、吸湿性・通気性の良い靴下(綿素材や吸湿繊維)を使用すること、靴は毎日ローテーションで履き替えて内部を乾燥させること、靴の消臭・抗菌スプレーを活用すること、またジムや学校などでスリッパや足拭きマットの共用を避けることが挙げられます。

「足の裏が白くなってベタベタする」「においが強くなった」「小さな穴がたくさんできている」などの症状がある場合は、点状角質融解症の可能性があります。早めに皮膚科を受診することで、スムーズに治療を進めることができます。

✅ 点状角質融解症に使われる主なお薬
① 【抗菌薬の外用薬(第一選択)】
▶ コリネバクテリウム属などに有効な外用抗菌薬

フシジン酸 フシジンレオ軟膏 グラム陽性菌に有効、第一選択
ゲンタマイシン ゲンタシン軟膏 広く使用される抗菌薬、比較的安全
クリンダマイシン ダラシンTゲル(にきび薬としても使用) 耐性菌の心配があるため限定的に使用される
ナジフロキサシン アクアチムクリーム にきびなどにも使われる、抗菌スペクトル広め

🔸 1日1~2回塗布。数日~1週間ほどで改善することが多いです。
🔸 塗布後は乾燥を保ち、通気性を良くする工夫が重要。

② 【重症・再発例には内服抗菌薬】

セファレキシン ケフレックス 安全性高く、外用で不十分な場合に使用
クラリスロマイシン クラリス 抗菌スペクトル広く、においの原因菌にも効果

🔸 内服は通常3〜7日間程度。

③ 【補助療法・予防的対策】
▶ 殺菌・消毒薬(補助的に使用)
クロルヘキシジン(ヒビテン液など)

ベンザルコニウム(オスバンなど)

イソジン消毒液(ただし刺激性あり)

▶ 制汗・乾燥剤(再発予防に重要)

塩化アルミニウム液 オドレミン、パースピレックスなど 足の多汗対策に。市販あり。
足用制汗スプレー Agデオ24、8×4、デオナチュレなど 市販可。補助的に使用可。

❌ 効果がない or 禁忌の薬
薬剤 理由
ステロイド外用薬単独 炎症を抑えるが細菌感染を悪化させる恐れ
抗真菌薬(白癬薬) 真菌ではなく細菌感染症なので無効

「もしかして足ペタ病かも…」と思ったら?
自分で判断せずに皮ふ科へ相談を!
当院では、スマホで受けられるオンライン診療も対応しています
症状の確認からお薬の処方まで、自宅から気軽にご相談ください

  🔬 診断と検査
✅ 多くは視診(見た目)で診断が可能
✅ 必要に応じて細菌培養・ウッド灯・真菌検査(KOH)などを行います
✅ 足白癬と合併することもあるので、両方の治療が必要な場合も

🩺 間違えやすい病気(鑑別疾患)

足白癬(みずむし)

⇒カビによる感染/皮むけ・かゆみ・じゅくじゅく KOH検査で真菌が出る/輪っか状に広がることが多い

汗疱

⇒汗がつまってできる水ぶくれ/主に手足の側面 水疱状/かゆみあり/穴状ではない

接触皮膚炎

⇒靴や洗剤などが原因で赤くかぶれる はっきりした赤み・かゆみ/ブツブツは見られにくい

足壊疽・膿瘍

⇒糖尿病や重度感染で悪化する皮膚潰瘍 強い痛み・発熱/点状というより傷や壊死に近い

予防のポイント

毎日、足をしっかり洗って乾かす(特に指の間)
靴は1日ごとにローテーションで乾かす
吸汗速乾素材の靴下にする(綿よりスポーツ用が◎)
靴の中に抗菌スプレー・中敷き除菌を取り入れる

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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