
40代 男性のご相談
男性型脱毛症【AGA(えーじーえー)】ってどんな病気?

医師の回答
AGAは「皮ふの病気」ではなく、「毛の生え変わりサイクル(ヘアサイクル)の異常」なんです。


男性型脱毛症(AGA)とは?早めの対策がカギ🔑
「最近、おでこが広くなった気がする…」
「頭頂部の地肌が透けて見える…」
それ、もしかすると AGA(男性型脱毛症) のはじまりかもしれません。
男性型脱毛症(AGA/エージーエー)とは、思春期以降の男性に発症する進行性の脱毛症で、日本人男性の約3人に1人、特に20代~30代以降の成人男性の多くが経験すると言われています。
額の生え際(M字型)や頭頂部(O字型)から髪が徐々に細くなり、抜け毛が増えていくのが特徴で、進行すると全体的な薄毛へとつながるケースもあります。
AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)によって毛髪の成長サイクルが乱れ、髪の毛が十分に育たず細く・短く・抜けやすくなることです。特に、父親や祖父など家族に薄毛の人がいる場合、遺伝的に同じような脱毛パターンになることが多く、さらにストレスや不規則な生活習慣も発症や進行に影響します。
AGAは自然に止まることがなく、数年単位でゆっくりと進行するため、自覚症状が出る頃にはある程度進んでいるケースも少なくありません。そのため、「最近、おでこが広くなってきた」「頭頂部の地肌が透けて見える」といった初期症状を感じた段階で早期に対策することが非常に重要です。
現在のAGA治療は、脱毛の進行を抑える「フィナステリド」や「デュタステリド」などの抗男性ホルモン薬と、発毛を促進する「ミノキシジル(内服・外用)」の2ステップが基本です。これらの治療は継続的に行うことで効果を発揮し、多くの方が薄毛の進行抑制や発毛の改善を実感しています。さらに、日常生活においても、頭皮を清潔に保つ・バランスの取れた食事(たんぱく質、亜鉛、鉄分など)・十分な睡眠・ストレスの軽減・禁煙などが、毛髪の健康を保つうえで大切です。ただし、サプリメントや市販の育毛剤だけでは効果が限定的なことが多く、医師の診断に基づいた適切な治療が推奨されます。
✅ AGAに使われる主なお薬
① 【内服薬(進行抑制・予防)】
▶ 男性ホルモン(DHT)の働きをブロックする薬
フィナステリド プロペシア、フィナステリド錠 DHTの生成を阻害。進行抑制に有効。保険適用外。
デュタステリド ザガーロ、デュタステリド錠 フィナステリドよりDHT抑制力が強く、効果も高いとされる。
🔸 髪を生やすというより「抜け毛を止める」目的の薬
🔸 1日1回内服、効果判定は6ヶ月~1年必要
② 【外用薬(発毛促進)】
▶ 血流促進・成長因子刺激による発毛作用
ミノキシジル外用 リアップX5(市販)
ミノキシジル外用液5%(処方) 売上No.1。頭皮に1日2回塗布。毛母細胞を活性化。
ピディオキシジル(類似成分) 市販の発毛剤に含まれることあり ミノキシジルより低刺激と言われることもある
🔸 産毛を太くするタイプの発毛剤
🔸 初期脱毛が一時的に起こることも(2〜4週目)
③ 【ミノキシジル内服(ミノタブ)】※国内未承認薬
ミノキシジルタブレット(ミノタブ):海外では使用されるが、日本では保険未承認・副作用リスクあり(血圧低下、むくみ、心拍数増加など)
医師の監視下で慎重に処方されることがあります(自己使用は非推奨)
④ 【補助的な治療薬・サプリ】
亜鉛(Zn) 毛母細胞の成長をサポート
ビオチン 髪や爪の成長を支えるビタミン
ノコギリヤシ DHTを抑える天然素材(エビデンスは限定的)
🔸 これらは単独での効果は弱く、あくまで補助的な位置づけです。
AGAは進行する前に対策を!
AGAは男性に多くみられる進行性の脱毛症
原因はDHTによるヘアサイクルの乱れ
治療は早ければ早いほど効果的
「あれ?」と思った今が、治療のタイミングです。
当院では、スマホで受けられるオンライン診療も対応しています
症状の確認からお薬の処方まで、自宅から気軽にご相談ください
◇ AGAと間違えやすい脱毛症(鑑別疾患)
円形脱毛症
⇒突然円形に脱毛/自己免疫が関与 短期間で急に脱毛/丸い形/眉毛やひげにも出ることあり
脂漏性皮膚炎
⇒フケ・かゆみ・赤みがあり脱毛を伴うことも 炎症+かゆみあり/皮膚症状が目立つ
薬剤性脱毛症
⇒抗がん剤などの副作用で脱毛 全体的に一気に抜ける/内服薬の影響が明確
牽引性脱毛症
⇒髪を強く引っ張る習慣(ポニーテール等) 髪型や習慣によるもの/前頭部生え際に多い
女性型脱毛症(FAGA)
⇒全体的に髪が細く・分け目が広がる 男性とパターンが異なる/閉経後に増える
甲状腺疾患・栄養不足
⇒全身の毛が薄くなる/体調不良も伴うことあり 血液検査で診断可能/体毛も一緒に減る場合あり
予防のポイント
頭皮を清潔に保つ
質の高い睡眠を確保する
ストレスをためない
禁煙・節酒を心がける
紫外線対策も忘れずに
「気づいたときに始める」が最大の予防
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
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