40代 女性のご相談
鶏眼(けいがん)・胼胝(べんち)ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説
⚠️まずは緊急度をチェック
◻︎ 歩行時に強い刺すような痛みがある(芯が圧迫で痛む)
◻︎ 赤く腫れる・熱感や膿があるなど感染が疑われる
◻︎ ひび割れや出血がある、または範囲が広がっている
◻︎ 長期間ほとんど変化しない硬い病変/出血・拡大が続く(まれな腫瘍との鑑別が必要)
◻︎ 高齢者の足底・手のひらにできた硬い「たこ」
▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を
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医師の回答
足のうらに硬いできもの、
それ「うおのめ・たこ」かもしれません

F.Bさん
通勤で歩くたび小指の下がズキッと痛み、触ると硬い芯のようなものがありました。市販のやすりで削っても数日で戻り、歩くのがつらい日が続きました。靴はきつめで、立ち仕事が多いのも気になっていました。
オンラインで相談すると、うおのめの可能性が高いとのこと。サリチル酸の外用やパッドで圧を分散し、靴と中敷きを見直しました。専門処置の適応や再発予防のポイントを知り、無理に削らず対策を続ける大切さを学びました。
30秒セルフチェック/診断チャート
01
症状の出方・強さ
中央に半透明で硬い「芯」がある(うおのめ)
押す/体重がかかると強い痛みが走る(うおのめ)
芯はなく、広く厚く硬いだけで痛みは少ない(たこ)
02
経過・持続
靴の圧迫や歩行で悪化しやすい
再発をくり返す、または長期間ほとんど変化しない
03
随伴症状・背景
サイズ不適合の靴/硬い靴底・ハイヒール
足の変形(外反母趾・偏平足など)や歩き方のクセ
長時間立ち仕事・スポーツ・手作業、高齢で皮膚が乾燥しやすい
結論
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談
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鶏眼(けいがん)・胼胝(べんち)とは?
うおのめ(鶏眼)は、角質の中心に半透明で硬い「芯」ができるのが特徴です。この芯が歩行時に圧迫されると強い痛みを感じます。特に靴が合わない場合や足の変形(外反母趾など)によって、指の上や小指の下、足底の荷重がかかる部位に多く見られます。芯が骨に向かって食い込むことで、立ったり歩いたりするだけでもズキッとした痛みが出ることがあります。
一方、たこ(胼胝)は芯がなく、皮膚の表面が広く厚く硬くなった状態で、通常は痛みが少ないのが特徴です。たこのできる場所によって、指なら「ペンだこ」、足なら「足擦れだこ」、くるぶしなら「座りだこ」などと呼ばれることもあります。圧迫しても強い痛みはありませんが、放置して角質が厚くなりすぎると、ひび割れや出血の原因になることがあります。
これらができる原因は、皮膚の防御反応によるものです。サイズの合わない靴や硬い靴、ハイヒール、同じ部分に体重がかかる歩き方、偏平足や外反母趾などの足の構造的な問題が原因となります。また、スポーツや楽器の演奏、家事や手仕事など手足を頻繁に使う人も発症しやすく、特に長時間立ち仕事をする方や高齢者では皮膚が乾燥しやすく、より硬くなりやすい傾向があります。
うおのめやたこは、軽度であれば自宅でのスキンケアや靴の見直しなどで対応可能ですが、痛みが強い場合や再発をくり返す場合には皮膚科での治療が必要です。うおのめに対しては、専門の器具(メスやドリルなど)を用いて芯を削る処置や、サリチル酸入りの外用薬で角質を柔らかくする治療が行われます。また、患部にかかる圧力を分散させるためのパッドやインソールの使用、靴の調整も重要です。たこに対しては、厚くなった角質を除去しつつ、摩擦や圧迫の原因を取り除く工夫を行います。靴や中敷きの見直し、日常生活の中で足にかかる負担の軽減が再発防止につながります。
注意すべき点は、自己判断で市販のカッターやヤスリなどで削ってしまうことです。これは感染や出血、炎症の原因となることがあり、非常に危険です。必ず医療機関で適切な処置を受けるようにしましょう。
予防としては、足に合った靴を選ぶことが何より大切です。サイズが合っていて、かかとや足先が締め付けられない靴を選びましょう。クッション性のある中敷きや足底パッドを活用し、歩き方や姿勢のクセを見直すことも重要です。また、入浴後の保湿ケアで皮膚を柔らかく保つことも効果的です。
「うおのめを削ってもすぐ再発する」「歩くたびに痛い」「芯がどんどん深くなってきた」などの症状がある場合は、放置せず早めに皮膚科を受診しましょう。
応急処置(今日できること)
入浴後に保湿ケアを行い、角質を柔らかく保つ
靴・中敷き(インソール)・足底パッドで圧力を分散させる
サリチル酸外用(パッチや液体)を表示どおりに使用し、数日後に白くふやけた角質をぬるま湯でふやかしてからやすり・爪切りで除去
自己判断で深く削らない(感染・出血の原因)
一般的な鶏眼(けいがん)・胼胝(べんち)治療
① 【角質を柔らかくして除去する外用薬】
▶ サリチル酸(角質溶解成分)
スピール膏(市販・処方両方あり) サリチル酸を含んだ絆創膏 中心部に薬剤がついていて患部に貼る
イボコロリ(市販) 液体タイプのサリチル酸外用薬 塗って乾かすタイプ
ウオノメコロリ 絆創膏+サリチル酸の併用製品 密着性高い
🔸 数日間の使用後、角質が白くふやけて柔らかくなったところをぬるま湯でふやかし、やすりや爪切りで除去。
② 【痛みが強い・感染している場合】
基本的にはサリチル酸外用で改善可能ですが、痛みが強い場合は皮膚科での芯の削除(専門的な除去)が必要です。
二次感染がある場合は、抗菌薬の外用薬や内服薬を処方されることもあります。

病院で何を調べるの?
必要に応じて検査をします
・通常は視診で診断できますが、以下のような場合は検査を行うこともあります
ウイルス性いぼとの鑑別 → ダーモスコピー(拡大鏡)で血管の有無を確認
痛みの原因精査 → レントゲンで骨の出っ張り(骨棘など)を確認することもある
フットプリント検査(足底圧分布検査)で圧のかかり方を調べる(整形外科的評価)
「鶏眼(けいがん)・胼胝(べんち)」と似ている症状の病気(鑑別疾患)
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい=ウイルス性いぼ)
ヒトパピローマウイルスが原因/表面がゴツゴツしている 削ると出血しやすい/痛みの出方が違う/皮膚科での凍結療法が必要
魚の目と思って市販薬で悪化
間違った処置で炎症・感染 痛み・赤み・腫れがある場合は受診を
胼胝状角化症(遺伝性)
足の裏などに広く硬い皮膚ができる先天性疾患 他の部位にも出たり、家族歴があることも
鶏眼(けいがん)・胼胝(べんち)の特徴をチェック!
◻︎ 歩行時に強い刺すような痛みがある(芯が圧迫で痛む)
◻︎ 赤く腫れる・熱感や膿があるなど感染が疑われる
◻︎ ひび割れや出血がある、または範囲が広がっている
◻︎ 長期間ほとんど変化しない硬い病変/出血・拡大が続く(まれな腫瘍との鑑別が必要)
◻︎ 高齢者の足底・手のひらにできた硬い「たこ」
▶︎ これらに当てはまれば、「鶏眼(けいがん)・胼胝(べんち)」や関連する疾患の可能性があります
⚠️緊急度をチェック!
◻︎ 赤く腫れて熱感・膿があるなど感染が疑われる
◻︎ 出血・ひび割れ・範囲拡大が続く
◻︎ 長期間変化しない硬い病変(出血・拡大を伴う)
▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を
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受診の目安(タイムライン)
当日〜翌日:強い痛みで歩行がつらい/赤く腫れて熱感・膿・出血がある。自己処置で悪化した。
早めに受診:再発をくり返す/芯が深くなってきた/高齢者の足底・手のひらの硬い病変/「いぼ」との区別がつかない。
様子見可:痛みが少ない軽度のたこで、靴・中敷きの見直しや保湿で改善傾向にある場合。
予防のポイント
つま先に余裕があり、かかとがしっかりフィットする靴を選ぶ
ヒールや硬い靴底はできるだけ避け、複数の靴をローテーション
インソール・パッドを活用し、足底圧を分散
入浴後の保湿で角質を柔らかく保つ。乾燥・ひび割れのケア
外反母趾・偏平足などがあれば専門店や医療機関に相談
片足重心など歩き方のクセを見直す
爪は長すぎ・短すぎを避け、正しくカット
自分で削りすぎない。異常があれば早めに相談
FAQ
Q1. 検査は何をしますか?
Q2. 市販薬で治せますか?
Q3. 自分で削っても大丈夫?
Q4. うおのめと「いぼ」はどう見分けますか?
Q4. 再発を防ぐコツは?
監修薬剤師/公衆衛生学修士
畔原 篤 Atsushi Azehara
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
執筆者
ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。






