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20代 女性のご相談

温熱性紅斑(火だこ)ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 同じ部位に熱が長時間当たり続け、赤〜褐色の網目状・まだら模様が広がっている
◻︎ 熱源をやめても赤みやヒリヒリが続く、茶色い跡が残ってきた
◻︎ カイロ・こたつ・電気毛布・ホットカーペット・ノートPCなどの使用歴があり、症状の部位と一致する
◻︎ 放射線や薬剤・金属などの接触歴がある、または全身症状を伴う

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医師の回答

温熱性紅斑は、ストーブやこたつ、カイロなどの暖房器具の熱が、体の同じ部分に長時間あたり続けることで起こる皮膚炎です。 低温やけどとは異なり、比較的弱い温度(40~50℃)の熱によって、皮膚に赤色~褐色の網状の色素沈着が現れるのが特徴です。見た目はまるで「網目模様」や「まだら模様」のようになり、ヒリヒリ感や軽いかゆみを伴うこともあります。

カイロやこたつでできた“網目状の赤み”、
それは「火だこ」かもしれません

温熱性紅斑は、ストーブやこたつなどの暖房機器により、からだの同じ部分に長時間繰り返し温熱(赤外線)があたることが原因で、赤色~褐色の網状の皮疹があらわれる病気です。「火だこ」ともいわれます。

Y.Aさん

冬の通勤中、腰にカイロを貼りっぱなしにしていたら、数日で赤〜褐色の網目のような模様が広がり、ヒリヒリも出ました。低温やけどかと思い外したものの跡が残り、ノートPCを膝に乗せる癖もあり、不安が募りました。

オンラインで相談すると、熱源を避けることと保湿を勧められ、必要に応じて短期の軽いステロイド外用も提案されました。実践するとヒリヒリは軽くなり、模様も少しずつ薄く。早めに原因を断つことの大切さを実感しました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

赤〜褐色の網目状またはまだら模様の色素沈着

軽いヒリヒリやかゆみを伴うことがある

同じ部位に限局している

02

経過・持続

数日〜数週間、熱が当たり続けてから目立ってくる

熱源をやめても茶色い跡がしばらく残ることがある

03

随伴症状・背景

カイロ・こたつ・電気毛布・ホットカーペット・ノートPCなどの使用歴

冬場に多い生活環境

皮膚が敏感な方/高齢者/子どもは発症しやすい傾向

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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温熱性紅斑(火だこ)とは?

冬の寒さ対策として使われるカイロやこたつ、電気毛布、ホットカーペットなどの暖房器具は、私たちの生活を快適にしてくれる一方で、皮膚トラブルを引き起こす原因にもなります。その代表的なものが「温熱性紅斑(おんねつせいこうはん)」です。これは、比較的弱い温度(およそ40〜50℃)の熱が、皮膚の同じ部分に長時間当たり続けることで生じる皮膚の炎症で、「火だこ」とも呼ばれています。温熱性紅斑では、皮膚に赤〜褐色の網目状、またはまだら模様の色素沈着が現れ、ヒリヒリ感や軽いかゆみを伴うこともあります。

この症状は、熱によって皮膚の毛細血管がじわじわと拡張し、色素沈着のような変化を起こすことが原因です。数日〜数週間にわたり熱が当たり続けると、目立つような赤みが現れ、時間の経過とともに茶色っぽい跡が残ってしまうケースもあります。カイロを貼っていたお腹や腰、こたつにあたっていたすねや太もも、ノートパソコンを膝の上で長時間使用していた場合の太もも裏、電気毛布を使っていた背中など、「じんわり熱が当たり続けた部位」に多く見られるのが特徴です。

特に、カイロやこたつ、湯たんぽなどを頻繁に使用する冬場、またはノートパソコンを太ももの上に長時間置いて作業する習慣がある人、そして皮膚が敏感な方や高齢者、子どもは温熱性紅斑を発症しやすい傾向にあります。赤みはじわじわと進行していくため気づきにくく、気づいたときには茶色い網目模様が残っていることも少なくありません。さらに、熱の影響が長引くことで、かゆみやヒリヒリ感、乾燥感が強くなったり、まれにですが熱刺激によるやけどや皮膚がんのリスクが生じる可能性もあると報告されています。

温熱性紅斑の治療には、まず熱源を取り除くことが最も重要です。カイロやこたつなどの使用を中止し、皮膚から熱を遠ざけることが第一です。皮膚の乾燥やかゆみがある場合には、保湿剤の使用が推奨され、必要に応じて軽度のステロイド外用薬を使うこともあります。赤みは数週間で自然に薄くなることもありますが、色素沈着が残ってしまった場合には、改善までに数ヶ月以上かかることもあります。なかなか消えない色素沈着が気になる場合には、美容皮膚科などでレーザー治療を検討することもあります。

このような症状を予防するためには、暖房器具を肌に直接当てない、同じ部位に長時間当て続けないように意識することが大切です。カイロや電気毛布は衣類の上から使用し、こたつやホットカーペットは低温かつ短時間の使用を心がけましょう。ノートパソコンを使う場合は膝の上に直接置かず、台などを利用することが望ましいです。また、皮膚に赤みや熱感を感じたらすぐに使用を中止し、悪化を防ぐことが重要です。

応急処置(今日できること)

  • ただちに熱源を取り除き、皮膚から熱を遠ざける

  • 乾燥やかゆみがあれば保湿剤を使用する

  • 症状に応じて、軽度のステロイド外用薬を短期間使用(必要時)

  • 赤みや熱感を自覚したら、使用を中止して悪化を防ぐ

一般的な温熱性紅斑(火だこ)治療に使われる薬

① 【軽症(赤み・軽度の炎症)の場合】
外用ステロイド(短期間)
ロコイド軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)
キンダベート軟膏(クロベタゾン酪酸エステル)
⇒かゆみ・炎症がある時に短期間使用します。

② 【色素沈着が残っている場合】 美白外用薬・色素沈着の改善目的
    成分名・ 商品名                              コメント
トラネキサム酸外用薬 トランシーノ ホワイトCクリアなど           抗炎症・美白作用
ハイドロキノン ※医療機関または市販で購入可                色素沈着抑制、ただし刺激あり注意
アスコルビン酸(ビタミンC)外用 メラノCC、チョコラBBリッチセラミド   補助的な使用に

③ 【保湿剤(皮膚バリア回復)】

ヘパリン類似物質 ヒルドイドソフト、ビーソフテンなど
ワセリン系 プロペト、白色ワセリン
尿素製剤(角化がある場合) パスタロン、ケラチナミンなど(ただしびらん部位は避ける)

④ 【かゆみ・ヒリヒリが強いとき】

内服の抗ヒスタミン薬(必要時)
アレグラ(フェキソフェナジン)
ザイザル(レボセチリジン)など
(※必須ではなく、症状次第)

「温熱性紅斑」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

リベド(網状皮斑)

血流の障害で皮膚に網目状の赤紫色の斑点が出る 寒さで出てすぐ消える/持続する場合は膠原病の疑いも

色素性紫斑

細い血管が壊れて、赤紫色の点状出血が起こる 点状の出血/押しても色が消えない

白癬(皮膚カビ)

赤く円形に広がる湿疹/かゆみあり 真菌検査で菌が出る/網目状にはなりにくい

有害物質・薬剤による皮膚炎

放射線・薬剤・金属などで網目状の皮膚変化 使用歴・接触歴の確認が重要/全身症状がある場合も

色素沈着(内因性)

内服薬や代謝疾患で色素が沈着する 原因薬剤の内服歴あり/広範囲に起こることも

温熱性紅斑の特徴をチェック!

◻︎ 同じ部位に熱が長時間当たり続け、赤〜褐色の網目状・まだら模様が広がっている
◻︎ 熱源をやめても赤みやヒリヒリが続く、茶色い跡が残ってきた
◻︎ カイロ・こたつ・電気毛布・ホットカーペット・ノートPCなどの使用歴があり、症状の部位と一致する
◻︎ 放射線や薬剤・金属などの接触歴がある、または全身症状を伴う

▶︎ これらに当てはまれば、「温熱性紅斑」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 熱源を避けても赤み・ヒリヒリが続く、茶色い跡が残る
◻︎ 網目状・まだら模様が拡大している
◻︎ 放射線や薬剤などの接触歴がある、または全身症状がある
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:全身症状を伴う、または放射線・薬剤・金属などの接触歴がある場合

早めに受診:熱源を中止しても赤みが続く、ヒリヒリやかゆみが強い、茶色い跡が気になる

様子見可:軽度で、熱源を避けて改善傾向がある場合(不安があれば相談を)

予防のポイント

  • 暖房器具は肌に直接当てない/同じ部位に長時間当てない

  • カイロ・電気毛布は衣類の上から、こたつ・ホットカーペットは低温・短時間で

  • ノートPCは膝に直接置かず、台やデスクを使う

  • 赤みや熱感を覚えたら使用を中止する

FAQ

Q1. 低温やけどとの違いはありますか?

温熱性紅斑は、比較的弱い熱が長時間当たり続けて起こる皮膚炎で、40〜50℃ 程度でも生じます。低温やけどと異なり、網目状の色素沈着 が特徴です。

Q2. どれくらいで治りますか?

赤みは自然に薄くなることがあり、数週間 で落ち着く場合もあります。色素沈着が残った場合は、改善までに 数ヶ月以上 かかることがあります。

Q3. 自分でできる対処は?

まず 熱源の遮断 を徹底し、乾燥やかゆみには 保湿剤 を使用します。必要に応じて軽度のステロイド外用薬を短期間用います。

Q4. 色素沈着が気になるときの選択肢は?

状況により、トラネキサム酸やハイドロキノン、ビタミンC外用などを検討します。刺激に注意し、医師へ相談 のうえで選択してください。

Q5. 予防のコツはありますか?

暖房器具は直接当てず短時間にし、ノートPCは膝に 直接置かない ことが基本です。違和感や赤みが出たら すぐ中止 しましょう。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。