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10代 女性のご相談

トリコチロマニア(抜毛癖)ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 髪・まゆ毛・まつ毛などを無意識に繰り返し抜いてしまう
◻︎ 脱毛部が左右非対称・不規則で、短く切れた毛が残って目立ってきた
◻︎ 抜毛に加えて、毛をねじる・口に入れる・飲み込むなどの行動がある
◻︎ 頭皮にかゆみ・赤み・かぶれなどの炎症が出ている

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医師の回答

トリコチロマニアは、抑えきれない衝動により、自身の髪の毛やまつ毛を引き抜いてしまう病気です。

無意識に髪の毛を抜いてしまう…
それは「こころと皮膚」のサインかも

トリコチロマニアは、抑えきれない衝動により、自身の髪の毛やまつ毛を引き抜いてしまう病気です。 抜毛によって起こりますが、原因はさまざまです。 自分で認識しながら抜毛している場合と、無意識のうちに抜毛している場合があり、症状の重度は変動し、生涯繰り返すこともあります。抜毛による脱毛は、髪の毛で最も多く、まゆ毛・まつ毛などでもみられ、円形脱毛のように完全脱毛とはならず短く切れた毛が残っています。学童期の発症が多く、女性に多くみられます。毛髪には異常はなく、情動的な問題に起因するとされています

T.Sさん

テスト前になると前髪をいじる癖が強くなり、無意識に抜いてしまっていました。気づけば左右で長さが違い、短い毛がチクチク残って目立つように。家族に指摘されてもやめられず、自分でも止め方が分からないのが一番つらかったです。

皮膚科で頭皮の状態を診てもらい、円形脱毛症とは違うと説明を受けました。抜毛が起こりやすい時間や状況を記録し、テレビを見る時は手を使う遊びに置き換えるなどの工夫を開始。家族も責めずに声をかけてくれて、少しずつ頻度が減ったのが学びでした。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

左右非対称で不規則な脱毛

短く切れた毛が残る(完全脱毛ではない)

髪以外(まゆ毛・まつ毛など)にも及ぶ

02

経過・持続

意識的または無意識に抜毛を繰り返す

状況や時間帯(退屈時・就寝前など)で起こりやすい

03

随伴症状・背景

不安・ストレス・環境変化・発達特性の関与

抜毛後にねじる/口に入れる・飲み込む行動がある

頭皮のかゆみ・赤み・かぶれを伴うことがある

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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トリコチロマニア(抜毛癖)とは?

トリコチロマニア(抜毛癖)は、自分の髪の毛やまつげ・眉毛・体毛などを自分自身で抜いてしまう習慣的な行動が繰り返される脱毛症の一種で、皮膚疾患というよりも心因性・習慣性の側面を持つ反復行動とされています。抜毛は意識的に行うこともあれば、無意識のうちに髪を触ったり抜いたりしてしまうケースも多く、気づかないうちに症状が進行し、左右非対称で不規則な脱毛部位が目立ってくるのが特徴です。抜毛部には短く切れた毛が残ることが多く、円形脱毛症のような完全脱毛とは異なり、見た目で区別されることもあります。また、抜毛後に毛をねじったり、口に入れる・飲み込むなどの行動を伴うこともあり、テレビを見ながらや、退屈な時間、ストレスを感じたときなどに無意識に手が伸びていることも少なくありません。

この症状は、2歳〜小学生の女児に多く見られ、思春期以降や大人の女性でも繰り返されることがあるため、早期発見と適切な対応が重要です。発症の背景には、不安やストレス、緊張、環境の変化、発達特性(自閉スペクトラム症やADHD傾向)などが関連しており、皮膚の病気というよりは“こころのサイン”として現れる行動と考えられています。几帳面で感受性が強い、頑張りすぎてしまうタイプの子どもや大人に多く、習慣的なクセ行動が強化されることで悪循環に陥ることもあるため、周囲の理解が不可欠です。

皮膚科では、他の脱毛症(円形脱毛症や感染性脱毛、ホルモン異常など)との鑑別を行い、顕微鏡での毛根検査により“引きちぎられた毛根”の確認が可能です。また、頭皮にかゆみや赤み、かぶれなどがある場合には、炎症に対する外用薬の処方も行います。心理的要因が関与していると考えられる場合は、小児科・心療内科・精神科との連携が有効なこともあり、無理のないタイミングで支援を広げていくことが大切です。

治療の基本は、本人を責めたり無理にやめさせようとせず、安心できる環境を整えながら、行動療法的なアプローチや日常生活の見直しを組み合わせることです。「抜いてはダメ!」と叱るより、「不安なことある?」と寄り添う関わり方が有効で、抜毛が起こる状況や時間帯を記録することで行動のパターンを把握する手がかりにもなります。寝る前やテレビを見ている間などに手が動いてしまう場合には、リラックスできる遊びや代替行動を取り入れることで症状の緩和が期待できます。

「髪を抜くクセがやめられない」「子どもの髪が一部だけ短く不自然」「皮膚にも赤みやかぶれが出てきて心配」「人に相談できずに悩んでいる」といった不安を感じたら、まずは皮膚科で頭皮の状態を確認し、必要に応じてご本人の心理状態に寄り添ったサポートを一緒に考えていくことが大切です。

応急処置(今日できること)

  • 叱責せず、安心できる環境づくりと寄り添い

  • 抜毛が起こる場面・時間帯を記録してパターン把握

  • 手を使う代替行動(握る・別の作業など)を用意

  • 頭皮のかゆみ・赤み・かぶれがあれば治療を相談

  • 無理のない範囲で専門医のサポートを検討

一般的なトリコチロマニア(抜毛癖)治療に使われる薬

基本的には薬物療法よりも行動療法・心理療法が中心です。
皮膚科→精神科・心療内科に紹介されることが多いです。

◆ ①【行動療法(第一選択)】
ハビット・リバーサル・トレーニング(HRT) 抜毛しそうなときに代わりの行動を行わせる(例:握る、別の動作)
認知行動療法(CBT) 抜毛のトリガーとなる思考・感情パターンを理解し修正
家族教育 特に小児・思春期では家族の理解とサポートが重要

◆ ②【薬物療法(中等症〜重症例)】
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) フルボキサミン(デプロメール®)、パロキセチン(パキシル®)など
強迫症状が強い場合に使用されることあり
抗精神病薬(非定型) アリピプラゾール(エビリファイ®)など/補助的に使われる例もあり
NAC(N-アセチルシステイン)※未承認薬 海外で報告あり(酸化ストレス軽減作用)/日本では未承認・自己判断での使用不可

病院で何を調べるの?

脱毛部の形・場所・毛の切れ方

炎症やフケがあるか?

抜けた毛の状態(顕微鏡・毛根検査)

本人または家族が「抜いている自覚があるかどうか」

必要に応じて:心療内科・小児精神科への紹介

「トリコチロマニア(抜毛癖)」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

円形脱毛症

つるっとした円形の脱毛/自己免疫が関与 毛が根元から抜ける/炎症なし/毛根の検査でわかる

脂漏性皮膚炎による脱毛

頭皮の赤み・フケ・かゆみ 頭皮に炎症/フケが多い/抗真菌治療で改善することも

白癬(しらくも)

頭皮にカビ感染/かゆみ・フケ・脱毛 毛が折れてる・鱗屑あり/真菌検査で診断

薬剤性脱毛(抗がん剤など)

一気に脱毛/全体的に薄くなる 薬の使用歴が明確/左右対称に出ることも

先天性乏毛症・毛髪異常症

幼少期から毛が細く、切れやすい 家族歴/生まれつき/全体に毛が弱い

故意の脱毛(剃毛・カット)

ハサミやバリカンによる脱毛 直線的・左右対称/毛根は異常なし/本人申告が重要

接触性皮膚炎・アレルギー

染毛剤・シャンプーなどが原因で炎症+脱毛 かゆみ・赤み/原因物質に心当たりがある

トリコチロマニア(抜毛癖)の特徴をチェック!

◻︎ 髪・まゆ毛・まつ毛などを無意識に繰り返し抜いてしまう
◻︎ 脱毛部が左右非対称・不規則で、短く切れた毛が残って目立ってきた
◻︎ 抜毛に加えて、毛をねじる・口に入れる・飲み込むなどの行動がある
◻︎ 頭皮にかゆみ・赤み・かぶれなどの炎症が出ている

▶︎ これらに当てはまれば、「トリコチロマニア(抜毛癖)」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 無意識の抜毛を繰り返す/やめられない
◻︎ 脱毛部が左右非対称で短い毛が残って悪化
◻︎ 毛を口に入れる・飲み込む行動がある
◻︎ 頭皮のかゆみ・赤み・かぶれが強い
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:毛を口に入れる・飲み込む行動がある、頭皮の赤み・かぶれが強い

早めに受診:抜毛がやめられず脱毛部が広がる/学校や生活に支障が出てきた

様子見可:軽度で環境調整や代替行動で落ち着く場合(ただし再燃時は早めに相談)

予防のポイント

  • ストレス・不安をため込まない環境づくり

  • 抜毛のきっかけ・パターンの把握と記録

  • 手を使う別の習慣に置き換える

  • 抜毛のことを責めない対応

  • 皮膚のかゆみや刺激は早めに治療

  • リラックスできる時間・習慣づくり

  • 専門医のサポートを早めに取り入れる

FAQ

Q1. どんな検査をしますか?

脱毛部の形や場所、炎症の有無を見たうえで、顕微鏡による 毛根検査 を行います。必要に応じて 心療内科・小児精神科への紹介 を検討します。

Q2. 円形脱毛症との違いは?

円形脱毛症は“つるっと”完全に抜けますが、トリコチロマニアでは 短く切れた毛が残る、左右非対称で不規則などの所見が特徴です。

Q3. 基本の治療は何ですか?

中心となるのは 行動療法(HRT、CBT) と家族教育です。叱責ではなく寄り添いと環境調整を優先します。

Q4. 薬は使いますか?

中等〜重症ではSSRIなどを検討し、補助的にアリピプラゾールが用いられる例もあります。 NACは国内未承認 で自己判断の使用はできません。

Q5. 自宅でできる工夫は?

抜毛が起こる時間・状況の記録、手を使う 代替行動 の用意、責めない声かけ、頭皮の炎症は早めに治療、リラックス習慣づくりが有効です。

医師

山田 貴博 Yamada Takahiro

略歴
  • 2010年:名古屋市立大学医学部 卒業
  • 2010年:NTT西日本大阪病院、阪南中央病院にて研修
  • 同年:大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学講座にて基礎医学研究に従事
  • 2015年:阪南中央病院皮膚科 勤務
  • 2017年:天下茶屋あみ皮フ科クリニック 開業
  • 2024年:AMI SKIN CLINIC 開設
  • 2025年:東京駒込皮膚科クリニック 開業
私はこれまで、大学病院や地域の中核病院、そしてクリニックにおいて、アトピー性皮膚炎や湿疹といった一般的な皮膚疾患から、皮膚腫瘍の手術、難治性疾患、さらには褥瘡(床ずれ)の管理まで、幅広く研鑽を積んで参りました。皮膚のトラブルは、見た目の悩みだけでなく、痒みや痛みによって日常生活の質(QOL)を大きく下げてしまうものです。「こんな些細なことで相談してもいいのかな?」とためらわず、ぜひお気軽にご相談ください。丁寧な診察と分かりやすい説明を心がけ、地域の皆さまの「肌のホームドクター」として、健やかな毎日を全力でサポートさせていただきます。
 
 

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。