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60代 女性のご相談

眼瞼黄色腫ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ まぶたの腫瘍が赤くただれたり、出血している
◻︎ 痛みがある、または短期間で急に大きくなってきた
◻︎ 触るとしこりが硬く、黄色ではない/色や形が不均一で不安
◻︎ 複数が急に広がった、片側だけ目立っている

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談

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医師の回答

眼瞼黄色腫は、上まぶたの目頭側に黄色味がかった平らな盛り上がり[隆起(りゅうき)]がみられる病気です。

まぶたにできた黄色っぽいふくらみ、
それ「脂質」が関係しているかも!?

眼瞼黄色腫は、上まぶたの目頭側に黄色味がかった平らな盛り上がり[隆起(りゅうき)]がみられる病気です。 まぶたにコレステロールが沈着している状態で、半数は脂質異常症 もしくは 中性脂肪やコレステロールなどの脂質の代謝異常を伴いますが、脂質異常症(または脂質の代謝異常)でなくても発症する場合もあります。

T.Sさん

最初は小さな黄色い斑点が片方の上まぶたに出て、数か月で反対側にも広がりました。痛みはなく、でも写真で見ると目立つのがつらくて相談。医師からは眼瞼黄色腫と説明を受け、「自然には消えにくい」と言われました。

オンラインで相談後に来院し、血液検査で脂質も確認。浅い範囲とのことでCO₂レーザーを受けました。処置は短時間で終了。生活面では食事と運動を意識するようになり、再発予防の大切さを学びました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

上まぶたの目頭寄りに黄色味のある平らな盛り上がり(隆起)がある

左右対称に見られやすい

痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどない

02

経過・持続

小さな斑点からゆっくり広がる/盛り上がることがある

自然に消えることは基本的にない

03

随伴症状・背景

脂質異常症や中性脂肪・LDL高値などの代謝異常を伴うことがある

肥満や糖尿病・高血圧など生活習慣病を抱える方にみられることがある

家族内に似た症状がある場合がある

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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眼瞼黄色腫とは?

眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)とは、上まぶたの内側、特に目頭寄りに左右対称で現れやすい、黄色味を帯びた柔らかいふくらみや斑点のことを指します。これは皮膚内にコレステロールを含む泡沫細胞が蓄積することにより生じる皮膚の良性腫瘍の一種で、痛みやかゆみといった自覚症状はほとんどありませんが、見た目が気になるため美容目的で皮膚科を受診される方が多い疾患です。

主に40代から60代の女性に多く見られ、血液検査でLDLコレステロールや中性脂肪といった脂質の値が高い方、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を抱えている方、また家族内に同様の症状を持つ方に多く発症します。脂質異常症(高脂血症)との関連が強く、実際に眼瞼黄色腫の患者さんの約半数が脂質代謝の異常を伴っていますが、なかには脂質の値が正常であっても発症するケースもあります。加齢や遺伝的な体質、さらには糖尿病、肝機能障害、甲状腺機能異常などとの関連も指摘されており、必ずしも脂質異常がなければ安心というわけではありません。

眼瞼黄色腫は、最初はごく小さな黄色い斑点として現れ、時間の経過とともにゆっくりと広がったり、盛り上がったりしてくることがあります。悪性化することはほとんどありませんが、複数の病変がくっついて目立つようになると、視界に入って気になったり、メイクで隠しづらくなるなど、日常生活の中で煩わしさを感じるようになることも少なくありません。

治療には主に炭酸ガスレーザー(CO₂レーザー)や外科的切除が用いられます。CO₂レーザーは比較的浅い病変に適しており、傷あとが目立ちにくく、日帰りでの処置が可能です。一方、病変が大きい場合や深部に及んでいる場合には、外科的に切除することが選択されることもあります。この場合、縫合を伴うこともありますが、再発率は比較的低く、確実な治療が可能です。なお、薬による治療では、スタチン系などの脂質異常症治療薬を内服し、血中脂質をコントロールすることが推奨されます。ただし、薬だけで既存の黄色腫が消えることは非常にまれであり、あくまで再発防止や全身の健康管理の一環として行われます。

予防や再発防止のためには、まず食生活の見直しが大切です。飽和脂肪酸や糖分を多く含む食事を控え、野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を心がけるとともに、適度な運動を習慣化することで代謝を高めましょう。さらに、定期的な血液検査による脂質や肝機能のチェックも欠かせません。まぶたに黄色っぽい変化を感じた場合には、早めに皮膚科を受診し、眼瞼黄色腫かどうかの診断と必要に応じた治療を受けることが大切です。

見た目の変化にとどまらず、体内の脂質代謝異常や生活習慣病のサインである可能性もあるため、「しみかな?」と思っていたら実は眼瞼黄色腫だった、というケースも少なくありません。「まぶたに黄色いできものが現れてきた」「左右対称に広がってきてメイクで隠れない」「家族にも似たようなものがある」という方は、一度皮膚科での診察を受けることをおすすめします。

応急処置(今日できること)

  • 美容クリームやハイドロキノン・ステロイド外用では改善しないため使用は推奨されません

  • 痛み・出血・急な拡大などの変化があれば早めに受診を
    (上記以外の応急対応は疾患により異なります。自己判断の処置は避け、症状が強い/拡大する場合は医師に相談してください。)

一般的な眼瞼黄色腫治療に使われる薬

① 【脂質異常症がある場合:内服治療】

スタチン系 アトルバスタチン(リピトール)
ロスバスタチン(クレストール) LDLコレステロールを下げる(第一選択)
フィブラート系 ベザフィブラート(ベザトール)
フェノフィブラート(リピディル) 中性脂肪を下げ、HDLを上げる
EPA製剤 エパデール、ロトリガ TGを下げ、動脈硬化予防にも

🔸 脂質異常症がない場合でも予防的に使われることがある
🔸 薬だけで既存の黄色腫が消えることはまれだが、進行や再発の予防目的で使われます。

② 【外用薬:ほとんど使用されない】
現時点で黄色腫に有効な塗り薬(外用薬)は存在しません。
ハイドロキノンやステロイドなどは無効です。
美容クリームでは改善しないため、使用は推奨されません。

病院で何を調べるの?

眼瞼黄色腫そのものは皮膚の表面に現れる症状であり、本体の問題は体内の脂質代謝にあるケースも多いため、

皮膚科だけでなく内科的な検査(血液検査)もセットで行うことが重要です。

「眼瞼黄色腫」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

稗粒腫(はいりゅうしゅ)

目の周りにできる白くて硬いつぶ 1つずつ独立している/白色~黄色で、押すと角質が出ることも

イボ(軟性線維腫・脂漏性角化症)

やや盛り上がった肌色~茶色の良性腫瘍 色や形にばらつきあり/黄色くないことが多い

脂肪腫

皮ふの下のやわらかいしこり より深部/まぶたには少ない/丸くぷにぷにしている

眼瞼がん(まれ)

赤くただれたり出血する腫瘍 痛みや出血・急な拡大があれば要精査

眼瞼黄色腫の特徴をチェック!

◻︎ まぶたの腫瘍が赤くただれたり、出血している
◻︎ 痛みがある、または短期間で急に大きくなってきた
◻︎ 触るとしこりが硬く、黄色ではない/色や形が不均一で不安
◻︎ 複数が急に広がった、片側だけ目立っている

▶︎ これらに当てはまれば、「眼瞼黄色腫」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 痛みや出血を伴う
◻︎ 赤くただれている
◻︎ 短期間で急に大きくなった
◻︎ 黄色ではない・形や色が不均一で不安
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:出血や痛みを伴う/赤くただれている/短期間で急に拡大した

早めに受診:上まぶた内側の黄色い隆起に気づいた、徐々に広がってきた、背景の脂質異常が心配

様子見可:迷う場合も早めに相談。皮膚科とあわせて血液検査の相談を

予防のポイント

  • 飽和脂肪酸や糖分を控え、野菜・魚中心の食事に見直す

  • 適度な運動を習慣化する

  • 定期的に血液検査で脂質や肝機能をチェック

  • まぶたの黄色変化に気づいたら早めに皮膚科へ

FAQ

Q1. どんな検査をしますか?

皮膚の診察に加えて、血液検査で脂質を確認します。皮膚科だけでなく内科的な評価をセットで行うのが大切です。

Q2. 塗り薬や美容クリームで治りますか?

現時点で有効な外用薬はありません。ハイドロキノンやステロイドは無効で、美容クリームでは改善しません

Q3. 薬で小さくできますか?

内服は再発予防や全身管理が主目的で、既存の病変が薬だけで消えることはまれです。処置の適応は医師と相談します。

Q4. 手術とレーザーはどう選びますか?

浅い病変はCO₂レーザー、大きい・深い病変は外科的切除を検討します。傷あとや生活への影響も含めて医師と決めます。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。