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20代 男性のご相談

低温熱傷って、どんな病気?

医師の回答

40〜60℃程度の熱源に皮膚が長時間触れたことで起こるやけどのことです。

〜じんわり温かい…でも長時間で皮膚が深くダメージを受けます〜
携帯カイロ、電気あんか、ホットカーペットなど短時間の接触では熱傷を来さない程度の温度の熱源に長時間接触することで
生じる皮膚の損傷です。受傷時には浅い熱傷と思われても、時間経過とともに深達性となることが多く注意を要します。

低温熱傷(ていおんねっしょう/低温やけど)とは、40〜60℃程度の熱源に皮膚が長時間触れることで起こるやけどの総称です。触れた直後は「温かい」としか感じなくても、皮膚の深部にまで損傷が及ぶことがあり、見た目よりも重症化しやすい点が特徴です。初期には軽い赤みや痛みだけで気づかれにくいのですが、数時間から翌日にかけて水ぶくれやただれが出現し、場合によっては皮膚の壊死や潰瘍に進展することもあります。

たとえば、就寝中に湯たんぽやカイロを直接体に当て続けた場合、電気毛布やこたつで長時間眠ってしまった場合、ホットカーペットで同じ姿勢を続けた場合などに起こりやすいです。また、ペットボトル湯たんぽの使用や、ノートパソコンの裏面が長時間皮膚に接触していることも原因になりえます。低温熱傷はII度やIII度といった深いやけどへ移行することもあるため注意が必要です。

【主な原因】

  • 湯たんぽやカイロを直接皮膚に当てたまま就寝

  • 電気毛布やこたつの長時間使用

  • ホットカーペットに長時間接触

  • ノートパソコンの発熱部位を太ももに置き続ける

  • ペットボトル湯たんぽを高温のままタオルなしで使用

好発部位は太もも、ふくらはぎ、足の甲、腰回りなど、熱源が長時間接触しやすい部位です。乳幼児や高齢者、糖尿病や末梢循環障害をもつ方は特に注意が必要です。皮膚が薄く感覚が鈍い場合、気づかないうちに重症化しやすいからです。

経過としては、初期に赤みやヒリヒリ感が出た後、水ぶくれや白色化を経て、進行すると皮膚が壊死し潰瘍化することがあります。乾燥や圧迫、血流障害、発熱や免疫低下なども悪化因子となります。見た目が軽くても後から重度のやけどに移行するため、早期に皮膚科を受診し適切な治療を受けることで、傷あとや瘢痕を最小限に抑えることが可能になります。

✅ 使用される治療・ケア(低温熱傷)

① 【基本情報と特徴】
▶ 低温熱傷とは、40〜60℃程度の比較的低温の熱源に長時間接触することで発生する深在性熱傷です。
熱源 使い捨てカイロ、湯たんぽ、電気毛布、こたつ、温熱パッドなど
温度 約44〜55℃(一般的なカイロは50〜60℃前後)
接触時間 30分以上の持続接触で発症リスク。2時間以上でIII度に至ることも
部位 皮膚が薄いところ(ふともも、腹部、足首、腰部など)、密着しやすい部位に好発
深さ II〜III度熱傷になることが多く、見た目より深部が重症になりやすい

② 【初期対応】
熱源の除去 まず熱源を取り除く。低温でも密着状態が続くと重篤化するため、早期の離脱が必須
冷却(流水15〜30分) 他の熱傷同様、冷やすことで炎症と深達化を防ぐ。ただし冷えすぎや凍傷に注意
洗浄と保湿の開始 石けんでやさしく洗い、ワセリンやヒルドイドで皮膚バリアの維持を図る
衣類が貼り付いている場合 無理に剥がさず、そのまま受診。創部悪化や出血リスクがある

③ 【外用薬・創傷管理】
I度〜浅達性II度 保湿剤(ヒルドイド・ワセリン)+アズノール軟膏など 赤み・軽い水疱なら湿潤環境維持が中心
水疱・びらんあり 抗菌軟膏(ゲーベン・ソフラチュール)+創傷被覆材(ハイドロコロイドなど) 滲出液が多い場合は吸収性のあるガーゼで管理
深達性II〜III度 デブリードマン(壊死組織切除)+外科的処置(植皮) 自己判断せず早期に皮膚科/形成外科へ。壊死が進行することが多いため注意
感染兆候がある場合 抗菌外用薬+内服抗生剤(セフェム系など) 膿・発熱・悪臭がある場合は感染対策を追加
色素沈着・瘢痕が残る場合 トラネキサム酸、ハイドロキノン、シリコンシートなど 長期ケアとして瘢痕管理・美容的対応も必要な場合あり

④ 【受診・紹介の目安】
水疱・びらんができている II度以上の熱傷が疑われるため、受診が必要
皮膚が黒ずんでいる or 硬くなっている 深部壊死・III度熱傷の可能性 → 皮膚科/形成外科への紹介を検討
1週間以上経っても治らない・悪化傾向がある 潜在的な壊死が進行していることがある → 必ず医師の診察を
顔面・関節・小児・高齢者の場合 機能・整容の問題があるため、早期の評価・処置が推奨される

 ◆ 病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:受傷の状況、熱源の種類、接触時間を確認します。皮膚の色調や水ぶくれの有無を観察し、やけどの深さと範囲を推定します。初期は軽く見えても、経過で重症化する可能性があるため注意深く経過観察されます。

  • 触診:患部の硬さや感覚の有無を確認することで、真皮や皮下組織の損傷の程度を推定します。痛みが少ない場合は神経まで損傷している可能性があるため重要な手掛かりになります。

  • 皮膚生検:壊死や深達性の熱傷が疑われる際に行われることがあります。局所麻酔下で組織を採取し、損傷の深さや壊死の範囲を顕微鏡で確認します。結果までに数日かかり、瘢痕が残るリスクがあります。

  • 細菌培養検査:ジュクジュクした滲出液や感染が疑われる部位から検体を採取し、細菌の有無や抗菌薬の感受性を調べます。感染合併例では早期の治療選択に役立ちます。

  • 血液検査:広範囲熱傷や全身状態に影響がある場合に実施されます。炎症反応(CRP)、白血球数、腎機能や血糖値を確認し、合併症や感染リスクを把握します。糖尿病や高齢者ではとくに慎重に評価されます。

  • 画像検査(必要時):広範囲や深部に及ぶと疑われる場合、MRIや超音波で皮下組織や筋肉の状態を確認することがあります。外科的治療が必要かどうかの判断に用いられます。

🩺 他の熱傷との違い(類似疾患との比較)

低温熱傷 40〜60℃ 長時間接触

⇒赤+水ぶくれ/境界不明瞭/時間経過で水疱 見た目軽くても真皮深部まで達することあり

I度熱傷 60℃以上一瞬 瞬間的接触

⇒赤み・痛み/水ぶくれなし 数日で治ることが多い

II度熱傷 高温短時間 熱湯や油はね

⇒水ぶくれ・痛み・ただれ 治癒までに時間がかかり、跡が残る場合も

日焼け

⇒紫外線による熱傷 日光曝露 赤み・熱感・かゆみ/むけてくる 熱傷とは原因が異なるが似た見た目

予防のポイント
湯たんぽやカイロは必ずタオルで包んで使う
就寝中は電気毛布やカイロを直接当てない
同じ姿勢で長時間熱源に触れないようにする
ホットカーペットの上で寝続けない
ノートパソコンは膝や素肌に長時間置かない
子どもや高齢者には必ず見守りをつける
肌が赤くなった時点で使用を中止する
日頃から皮膚を保湿し乾燥や摩擦を減らす

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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