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40代 男性のご相談

皮膚そう痒症ってどんな病気?

医師の回答

皮膚そう痒症では、皮膚に発疹がないにもかかわらず、かゆみを生じる皮膚の病気で、引っかき傷がよくみられます。

〜かゆいけど湿疹がない… その“かゆみだけ”の正体とは〜
加齢に伴う皮膚の乾燥、糖尿病、腎臓や肝臓の病気、神経の病気などが主な原因となります。高齢者では原因となる病気がなくても、皮膚そう痒症が生じることがあります。かゆみはからだ中のいたるところに生じ、体温の上昇をきっかけに悪化しやすいことが知られています。

皮膚そう痒症(ひふそうようしょう)とは、明らかな発疹や湿疹がないにもかかわらず、かゆみだけが続く状態を指す総称です。皮膚表面に大きな変化が見られないため、周囲に理解されにくい一方で、ご本人には強い苦痛をもたらすことがあります。夜間や入浴後に症状が強まることが多く、掻き壊すことで二次的に湿疹や色素沈着へ進展する場合もあります。かゆみの背景には皮膚自体の乾燥だけでなく、肝臓や腎臓、血液疾患など体内の異常や神経の影響が関与することもあるため、皮膚科のみならず内科的評価も重要になることがあります。

たとえば乾燥によるタイプ、加齢性のバリア機能低下、内臓疾患に伴うタイプ、神経やストレスに関連するタイプなどが知られています。乾燥、肝障害、腎不全、糖尿病、甲状腺異常、悪性腫瘍、精神的要因など、複数が絡み合って症状を長引かせることもあります。

【主な原因】

    • 乾燥や皮脂欠乏によるバリア機能の低下

    • 肝障害・腎不全などの内臓疾患に伴うかゆみ

    • 糖尿病や甲状腺機能異常に関連する代謝性要因

    • ストレスや不安など精神的要因

    • 脊髄疾患や末梢神経の障害による神経性要因

好発部位は手首、足首、腰、すね、背中などの皮膚で、さらに口の中、舌、頬粘膜、爪、頭皮にも見られます。中高年に多く発症し、男女差は明らかではありませんが、アレルギー体質や慢性疾患をもつ方に起こりやすい傾向があります。

経過は初期に赤紫色の発疹が出て強いかゆみを伴い、掻破によってさらに拡大します。悪化すると滲出やただれを起こし、長期化すると苔癬化(皮膚の肥厚や硬化)、色素沈着が残ることがあります。乾燥や摩擦、ストレス、感染、薬剤などが悪化因子となり、症状を慢性化させます。早期に受診し適切な治療を受けることで、症状の軽減や生活の質の維持につながります。

✅ 治療薬・対処法
◆ ①【外用薬】
分類 主な薬剤名 用途・特徴
保湿剤 ヒルドイド、ワセリン、尿素クリームなど 乾燥防止が最重要
ステロイド外用薬 ロコイド、キンダベートなど かき壊しで湿疹がある場合に限定使用
非ステロイド抗炎症薬 プロトピックなど ステロイドが使いにくい部位に
カプサイシン軟膏 一部使用例あり(末梢神経の脱感作目的)

◆ ②【内服薬】
分類 主な薬剤名 特徴
抗ヒスタミン薬 アレグラ、ザイザル、アタラックスPなど 夜間のかゆみ対策に有効/鎮静作用あり
抗アレルギー薬 ルパフィン、ビラノアなど 軽度~中等度のかゆみに対応
抗うつ薬系 ミアンセリン、アミトリプチリン など 神経性・難治性のそう痒に使用されることあり
漢方薬 当帰飲子(とうきいんし)など 皮膚乾燥+かゆみに対応(高齢者に使いやすい)

◆ ③【全身疾患へのアプローチ】
必要に応じて以下の検査・対応を行います。

検査・治療 内容
血液検査 肝機能、腎機能、甲状腺、血糖などの評価
原因疾患の治療 透析の改善・胆汁うっ滞の解消・甲状腺治療など
精神的サポート 睡眠薬、抗不安薬、認知行動療法(CBT)などの併用も検討されることあり

 ◆ 病院で何を調べるの?

      • 視診・問診:皮膚に発疹や湿疹がないかを確認し、かゆみの経過や生活習慣を聞き取ります。皮膚そう痒症か、他の湿疹や皮膚炎かを区別する基本になります。

      • 血液検査:肝機能・腎機能・血糖・甲状腺ホルモン・炎症マーカー・IgEなどを調べます。皮膚以外の疾患がかゆみの背景にないかを把握するため重要です。

      • 皮膚生検:肉眼で異常がなくても別の疾患が疑われる場合に行います。局所麻酔で小さな皮膚片を採取し、数日かけて顕微鏡で評価します。まれに瘢痕が残る可能性があります。

      • パッチテスト:かぶれや接触アレルギーの可能性を調べます。背中などに試薬を貼り、48〜72時間後に反応を判定します。検査期間中は入浴や外用薬の使用に制限があることがあります。

      • 真菌鏡検(KOH試験):かゆみの原因に水虫などの真菌感染が隠れていないかを調べます。皮膚片を顕微鏡で観察し、短時間で判定できます。

      • 細菌培養:掻き壊しや二次感染が疑われる場合に行い、細菌の有無や種類を確認します。抗生物質が必要かどうかの判断材料になります。

      • 必要に応じた臓器評価:心エコーや尿検査など、全身疾患の可能性がある場合に内科で追加されます。皮膚そう痒症が全身病のサインになることもあるためです。

🔍 皮膚そう痒症と間違えやすい類似疾患(鑑別)

皮脂欠乏症(乾皮症)
⇒乾燥肌でカサカサ・粉ふき/かゆみ強い        見た目に乾燥や細かい皮むけあり/冬に悪化 

蕁麻疹(じんましん)
⇒ミミズ腫れのような赤い盛り上がり/数時間で消える        発疹が出たり消えたり/食事や疲労が誘因になることも 

アトピー性皮膚炎
⇒幼少期からの慢性的なかゆみ+赤み        湿疹・カサつきがはっきりある/左右対称に出る 

糖尿病・肝疾患・腎疾患に伴うかゆみ
⇒内科的な異常による全身のかゆみ        皮疹なし/血液検査でわかる/夜間悪化しやすい 

皮膚そう痒型リンパ腫
⇒特に高齢者で、慢性的な強いかゆみ        しつこく続く/皮疹なし→後に出現/皮膚生検が必要なことも 

心因性そう痒症
⇒ストレスや不安による皮膚のかゆみ        皮ふには変化なし/精神的ストレスがきっかけ

予防のポイント
入浴はぬるめのお湯で短時間にする
低刺激の石けんやボディソープを使用する
入浴後は保湿剤を全身に塗布する
室内では加湿器を使い湿度を保つ
汗や摩擦を避ける衣服を選ぶ
規則正しい睡眠でかゆみを悪化させない
ストレスをためない生活習慣を心がける
改善しない場合は早めに皮膚科を受診する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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