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10代 男性のご相談

風疹【三日はしか】ってどんな病気?

医師の回答

風疹は、風疹ウイルスに感染することによって引き起こされる感染症で、一般的に「三日はしか」とも呼ばれています

〜発疹と発熱が特徴のウイルス感染症。大人も子どもも予防が大切〜
飛沫感染、接触感染により感染します。原因ウイルスに対して免疫を持たない人が感染すると、2~3週間後に病気を発症しますが、症状が軽いか、症状がないために感染したことに気付かないこともあります。

風疹(ふうしん)とは、風疹ウイルスによって引き起こされる急性のウイルス感染症で、三日はしかとも呼ばれます。発熱や赤い発疹、リンパ節の腫れを主な症状とし、子どもに多くみられますが、大人が感染すると重症化することもあります。発疹は顔から始まり、首・体幹・手足へと広がり、数日で自然に消えることが多いです。潜伏期間は14〜21日で、発症の前後にも感染力があるため注意が必要です。とくに妊婦が感染すると胎児に先天性風疹症候群を起こす可能性があり、社会的にも重要な感染症とされています。

たとえば、軽症例では微熱と発疹のみで終わる一方、成人例では関節痛、頭痛、結膜充血などを伴うことがあります。麻疹(はしか)や突発性発疹など、他のウイルス性発疹症と区別が難しいことも少なくありません。

【主な原因】

    • 風疹ウイルスの飛沫感染(咳やくしゃみによる拡散)

    • ウイルスの付着した手で口や鼻を触れる接触感染

    • ワクチン未接種や抗体価が不十分なことによる感受性

    • 集団生活環境での濃厚接触による感染拡大

好発部位は手首、足首、腰、すね、背中などの皮膚で、さらに口の中、舌、頬粘膜、爪、頭皮にも見られます。中高年に多く発症し、男女差は明らかではありませんが、アレルギー体質や慢性疾患をもつ方に起こりやすい傾向があります。

経過は初期に赤紫色の発疹が出て強いかゆみを伴い、掻破によってさらに拡大します。悪化すると滲出やただれを起こし、長期化すると苔癬化(皮膚の肥厚や硬化)、色素沈着が残ることがあります。乾燥や摩擦、ストレス、感染、薬剤などが悪化因子となり、症状を慢性化させます。早期に受診し適切な治療を受けることで、症状の軽減や生活の質の維持につながります。

✅ 治療法
風疹に対する特異的な抗ウイルス薬は存在せず、対症療法が基本です。

分類 主な治療内容
解熱・鎮痛薬 アセトアミノフェン(カロナール)など
安静・保湿・栄養補給 高熱・発疹時の一般的対処
合併症がある場合 血液検査・入院対応(血小板減少・脳炎など)

 ◆ 病院で何を調べるの?

      • 視診・問診:発疹の出現部位や広がり、発熱・リンパ節腫脹などを確認し、流行状況やワクチン接種歴も聞き取ります。他の発疹性ウイルス感染症との鑑別に役立ちます。
      • 血液検査(抗体検査):風疹ウイルスに対するIgM抗体・IgG抗体を測定します。急性期の感染や既感染歴、免疫の有無を判定できます。妊娠を希望する女性には特に推奨されます。

      • PCR検査:鼻咽頭ぬぐい液や血液から風疹ウイルスの遺伝子を直接検出します。流行期や妊娠中の診断に用いられることがあり、精度が高いのが特徴です。

      • 血液一般検査:白血球数や血小板数、炎症マーカーを確認します。合併症として血小板減少性紫斑病や炎症が疑われる場合に有用です。

      • 鑑別検査:麻疹や突発性発疹、伝染性紅斑などと区別するため、必要に応じて追加の血清学的検査や感染症関連の検査が行われます。

🔍 風疹と間違えやすい類似疾患(鑑別)

麻疹(はしか)
⇒高熱・咳・鼻水+鮮やかな赤い発疹        発熱が強く、発疹の前に口の中に白い斑点(コプリック斑)/合併症が多い

突発性発疹(乳児)
⇒高熱のあとに発疹/1歳未満に多い        熱が下がった後に発疹が出る/かゆみはなし/リンパ腫れは軽い

伝染性紅斑(りんご病)
⇒両ほほが赤くなり→腕や足にレース状の発疹        顔が赤くなる/熱は軽い or なし/発疹が消えたり出たりする

薬疹(薬による発疹)
⇒薬の服用後に発疹/かゆみや赤みが強い        服薬歴あり/左右対称/顔より体幹中心

猩紅熱(しょうこうねつ)
⇒高熱+喉の痛み+発疹+苺舌        口の中・舌に特徴/溶連菌が原因/抗生物質が必要

サイトメガロウイルス感染症
⇒妊婦や免疫低下者に重症化/発熱・リンパ節腫大・発疹        血液検査で判別/成人では不顕性感染が多い

髄膜炎菌感染症
⇒高熱+発疹+意識障害も        緊急を要する/斑状出血や紫斑あり

予防のポイント
定期接種の時期に風疹ワクチンまたはMRワクチンを接種する
過去の接種歴や感染歴が不明な場合は抗体検査を受ける
妊娠を希望する方は妊娠前に抗体価を確認し、不足時は接種しておく
妊娠中は接種できないため、周囲の家族も含めてワクチンで予防する
流行期には人混みを避け、マスクや手洗いを徹底する
咳やくしゃみの際は咳エチケットを守り、飛沫感染を防ぐ
十分な睡眠と栄養で免疫力を保ち、感染しにくい体を維持する
発疹や発熱が出た場合は外出を控え、早めに受診する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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