
50代 男性のご相談
レイノー現象、レイノー病ってどんな病気?

医師の回答
レイノー現象は、寒さによる刺激や精神的なストレスによって手足の血流が一時的に悪化する状態です。


〜寒さやストレスで指先が真っ白に?それ、血管の反応かもしれません〜 レイノー現象は、寒さによる刺激や精神的なストレスによって手足の血流が一時的に悪化する状態です。血流が悪くなることで手足が蒼白になり、冷感やしびれ、痛みを伴います。また、指先の皮膚は蒼白、紫、赤と色調が変化します。レイノー現象は、原因が明らかでない場合はレイノー病、他の病気が原因で生じる場合はレイノー症候群と呼ばれます。 女性に多く、冬の手足が冷えた際にあらわれやすいのが特徴です。
レイノー現象とは、寒さや精神的ストレスをきっかけに指先や足先の血流が一時的に低下し、色の変化やしびれを引き起こす症状の総称です。特に冬場や冷水に触れた際に見られ、指先が白色から紫色、さらに赤色へと変化するのが特徴です。多くは自然に回復しますが、背景に全身性疾患が隠れている場合もあり、注意が必要です。
レイノー病は一次性レイノー現象を指し、他の病気を伴わない体質的な血管反応のタイプです。若年女性に多く、経過は比較的良好です。一方で、二次性レイノー現象は膠原病(全身性強皮症、SLE、皮膚筋炎など)や動脈疾患に伴うことがあり、皮膚潰瘍や爪周囲の血管拡張、関節症状を合併することもあります。
【主な原因】
寒冷刺激による末梢血管の過敏な収縮
精神的ストレスによる自律神経の影響
膠原病などの全身性疾患に伴う血管障害
動脈硬化や末梢循環不全に関連する場合
好発部位は手指や足趾で、特に女性に多く見られます。10〜30代で発症する一次性のケースが多い一方、中高年以降の発症では二次性を考慮します。寒冷環境や冷水、強いストレスの場面で誘発されやすく、朝の起床時などにも生じます。
経過は、初期には指先が真っ白に(虚血)、続いて紫色(うっ血)、最後に赤色(再灌流)となる三相の色調変化が典型的です。症状が繰り返されると潰瘍や苔癬化〔たいせんか〕に至る場合もあります。乾燥、喫煙、ストレス、寒冷曝露が悪化因子となり得ます。早期に受診することで背景疾患の診断や、血管拡張薬を用いた治療により生活の質を守ることができます。

✅ 治療法
◆ 生活指導(基本)
内容 対策
保温 手袋・靴下・マフラー/特に手指・足趾を冷やさない
ストレス軽減 リラクゼーション、十分な睡眠
禁煙 ニコチンは血管収縮を悪化させるため厳禁!
カフェイン控えめ 血管収縮作用あり(個人差あり)
◆ 薬物療法(必要な場合)
薬剤分類 例 目的
カルシウム拮抗薬(第一選択)
・ニフェジピン(アダラート®)
・アムロジピン(ノルバスク®)
血管拡張作用で発作予防/一次性・二次性ともに有効
PDE5阻害薬
・シルデナフィル(バイアグラ®)
・タダラフィル(ザルティア®)
血管拡張作用/指尖潰瘍や強皮症例で使用されることも
プロスタグランジン製剤(点滴)
・アルプロスタジル(リプル®など)
難治性・重症例(潰瘍形成時)/入院下で使用される
抗血小板薬 バイアスピリン®など 血流改善/潰瘍予防
漢方薬 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 など 冷え体質の改善に使用されることも
◆ 病院で何を調べるの?
- 視診・問診:発作時の色調変化や誘因、持続時間を確認します。寒冷曝露の有無やストレス状況も詳しく聴取し、一次性か二次性かの手がかりになります。
毛細血管鏡検査:爪周囲の毛細血管を観察し、拡張や異常構造を評価します。二次性レイノー現象の診断に有用で、非侵襲的に行える点が利点です。
血液検査(自己抗体):膠原病の関与を調べるため、抗核抗体や抗セントロメア抗体などを測定します。異常があれば精密検査や専門科紹介につながります。
血流評価(ドプラ超音波検査):末梢血流の途絶や再開をリアルタイムに評価します。動脈病変の有無を調べる補助的検査です。
皮膚生検:潰瘍や難治例で行うことがあり、血管炎や膠原病性変化の有無を確認します。局所麻酔で行いますが、小さな瘢痕が残る可能性があります。
フォトテストや冷水負荷試験:寒冷刺激で症状が再現されるか確認します。誘発検査として有用ですが、症状を一時的に強くするため医師の管理下で実施されます。
🔍 レイノー現象、レイノー病と間違えやすい疾患(類似疾患)
凍瘡(しもやけ/凍傷)
⇒ 寒さで指が赤く腫れて痛い/ジュクジュクすることも 左右差あり/腫れてかゆみ強い/色変化は少ない
バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)
⇒ 若い喫煙者の手足の血管が詰まり、潰瘍や壊死に 進行性/潰瘍・壊死・壊疽あり/喫煙歴がカギ
末梢動脈疾患(PAD)
⇒ 血管の動脈硬化で血流不足/高齢者に多い 歩くと痛い(間欠性跛行)/動脈拍動の低下あり
強皮症(全身性硬化症)
⇒ 自己免疫性疾患で皮ふが硬くなる/約90%でレイノー現象あり 皮膚の硬さ・指の関節拘縮・内臓症状もある
ループス(SLE)・皮膚筋炎などの膠原病
⇒ 皮疹・関節痛・発熱・レイノー現象が出ることあり 血液検査で異常/他の全身症状あり
アクロチアノーシス(先端チアノーゼ)
⇒ 常に手足が紫色っぽい/冷えやすい 色の変化が一時的でなく、ずっと冷たい/痛みはあまりない
薬剤性レイノー
⇒ 一部の抗がん剤・β遮断薬などで誘発される 服薬歴がヒント/薬の中止で改善することも
予防のポイント 冬場や冷房下では手袋・靴下で保温する 冷たい水や氷への直接接触を避ける エアコンの風を直接受けないようにする 十分な保湿で皮膚の乾燥を防ぐ 禁煙を徹底して末梢循環を守る ストレスを減らす工夫(深呼吸・軽運動)を取り入れる 睡眠や食生活を整えて体調を安定させる 指先に傷や潰瘍が出た場合は早めに医療機関を受診する
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
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