
40代 男性のご相談
石灰化上皮腫ってどんな病気?

医師の回答
石灰化上皮腫は、皮膚の一部分に、石灰のようにごつごつと硬いこぶができる病気です。
〜皮膚の下に“硬いしこり”?子どもにも大人にも見られる良性腫瘍です〜 石灰化上皮腫は、皮膚の一部分に、石灰のようにごつごつと硬いこぶができる病気です。
本来は毛となるはずの細胞が異常な形で増殖してしまったことが原因の一つと考えられています。
石灰化上皮腫が発生した部位の表面の皮膚は、多くの場合、周囲の皮膚と同じ色ですが、皮膚が薄い部分にできた場合は、
黄白色や黒っぽくみえる場合があります。
通常、自覚症状はありませんが、こぶを押すと痛みがあったり、軽いかゆみを伴ったりする場合もあります。
石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)とは、皮膚の下に硬いしこりを生じる良性の皮膚腫瘍です。毛を作る細胞(毛母細胞)の変化によって発生するとされ、しこりの内部にカルシウムが沈着して石のように触れるのが特徴です。多くはゆっくり大きくなり、赤みや強い痛みを伴うことは少なく、10歳前後の子どもや若年成人に多く見られますが、大人にも発生します。自然に消えることはまれで、診断や治療には皮膚科での評価が必要となります。
石灰化上皮腫の代表的な例として、顔や首、腕、肩、背中にできる硬い結節があります。大きさは数ミリから数センチまでさまざまで、皮膚の表面近くにある場合は青白く透けて見えることもあります。皮膚の下でコリコリと動きにくい感触があり、脂肪腫など他の皮膚腫瘍と区別が必要です。
【主な原因】
毛包(毛の根元部分)の細胞異常
小さな外傷や炎症後の変化
遺伝的素因との関与
好発部位は顔、首、上腕、肩、背中などで、外見的に目立つ部位に発生することもあります。年齢では小児から若年成人に多いとされますが、幅広い年代でみられます。
経過としては、初期は小さなしこりから始まり、時間とともに硬さを増しながらゆっくりと増大します。まれに炎症を起こして赤く腫れたり、感染で膿がたまることもあります。長期に存在すると皮膚の引きつれや変形を伴うことがあり、再発予防のためにも早めの切除が望ましいです。適切な治療により多くの場合は完治し、見た目や生活の質の改善につながります。

✅ 治療法
❗ 薬による治療は基本的になく、外科的切除が原則です。
◆ ①【外科的切除(第一選択)】
腫瘍を完全に摘出 局所麻酔下で日帰り手術が可能なことが多い
手術法 紡錘形切開+皮膚縫合が一般的(小さい場合は円形切開も)
再発予防のために 被膜ごと完全に取り除くことが重要。中途半端な摘出では再発リスクあり
石灰化が強い場合 内容物が石のように硬いため、切開して中身を出しながら摘出することもある
傷跡 顔面など目立つ部位では形成外科的に丁寧に縫合されることもある
◆ ②【経過観察が可能な場合(例外的)】
非露出部/ごく小さく無症状の場合 希望により経過観察することも可能。ただし自然治癒はしない
高齢者や持病がある人 手術が困難な場合は経過観察。ただし感染や破裂には注意が必要
◆ ③【化膿や炎症がある場合】
赤み・腫れ・痛みがある場合 一時的に抗生物質の内服や、切開排膿を行う
感染が治まってから 数週間後に改めて完全切除するのが基本
✅ 治療に使われる薬(補助的)
抗生物質(内服) セフェム系(例:セフカペンピボキシル)など 感染・炎症を伴う場合のみ短期使用
鎮痛薬 アセトアミノフェンなど 手術後や炎症時の痛み止めとして補助的に使用
◆ 病院で何を調べるの?
- 視診・触診:皮膚科医が大きさや硬さ、動きやすさを確認し、脂肪腫や粉瘤など他の腫瘍との鑑別を行います。外見や触感だけでもある程度の診断が可能です。
- 超音波検査(エコー):皮下腫瘍の内部構造を確認し、石灰化の有無や大きさを把握します。痛みがなく短時間で実施できる検査です。
- X線検査:しこりの内部にカルシウムが沈着している場合、白く写ることで特徴的な所見が得られます。特に硬い腫瘤が疑われるときに有用です。
- 皮膚生検・切除後病理検査:局所麻酔下で腫瘍を部分的に、あるいは全体を切除し、顕微鏡で確認します。良性か悪性かを確定する唯一の方法であり、診断と治療を兼ねることもあります。
- 細菌培養検査:腫瘍に炎症や膿がみられる場合に行い、細菌感染の有無や菌種を確認します。抗菌薬の選択に役立ちます。
🔍 石灰化上皮腫と間違えやすい皮膚・皮下腫瘍(類似疾患)
粉瘤(ふんりゅう/アテローム)⇒皮膚の下にやわらかなしこり/中心に黒い穴 押すと臭い内容物が出ることも/感染で腫れる
脂肪腫
⇒やわらかくて皮膚の奥にある/痛みは少ない 触るとふわっとしている/石灰化しない
表皮嚢腫
⇒毛根由来/皮膚と連続するやわらかい腫瘤 皮膚表面に小さな穴があることも
石灰沈着症(皮膚石灰沈着)
⇒局所にカルシウムが沈着/皮膚がかたくなる 全身性の病気(膠原病など)に伴うことも
皮膚線維腫
⇒小さくて硬いしこり/押すとくぼむ 色素沈着があることも/変化しにくい
石灰化を伴う皮膚がん(まれ)
⇒ごく一部の皮膚がんで石灰沈着を伴うことも 急激な増大・潰瘍化・出血などあれば要注意
リンパ管腫・血管腫(皮下)⇒赤紫っぽく透けるしこり/ふにゃっとした感触 触るとやわらかい/血液やリンパの腫瘍/エコーで確認
予防のポイント
気になるしこりは放置せず早めに皮膚科を受診する
不要な刺激や自己処置(つぶす・押す)を避ける
衣服やアクセサリーで繰り返し摩擦を与えないようにする
全身のスキンケアで乾燥や炎症を防ぐ
小さな外傷や虫刺されの後は清潔を保つ
手術後は医師の指示どおり創部を管理する
定期的に自己観察し、サイズや色の変化に注意する
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
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