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50代 男性のご相談

脂漏性角化症/老人性疣贅ってどんな病気?

医師の回答

脂漏性角化症とは「老人性疣贅」とも呼ばれるいぼの一種でシミから隆起することがあります。

〜最近できた“茶色いポツポツ”…それ「脂漏性角化症/老人性いぼ」かも!?〜
脂漏性角化症とは「老人性疣贅」とも呼ばれるいぼの一種でシミから隆起することがあります。
褐色から黒色の円形~楕円形のやや盛り上がったできものが顔、首、からだなどにあらわれます。
加齢とともに増えていき、80歳以上でほぼ100%の方にできるとされています。
通常はかゆみや痛みはありませんが、触るなどの刺激により赤みやかゆみがみられることがあります。
まれに多発する場合もあります。

脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)とは、別名「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」とも呼ばれる良性の皮膚腫瘍で、年齢とともに皮膚に現れる“いぼ”の総称です。多くは茶色〜黒色で、表面がザラついたり、かさぶた状に見えます。加齢とともに発生頻度が高くなり、顔や体幹、四肢など全身に出ることがあります。がんではありませんが、見た目が皮膚がんに似る場合があり、鑑別のために診察が重要とされます。

たとえば、顔(特にこめかみ・頬)、胸、背中、腹部、手足など、あらゆる部位に生じます。薄いしみのように始まるタイプ、しっかり盛り上がった結節状のタイプ、表面がポロポロとはがれ落ちやすいタイプなどが代表例です。

【主な原因】

  • 加齢に伴う皮膚細胞の変化

  • 紫外線による長期的なダメージ

  • 遺伝的素因や家族歴の影響

  • ホルモン変化や皮脂分泌との関連

好発部位は顔・首・胸・背中・腹部・四肢と広範囲に及びます。特に紫外線を浴びやすい部位に出やすく、40代以降の男女に多い傾向があります。家族に同様の病変を持つ方や、屋外活動の多い人にもよくみられます。

経過はゆっくり進み、最初は平らなシミ状に見えても、徐々に盛り上がり、表面がザラついた角化病変に変化します。かゆみや炎症を伴い、引っかきや摩擦で出血することもあります。自然に消えることはなく、紫外線や乾燥、摩擦が悪化因子になります。早期に受診してがんとの鑑別を行い、必要に応じて治療すれば安心につながります。

✅ 脂漏性角化症に使われる薬は?
🔺 基本的に「薬で治す」ことはできません。
なぜならこれは皮膚の表皮細胞の良性腫瘍であり、薬では縮小・消失しないからです。

✅ 治療の基本は「除去」
液体窒素(凍結療法) 綿棒で-196℃の液体窒素を押し当てて組織を壊死させる 最も一般的。保険適用あり
電気焼灼(電気メス) 高周波で焼いて蒸散させる 出血が少なく、整容性に優れる。保険適用あり
炭酸ガスレーザー(CO₂レーザー) 正確に削るレーザー 保険外(自費)になることが多いが仕上がりはきれい
外科的切除 メスでくり抜く 大きなものや悪性疑いがある場合に行うことも

 ◆ 病院で何を調べるの?

  • 視診・触診:皮膚科医が病変の形態や色調を観察し、良性腫瘍か皮膚がんかを見分ける第一歩となります。典型例では視診のみで診断可能ですが、不明瞭な場合は追加検査が必要です。
  • ダーモスコピー(皮膚鏡検査):拡大鏡で病変を詳細に観察し、特有の角質栓や網目模様を確認します。メラノーマなど悪性腫瘍との鑑別に有用で、外来ですぐに実施可能です。
  • 皮膚生検:一部を局所麻酔下で採取し、病理組織を顕微鏡で確認します。診断の確定に重要で、結果は数日〜1週間程度で判明します。小さな瘢痕が残る可能性があります。
  • 病理検査(組織診断):採取した検体を詳細に解析し、良性か悪性かを明確にします。脂漏性角化症の典型的所見(表皮の肥厚・角質の堆積)を確認できます。
  • 必要時の画像記録:診察時に写真を撮り、経過観察や再診時の比較に活用します。特に色や形の変化がある場合、時系列で確認できる点が有用です。

◇ 間違えやすい他の病気(鑑別)

 基底細胞がん

⇒黒く光沢がある/出血しやすい 周囲が硬く盛り上がる/治らない傷のように見えることも 

悪性黒色腫(メラノーマ)

⇒急に大きくなる/色がまだら 色ムラ・非対称・出血/痛み・かゆみも

 日光角化症

⇒赤っぽい・ざらざら 紫外線の影響部位(顔・手)に出やすい/前がん状態の場合も

予防のポイント
紫外線を避け、日焼け止めや帽子で皮膚を保護する
肌をこすらず、低刺激の洗浄剤を用いる
保湿を心がけ、乾燥から皮膚を守る
衣類やアクセサリーによる摩擦を避ける
自己処理で削ったりはがしたりしない
定期的に皮膚の状態を観察し、変化があれば早めに受診する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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