
50代 女性のご相談
脂肪腫ってどんな病気?

医師の回答
脂肪腫は、皮膚構造の中で一番下にある「皮下組織」にできる良性の腫瘍(脂肪のかたまり)で多くみられるものです。


〜やわらかくて動く「しこり」、それは“脂肪腫”かも!?〜 脂肪腫は、皮膚構造の中で一番下にある「皮下組織」にできる良性の腫瘍(脂肪のかたまり)で多くみられるものです。
ひとつの場合もあれば、複数できる場合もあります。 からだのどこにでもでき、通常、自覚症状はありません。
大きさは1~10cmと大小さまざまで、やわらかいしこりとして気付くことがあります。
脂肪腫によって神経が圧迫されると、痛みを伴う場合もあります。
脂肪腫(しぼうしゅ)は、皮膚のすぐ下にできる脂肪細胞の良性腫瘍で、からだのどこにでも発生することがあります。やわらかく、皮膚の下で動く「しこり」として気づかれることが多く、多くの場合は痛みやかゆみなどの自覚症状がありません。
背中や腕、肩、太ももなど脂肪の多い部位にできやすく、1cm〜10cm以上に成長することもあります。通常は良性ですが、大きくなったり、神経を圧迫して痛みが出るケースもあります。
脂肪腫はがんとは異なり、転移の心配はありません。気になる場合や見た目、痛みなどの症状がある場合は、**皮膚科での診察・エコー検査(超音波)などにより診断が可能です。必要に応じて局所麻酔での切除手術(日帰り可)**も行われ、摘出後は病理検査により確定診断ができます。
「しこりができた」「脂肪のかたまりのようなものが動く」など、気になる変化があれば良性かどうかの確認のためにも早めに受診しましょう。
✅ 脂肪腫の治療に使用されるお薬は?
脂肪腫に効果がある内服薬・外用薬はありません。
✅ なぜ薬では治らないのか?
脂肪腫は「腫瘍(脂肪細胞のかたまり)」であり、炎症や感染ではないため
抗生物質・ステロイド・漢方薬などでは効果がなく、消えることもありません
✅ 標準的な治療法:外科的切除のみ
外科的摘出手術 局所麻酔で皮膚を切開し、脂肪腫を取り除く ✅ 適用される(大きさ・部位により)
形成外科での整容的手術 顔・首など目立つ場所では美容的に配慮した切除 ✅ 保険 or 自費(病院による)
経過観察 小さくて症状がない場合は放置も可能 ✅ 特に治療なし
🔬 病院で何を調べるの?
1. 視診と触診
医師が見た目の状態と触った感触で、脂肪腫かどうかを判断します。
やわらかく、皮膚の下で動くしこりが特徴です。
急な大きさの変化や硬さ、痛みの有無も確認されます。
2. エコー(超音波)検査
脂肪腫の内部構造・深さ・周囲との境界を確認します。
痛みがなく、外来で簡単に行える検査です。
脂肪腫と他の腫瘍(粉瘤、ガングリオン、悪性腫瘍など)との鑑別にも役立ちます。
3. 必要に応じて:MRIやCT
深部や筋肉内の脂肪腫、神経や血管に近い場合などで行うことがあります。神経圧迫による症状があるときや、手術前の精密な位置確認にも使用されます。
🔍 他の“しこり”との見分け方(鑑別)
粉瘤(ふんりゅう)⇒毛穴由来のしこり/中央に穴/臭い内容物あり 感染すると赤く腫れる・化膿することも
ガングリオン
⇒手首・関節まわりに多い/硬いしこり 透明なゼリー状の中身/動きに伴い変化あり
脂肪肉腫(悪性)
⇒急に大きくなる/硬くて痛いことも 画像検査や生検が必要になることも
予防のポイント
きになるものがあれば、病院で相談しましょう
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
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