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10代 男性のご相談

外歯瘻ってどんな病気?

医師の回答

"外歯瘻は、虫歯や歯周病が原因で口の中の炎症が悪化し、顔や首の皮膚までトンネル状の管[瘻孔(ろうこう)]が形成され、溜まった膿(うみ)が顔の皮膚側から排出される病気です。

〜あごの皮ふにニキビのような穴が?それ、「外歯瘻(がいしろう)」かも!?〜
外歯瘻(がいしろう)は、むし歯や歯の神経の病気が進行して歯の根の先に膿がたまり、それが皮膚の外に出口をつくることで起こる状態です。
多くの場合、あごや頬の皮膚に小さな赤いできものやしこりのようなふくらみができ、そこから膿がにじみ出たり、自然に排出されたりします。
痛みを伴わないこともあるため、皮膚の炎症やニキビと間違われることがありますが、原因は皮膚ではなく歯の中にあります。
外から見える症状に対して皮膚科的な処置をしても根本的な改善にはつながらず、歯の根の治療(根管治療)や抜歯といった歯科での対応が必要です。
症状が長引いたり、皮膚に瘢痕(あと)が残ることを防ぐためにも、早期に歯科で診断を受け、適切な処置を行うことが大切です。

外歯瘻(がいしろう)は、虫歯や歯周病などによって口の中に生じた感染が進行し、やがてあごや頬、首などの皮膚にまで達して膿(うみ)の通り道、つまり「瘻孔(ろうこう)」と呼ばれるトンネル状の出口を形成し、皮膚側から膿が排出される病気です。通常は、顔の皮膚にニキビのような小さな赤い腫れやしこりができ、中央がわずかにへこんだドーム状の形をしており、やがて中から膿や血液がにじみ出てくることがあります。このような症状は皮膚科的な疾患(粉瘤や皮下膿瘍など)と見間違われることも多いのですが、本当の原因は皮膚ではなく「歯の根っこの感染」にある点が外歯瘻の最大の特徴です。

この疾患が最もよく見られる部位は下あごの前方や側面(下顎角)、頬や口のわき、場合によっては顎下から首の皮膚にかけてなど、顔の下半分に偏って発症する傾向があります。

皮膚表面の症状だけを見ると、一見するとニキビや皮膚腫瘍のように見えますが、実際には虫歯を放置して歯髄炎や根尖性歯周炎(歯の根の先に膿がたまる病気)に進行したものが骨を通り抜けて皮膚に膿の出口を作っている状態です。原因としては、進行した虫歯の放置や、根管治療(歯の神経をとる治療)の失敗、歯の破折、親知らずの周囲の炎症、過去の歯科治療後のトラブルなどが挙げられます。

外歯瘻は、虫歯の痛みがすでに治まっていたり、歯自体に違和感がないケースも少なくありません。そのため、「歯に痛みがないから歯が原因ではないだろう」と自己判断しやすく、長期間放置されやすい病気です。皮膚科で抗菌薬や軟膏による治療を受け、一時的に膿が減っても、歯の感染源が残っていれば再発を繰り返します。このような慢性炎症が続くと、最終的には顎骨まで感染が広がり、手術が必要になることもあるため注意が必要です。

外歯瘻の治療には、皮膚の処置ではなく、まず歯科での根本治療が最優先となります。感染している歯の神経の再治療(根管治療)や、場合によっては抜歯、膿を外に出す処置(ドレナージ)、外科的な歯周治療などが行われます。これにより感染の原因が取り除かれると、皮膚にできた穴(瘻孔)は自然にふさがっていくことが多く、手術的な皮膚処置を行わなくても改善します。皮膚科では、必要に応じて抗生物質の内服や局所の洗浄処置を行ったり、粉瘤や他の皮膚疾患との鑑別診断を行う役割を担います。

もしも「あごや頬にニキビのようなできものが何度も出る」「しこりが治ったと思ったらまた出てくる」「膿が出ているのに痛みがない」「皮膚科で治療を受けても良くならない」といった症状があれば、それは皮膚の問題ではなく、歯が原因となっている外歯瘻の可能性が高いと考えられます。特に、過去に虫歯や歯の神経治療を受けたことがある方は要注意です。

✅ 外歯瘻の治療の基本原則
🎯 歯の感染源(虫歯や歯の根)を治療しない限り、薬だけでは治りません。

その為、
根本治療は歯科での処置(根管治療または抜歯)が必要
皮膚科や内科で処方される薬はあくまで一時的な対症療法

✅ 外歯瘻に使われる薬(補助的)
① 【抗菌薬(細菌感染に対して)】
▶ 歯性感染症に効果のある抗生物質

アモキシシリン サワシリン、パセトシン 最もよく使われるペニシリン系。第一選択薬
クラブラン酸配合アモキシシリン オーグメンチン βラクタマーゼ阻害剤配合でより効果的
セファレキシン ケフレックス ペニシリンアレルギーの場合に使うことあり
クリンダマイシン ダラシン アレルギーがある場合や嫌気性菌を疑うとき

🔸 通常は5~7日間程度の内服が行われますが、瘻孔がある限りは再発しやすいです。

② 【鎮痛・消炎薬】

アセトアミノフェン カロナールなど 炎症・発熱・痛みの緩和
ロキソプロフェン ロキソニンなど 痛みや腫れが強いときに使用されることも

③ 【皮膚病変への対処(皮膚科での補助)】
瘻孔部が腫れている場合、抗菌外用薬(ゲンタシン軟膏など)が処方されることも

ただし皮膚の処置のみでは再発を繰り返します

 🔬 病院で何を調べるの?

外歯瘻の診断には、「皮膚の異常」と「口腔内の感染源」の両方を評価する必要があります。
皮膚の症状だけ見ても根本原因はわからないことが多く、レントゲンによる歯の根の病変確認が極めて重要です。

 

🩺 間違えやすい皮ふ病(鑑別疾患)

 ニキビ(尋常性ざ瘡)

⇒思春期やストレス時にできる皮脂の炎症 数が多い/顔全体に分布/歯との関連はない

 化膿性汗腺炎(あせも・膿のかたまり)

⇒汗腺の出口が詰まって膿がたまる わき・股などに多い/歯に関係しない

 表皮嚢腫(アテローム)

⇒脂肪のかたまりが腫れて膿む しこり感/切開で治療可能/歯に無関係

 瘻孔のある皮ふがん

⇒まれに悪性腫瘍でも膿やしこりを作る 長期持続・硬い・急速に大きくなるときは精査が必要

予防のポイント
外歯瘻は皮膚にできる「できもの」ですが、その原因は歯の根にある慢性的な感染です。
そのため、肌トラブルに見えても、実際は口腔内の健康管理が予防のカギとなります。
虫歯や歯の根の病気を放置せず、早期発見・早期治療を徹底することが、最も効果的な予防策です。

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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