40代 女性のご相談
太田母斑ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説
⚠️まずは緊急度をチェック
◻︎ 顔の片側に青〜青黒いあざが続いている
◻︎ 生まれつき、または思春期以降に出てきた色が消えない
◻︎ 「シミかな?」と思ったが時間がたっても薄くならない
◻︎ まぶたや白目(結膜)にも青みがある
▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を
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医師の回答
顔にあらわれる青アザのようなアザ、
それは生まれつきの色素の病気かもしれません

S.Cさん
学生の頃から、右目の下に青っぽい影のような色がありました。歳を重ねても薄くならず、写真写りも気になっていました。片側だけに青みが持続することが不安で、太田母斑について相談しました。
医師から外用薬では難しいと説明を受け、レーザー治療を選択。数回の照射を計画し、施術後は赤みが落ち着くまでUVケアを徹底しています。オンラインで相談できたことで、治療の見通しが立ち安心できました。
30秒セルフチェック/診断チャート
01
症状の出方・強さ
顔の片側に青〜青黒い色がある
目のまわり・頬・こめかみ・額・鼻のわきなどに見られる
化粧(コンシーラー等)で隠しにくい
02
経過・持続
生まれつき、または思春期以降に出現して持続する
自然に薄くならない
03
随伴症状・背景
まぶたや白目(結膜)にも青みが出ることがある
アジア系女性に多い傾向
両側に出ることもまれにある
結論
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談
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太田母斑とは?
見た目は青あざのようですが、皮膚の深い層(真皮)にメラニン色素をつくるメラノサイトという細胞が残ってしまっていることが原因とされており、病気というよりも「色素細胞の配置に関する体質」とも言えるものです。
太田母斑には、生まれたときから存在する「早発型」と、思春期以降に出現する「遅発型」があり、遅発型のうち一部は「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」という独立した疾患として扱われます。
太田母斑の色は肌の表面ではなく深部から発色するため、コンシーラーやファンデーションでは隠しにくく、見た目に悩みを感じる方も多くいらっしゃいます。片側だけに現れるのが典型的ですが、まれに両側に出るケースや、眼球の白目(結膜)に青みが見られることもあります。発症の背景には遺伝的な体質も関係するとされ、特にアジア系(日本人・韓国人など)の女性に多く見られる傾向があります。
このあざは自然に薄くなることはなく、外用薬や内服薬(ステロイド、美白剤、漢方薬など)では効果がないとされています。そのため、治療の第一選択はレーザー治療となります。色素を少しずつ破壊・排出させる仕組みで、保険適用されることもあります。肌の状態や色の深さ、部位、年齢によって必要な回数は異なりますが、一般的には数回から十数回の治療が必要です。最近では「ピコレーザー」と呼ばれるより新しい機器も登場しており、炎症や色素沈着のリスクが少ないとされる場合もあります。
「太田母斑(おおたぼはん)」に対して、塗り薬や飲み薬などの薬物療法は基本的に無効です。
太田母斑は皮膚の深い層(真皮)に存在するメラニン色素が原因のため、外用薬や内服薬では届かず、効果が期待できません。1回では消えないことが多く、数回〜十数回の照射が必要なことも。小児期から治療を始めると効果が高い傾向もあります!
肌の色や部位、年齢によって反応が違うので、まずは診察を受けてプランを立てましょう。
応急処置(今日できること)
一般的な太田母斑治療
治療の第一選択は「レーザー治療」
▶ 保険適用となる医療用レーザー
・Qスイッチルビーレーザー:太田母斑に保険適用。メラニンを選択的に破壊 ←一般的
・QスイッチNd:YAGレーザー より深部まで届く。肌質や部位で使い分け
・ピコレーザー(ピコ秒レーザー) :炎症や色素沈着が起きにくい傾向。
レーザー治療後には一時的に赤みやかさぶたが生じることもありますが、通常は数日から1週間ほどで落ち着き、回数を重ねるごとに徐々に色が薄くなっていきます。
治療の際は、日焼け対策や保湿などのスキンケアも重要で、紫外線による色素沈着を防ぐためにもUVケアを徹底することが推奨されます。

「太田母斑」と似ている症状の病気(鑑別疾患)
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
青~灰色の小さな点が両側に出ることが多い 20代以降に発症/両頬に左右対称で出る
扁平母斑(へんぺいぼはん)
茶色く平らなシミ状のアザ 青っぽさがない/表皮性なので浅い
異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)
通常お尻にできる蒙古斑が顔や肩に現れる 赤ちゃんの時に発見される/時間とともに自然に薄くなることも
色素性母斑(ほくろ)
小さな茶〜黒の点/少し盛り上がることも 丸い形・成長に伴い変化することもある
色素沈着(炎症後)
にきび・けがの跡が茶色く残る 局所的・時間経過で少しずつ薄くなる傾向あり
カフェオレ斑
均一な明るい茶色/神経線維腫症と関係する場合も 境界がはっきり&青みはないのが特徴
太田母斑の特徴をチェック!
◻︎ 顔の片側に青〜青黒いあざが続いている
◻︎ 生まれつき、または思春期以降に出てきた色が消えない
◻︎ 「シミかな?」と思ったが時間がたっても薄くならない
◻︎ まぶたや白目(結膜)にも青みがある
▶︎ これらに当てはまれば、「太田母斑」や関連する疾患の可能性があります
⚠️緊急度をチェック!
◻︎ 生下時または思春期以降に出て消えない
◻︎ まぶたや白目にも青みがある
◻︎ 「シミかな?」と思ったが薄くならない
▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を
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受診の目安(タイムライン)
当日〜翌日:白目やまぶたの色が気になる/早めに治療の見通しを立てたい
早めに受診:顔の片側に青〜青黒い色が続き、化粧で隠しにくい
様子見可:自己判断は避け、判断に迷う場合も相談を推奨
予防のポイント
紫外線対策を徹底(UVケア)
保湿などのスキンケアを継続
FAQ
Q1. 診断はどのように行いますか?
Q2. 薬で治りますか?
Q3. 何回くらいレーザーが必要ですか?
Q4. 保険適用はありますか?
監修薬剤師/公衆衛生学修士
畔原 篤 Atsushi Azehara
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
執筆者
ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。






