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40代 女性のご相談

紫斑ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 打った覚えがないのにアザ(紫斑)が急に増えた
◻︎ 口の中や白目、尿・便などに出血がある
◻︎ 紫斑が全身に広がっている
◻︎ 発熱・関節痛・腹痛など全身症状を伴う
◻︎ 出血が止まらない

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談

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医師の回答

紫斑は、皮膚の内出血によりあざが出る病気で、血管の炎症によるものとそれ以外に分けられます。

「打った覚えがないのに皮膚にアザが…」
そんなときは“紫斑かも!?

紫斑(しはん)とは、皮膚の下に出血がにじんでできる赤紫色のあざで、加齢や薬の影響、血管の炎症などが原因です。 代表的なものには、皮膚や血管の老化による「老人性紫斑」、ステロイド薬の長期使用による「ステロイド紫斑」、原因不明で若い女性に多い 「単純性紫斑」などがあります。多くは自然に治りますが、急に増えたり、出血が止まらない場合は医療機関の受診が必要です。

N.Aさん

数日前から、打った覚えがないのに膝下に小さな紫の点が現れ、翌日には手の甲にも増えてきました。痛みはほぼなく、赤紫から茶色に変わる感じ。打った覚えのないアザが増えるのが不安で、経過はスマホで撮影していました。

オンラインで相談すると、問診と写真で評価のうえ、採血や尿検査の案内を受けました。皮膚の保護と保湿を続け、ステロイド外用は避けるよう指示。急に増えたり全身症状が出たら早めに受診、というポイントを学びました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

打撲していないのに赤紫〜茶色の斑点/あざが出る

手や腕に出やすい(高齢・皮膚がもろい場合)

膝下に米粒大の点状出血が散在(単純性紫斑)

02

経過・持続

自然に治るが繰り返すことがある(老人性紫斑)

数や範囲が急に増える/広がる

03

随伴症状・背景

発熱・関節痛・腹痛などの全身症状

口の中・白目・尿便の出血

薬の服用歴(ステロイド薬・抗血栓薬)や感染後の発症

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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紫斑とは?

紫斑(しはん)は、皮膚の下に出血がにじんでできる赤紫〜茶色の斑点で、「打撲していないのにアザができた」ときに疑われる状態です。これは毛細血管が破れて起こる皮膚の内出血で、高齢者や血管・血液に異常のある方に多く見られます。

  • 老人性紫斑:加齢による皮膚や血管の弱化で、軽い刺激でも手や腕にアザができやすくなります。

  • ステロイド紫斑:ステロイド外用薬・内服薬の長期使用によって皮膚が薄くなり、内出血が起こりやすくなった状態。

  • 単純性紫斑:原因が特定できず、若い女性に多くみられます。膝下などに米粒ほどの小さな紫斑が出現し、自然に治癒します。

  • 血管炎による紫斑:IgA血管炎など、血管そのものに炎症が起きて紫斑が現れます。

紫斑があらわれやすい人
  • 高齢の方

  • ステロイド薬や抗血栓薬を使用している方

  • 血液疾患や自己免疫疾患をもつ方

  • 風邪などの感染後にアザが出てきたお子さん

受診の目安

以下のような症状があれば、皮膚科または内科の受診をおすすめします

  • 打った覚えがないのにアザが急に増えた

  • 口の中や白目、尿・便などに出血がある

  • 紫斑が全身に広がっている

  • 発熱、関節痛、腹痛などの全身症状を伴う

応急処置(今日できること)

応急対応は疾患により異なります。自己判断の処置は避け、症状が強い/拡大する/痛む場合は医師に相談してください。

一般的な紫斑治療に使われる薬

紫斑は「疾患の“症状”」であり、治療薬は原因疾患に応じて異なります。

◆ ①【アレルギー性紫斑(Henoch-Schönlein紫斑病/IgA血管炎)】
プレドニゾロン(ステロイド内服) 腹痛・関節痛・腎炎などがある中等症以上に
抗ヒスタミン薬(アレグラ、ザイザルなど) 軽症の皮膚症状やかゆみに
PPI(胃薬) ステロイド投与時の胃保護
免疫抑制薬(シクロスポリンなど) 難治性腎病変がある重症例で検討

◆ ②【血小板減少性紫斑病(ITP:特発性血小板減少性紫斑病)】
プレドニゾロン(内服 or 点滴) 第一選択。血小板破壊を抑える
免疫グロブリン製剤(IVIG) 急性期の重度出血 or 手術前の応急処置
トロンボポエチン受容体作動薬 エルトロンボパグ(レボレード)など。血小板の産生促進
リツキシマブ 難治性例でのB細胞抑制
脾摘術(非薬物治療) 再発例で検討されることも

◆ ③【老人性紫斑/ステロイド紫斑(皮膚の脆弱性による)】
保湿剤(ヒルドイド、ワセリン) 皮膚の乾燥・脆弱化対策
ビタミンC製剤(シナールなど) 毛細血管の強化(補助的)
✕ ステロイド外用薬は避ける 長期使用により皮膚が薄くなり紫斑が悪化する可能性あり

◆ ④【感染・薬剤・膠原病に伴う紫斑】
敗血症など感染性紫斑 抗生物質(カルバペネム系など)+支持療法
SLE・血管炎など膠原病性紫斑 ステロイド、免疫抑制薬(シクロフォスファミドなど)
抗凝固薬・抗血小板薬による紫斑 原因薬の中止 or 調整(ヘパリン・ワルファリンなど)
ワーファリン紫斑症 ワルファリン中止+ビタミンK or プロトロンビン製剤

病院で何を調べるの?

1. 問診・視診

いつから紫斑が出たか
打撲など外傷の有無
薬の服用歴(特にステロイドや抗血栓薬)
他の出血症状(鼻血・歯ぐきの出血・月経過多など)
痛みやかゆみの有無
最近の風邪や感染症の有無
家族歴(血液の病気など)

2. 血液検査

紫斑の原因を特定するために、以下のような血液検査が行われます。

血小板数
PT・APTT(凝固時間)
出血時間・血小板機能検査
肝機能検査(AST, ALT, ALP, γ-GTP)
腎機能検査(BUN・Cr)
CRP・白血球数
自己抗体(ANA、ANCAなど)
ウイルスマーカー(HBV、HCVなど)

3. 尿検査

血尿・蛋白尿がないかをチェック。
特にIgA血管炎や血液疾患の合併症として腎臓の異常があるか確認します。

4. 皮膚生検

紫斑の正確な診断をつけるために、皮膚の一部を切り取って顕微鏡で調べます。
血管炎(IgA血管炎など)や腫瘍性疾患との鑑別に重要です。

5. 骨髄検査(必要に応じて)

血小板減少が強い場合や、白血病・骨髄異形成症候群などが疑われるときに行います。

「紫斑」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

加齢・皮膚の脆弱化

老人性紫斑 手の甲などに多い/自然に治るが繰り返す

薬の副作用

抗血小板薬・抗凝固薬・ステロイドなど 服薬歴のある方は要チェック!

血液疾患

ITP(特発性血小板減少性紫斑病)、白血病など 出血しやすくなる/内科との連携が必要

感染・ウイルス

溶連菌、髄膜炎菌、デング熱など 全身症状+急な紫斑出現/重症例あり

膠原病・自己免疫疾患

アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)/全身性エリテマトーデス(SLE)など 関節痛・腹痛・腎炎などを伴うことも

紫斑の特徴をチェック!

◻︎ 打った覚えがないのにアザ(紫斑)が急に増えた
◻︎ 口の中や白目、尿・便などに出血がある
◻︎ 紫斑が全身に広がっている
◻︎ 発熱・関節痛・腹痛など全身症状を伴う
◻︎ 出血が止まらない

▶︎ これらに当てはまれば、「紫斑」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 口の中や白目、尿・便に出血がある
◻︎ 発熱・関節痛・腹痛など全身症状を伴う
◻︎ 打撲なしのアザが急に増える
◻︎ 紫斑が全身に広がる
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:粘膜(口・白目)や尿・便の出血がある/発熱・関節痛・腹痛を伴う/全身に広がる

早めに受診:打った覚えがないのに数や範囲が急に増えた/薬剤使用中で心配なとき

様子見可:軽い刺激で手足に出て自然に引くあざが繰り返す(老人性紫斑が疑われる場合)。

予防のポイント

  • 皮膚の保護と保湿を意識する

  • 外傷を避ける工夫をする

  • ステロイド薬・血液をサラサラにする薬の使用者は注意

  • 栄養バランスのよい食事を心がける

  • 急なアザや紫斑は写真に残しておく

FAQ

Q1. 検査は何をしますか?

血液では 血小板数PT・APTT を含む凝固系、肝腎機能、炎症反応、自己抗体などを確認します。尿検査で血尿・蛋白尿を確認し、必要に応じ皮膚生検や骨髄検査を行います。

Q2. どれくらいで治りますか?

老人性や単純性などでは、状況により 自然に治ることがある とされています。ただし急に増える、粘膜出血や全身症状を伴う場合は早めに受診してください。

Q3. 市販薬や外用薬でケアしてよい?

皮膚がもろいタイプでは ステロイド外用は避ける のが基本です。保湿など皮膚保護を続け、評価や治療の要否は医師と相談してください。

Q4. どんな人が注意すべき?

高齢者ステロイド薬・抗血栓薬の使用者、血液・自己免疫の病気がある人、感染後の小児は早めの相談をおすすめします。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。