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10代 男性のご相談

尋常性魚鱗癬ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 全身が真っ赤になり発熱を伴い、急速に悪化している
◻︎ 新生児期から明らかな全身のうろこ状の皮むけが強い
◻︎ 湿った部位がジュクジュクし、白いかす状の皮むけがある
◻︎ 足の裏や指の間にフケ様の皮むけとかゆみがあり、うつる可能性がある

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医師の回答

尋常性魚鱗癬は、腕や脚の皮膚が乾燥してゴワゴワと硬くなる病気です。

皮膚が乾燥して、うろこのように…
先天的な「角化症」です

尋常性魚鱗癬は、腕や脚の皮膚が乾燥してゴワゴワと硬くなる病気です。遺伝子の異常により、皮膚のバリア機能が正常に働かないことによって生じます。硬くなった皮膚は、ひび割れて魚の鱗のようになります。 軽症であることが多く、乾燥以外の自覚症状はあまりありませんが、まれにかゆみを伴うことがあります。子どもに多く、成長とともに症状は落ち着きます。症状は冬になると悪化する傾向にあります

Y.Aさん

冬になると脛がカサカサして白い皮が目立ち、左右同じところに出ます。体育の後は粉をふいたように見えて恥ずかしく、時々かゆみも。家族にも似た症状があり、冬に悪化し左右対称に出るのが自分も当てはまると感じました。

オンラインで相談し、保湿を中心に続ける方針に。入浴後5分以内に保湿することや、洗いすぎを避けること、衣類の刺激に注意するポイントを教わりました。冬は加湿器を使い、夏も汗による乾燥に気をつけるようにしたところ、見た目の悩みが少し楽になりました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

脛や腕の外側に乾燥とうろこ状の角質

左右対称で、ゴワゴワ硬くなる

顔や手のひら・足の裏は比較的保たれる

02

経過・持続

生後数か月〜幼児期に目立ち始める

冬に悪化し、夏は比較的軽快する

03

随伴症状・背景

家族内に同様の皮膚所見があることが多い

かゆみはあっても軽度なことが多い

重症型(他の魚鱗癬)とは経過が異なる

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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尋常性魚鱗癬とは?

尋常性魚鱗癬(じんじょうせいぎょりんせん)とは、生まれつきの遺伝性皮膚疾患のひとつで、皮膚が乾燥してカサカサし、うろこ状の角質がはがれる状態を引き起こす角化症の総称です。生後まもなくから幼児期にかけて目立つようになり、思春期以降に軽快する例もありますが、生涯を通して乾燥傾向が残る場合もあります。冬に悪化しやすく、夏は比較的軽快するなどの季節変動が見られることも特徴です。命に関わる病気ではなく、主に見た目や乾燥の症状が日常生活の悩みとなります。

たとえば、脛や腕に出やすい乾燥性の皮疹は、左右対称で、うろこのような角質を伴います。肘・膝・背中にも広がることがあり、顔や手のひら・足の裏は比較的保たれるのが典型的です。同じ魚鱗癬でも、重症型(先天性魚鱗癬など)は異なる経過を示しますが、尋常性魚鱗癬は軽症で日常生活に支障が少ないとされます。

【主な原因】

  • 遺伝による角化異常

  • フィラグリンという皮膚タンパクの異常

  • 常染色体優性遺伝による遺伝性素因

  • 角層のターンオーバーや剥離機構の異常

好発部位は脛・腕の外側で、肘・膝・背中にも出やすく、左右対称に広がります。顔・お尻・手のひら・足の裏は比較的保たれることが多いです。幼児期から症状が始まり、家族内にも同様の皮膚所見が見られることが多いため、遺伝性疾患の特徴を示します。

経過としては、生後数か月から3歳頃に目立ち始め、思春期以降に軽快するケースもありますが、多くは乾燥しやすさが持続します。冬の乾燥や衣類による摩擦、汗の出にくさなどが悪化因子となります。早期に皮膚科で診断を受け、適切なスキンケアや薬物療法を導入することで、外見上の悩みを軽減し、生活の質を高めることが可能です。

応急処置(今日できること)

  • 毎日保湿剤を塗布して乾燥を防ぐ

  • 入浴後5分以内に保湿する

  • 石けん・ボディソープの洗いすぎを避ける

  • 冬は加湿器で室内の湿度を保つ

  • 刺激の少ない柔らかな衣類を選ぶ

  • 夏も日焼けや汗による乾燥に注意する

  • 見た目が気になる・不安がある場合は早めに皮膚科で相談する

一般的な尋常性魚鱗癬治療に使われる薬

◆ ①【保湿剤(角質軟化+保湿)】
尿素含有外用薬 ウレパールクリーム/ローション 乾燥・角質肥厚の改善。主力薬剤
ヘパリン類似物質 ヒルドイドソフト軟膏、ローション 保湿+血行促進。刺激が少なく顔や小児にも使いやすい
ワセリン系 白色ワセリン、プロペト 皮膚バリアの補強。刺激が少ないが、保湿力や角質軟化力はやや弱い
グリセリン・セラミド系保湿剤 市販品含む バリア機能を補うスキンケア的アプローチ

◆ ②【角質溶解・ターンオーバー調整】
サリチル酸ワセリン サリチル酸ワセリン2~5% 角質をやわらかくする。ひじ・かかと・すねなど局所に使用
ビタミンA誘導体(レチノイド)外用薬 トレチノイン(※保険外) 表皮代謝促進。赤みや刺激が出やすいため医師管理下で使用

◆ ③【重症例/特殊例での内服・外用】
ビタミンA製剤(内服) エトレチナート(チガソン®) 重症例や他型魚鱗癬(尋常性以外)で使用されることがある。催奇形性あり・女性注意!
抗ヒスタミン薬 アレグラ、ザイザルなど かゆみが強い場合の補助的内服
ステロイド外用薬 一般的には使わないが、炎症や湿疹を併発した場合に局所的に使用

病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:皮膚の乾燥やうろこ状の角質の有無、左右対称性、家族歴などを確認します。特に小児期の発症や季節性の変動を問診で把握することが重要です。

  • 皮膚生検:角質の肥厚やターンオーバー異常を組織学的に確認するために行います。局所麻酔で皮膚の一部を採取し、数日後に結果が出ます。瘢痕のリスクがあるため必要時のみ実施されます。

  • 遺伝子検査:フィラグリン遺伝子など関連する遺伝子変異を確認することで、確定診断や他の魚鱗癬との鑑別に役立ちます。結果が出るまで数週間かかることもあります。

  • 血液検査:合併症や他の皮膚疾患との鑑別のために炎症マーカーや免疫学的検査を行うことがあります。重症例では他の遺伝性疾患の有無を調べる一助になります。

  • ダーモスコピー(皮膚鏡検査):角質の厚みや皮膚表面のパターンを非侵襲的に観察します。アトピー性皮膚炎や乾癬などとの区別に役立ちます。

「尋常性魚鱗癬」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

アトピー性皮膚炎

乾燥+かゆみ/赤みも出る 左右対称・関節の内側に出やすい/かゆみが主役 

乾癬(かんせん)

赤みの上に厚い銀白色のフケ/慢性で繰り返す 肘・膝・頭皮に多く、境界くっきり/かゆみ軽度

寒冷乾燥皮膚炎

冬に出るガサガサ/高齢者や乾燥肌に多い 一時的なもの/生活習慣や環境で変化

X連鎖性魚鱗癬

遺伝性/全身にうろこ状の皮むけ/新生児から明らか 尋常性より重症で全身に出やすい/男子に多い

剥脱性皮膚炎

全身に赤みと皮むけ/原因薬剤や病気が背景にあることも 全身が真っ赤・発熱あり/急速に悪化することも

老人性乾皮症

高齢者に多い/下肢を中心に粉をふいたような乾燥 加齢による皮脂分泌の低下が原因/かゆみが強いことも

皮膚カンジダ症

湿った部位にジュクジュク+白いかす状の皮むけ 湿潤・かゆみ・赤みが主/乾燥とは逆の症状が多い

水虫(足白癬)

足の裏や指の間にフケ様の皮むけやかゆみ 真菌検査で診断確定/他人にうつることも

尋常性魚鱗癬の特徴をチェック!

◻︎ 全身が真っ赤になり発熱を伴い、急速に悪化している
◻︎ 新生児期から明らかな全身のうろこ状の皮むけが強い
◻︎ 湿った部位がジュクジュクし、白いかす状の皮むけがある
◻︎ 足の裏や指の間にフケ様の皮むけとかゆみがあり、うつる可能性がある

▶︎ これらに当てはまれば、「尋常性魚鱗癬」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 全身の強い赤み+発熱で急速に悪化
◻︎ 新生児期からの全身性の強い皮むけ
◻︎ 湿った部位のジュクジュクと白いかす状の皮むけ
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:全身が赤くなり発熱を伴う、急に悪化している

早めに受診:広範囲に乾燥とうろこ状の皮むけが続く/見た目の悩みが強い/冬季に悪化を繰り返す

様子見可:軽度で日常生活に支障が少ない場合。ただし迷うときは早めに相談を

予防のポイント

  • 毎日保湿し、入浴後5分以内に塗る

  • 洗いすぎを避ける

  • 冬は加湿器で湿度を保つ

  • 刺激の少ない柔らかな衣類を選ぶ

  • 夏も日焼けや汗による乾燥に注意

  • 家族に同様の症状がある場合は予防策を共有する

FAQ

Q1. どこに出やすいですか?

脛や腕の外側に左右対称で出やすく、顔や手のひら・足の裏は保たれるのが典型です。肘・膝・背中にも広がることがあります。

Q2. いつから目立ち、季節で変わりますか?

生後数か月〜幼児期に目立ち、思春期以降に軽快する例があります。冬に悪化し夏は軽快する季節変動が特徴です。

Q3. 検査は何をしますか?

症状と経過から判断し、必要に応じて視診・問診を中心に、皮膚生検・遺伝子検査、血液検査、ダーモスコピーなどで評価します。

Q4. どんな治療が使われますか?

基本は保湿剤で乾燥と角質肥厚を改善します。部位によりサリチル酸ワセリンなどの角質溶解、重症例では医師管理下でビタミンA製剤が検討されます。

Q5. 子どもでも使える薬はありますか?

ヘパリン類似物質は刺激が少なく小児にも使いやすいとされます。使い方は年齢や部位で調整します。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。