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30代 男性のご相談

マラセチア毛包炎ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 背中・胸・肩・上腕に赤いブツブツや膿が増え、かゆみが強い
◻︎ ニキビ治療(角質ケア・抗炎症薬)で改善せず、むしろ悪化する
◻︎ 何度も再発する/広い範囲に多発している
◻︎ ジュクジュクして急に拡がる(とびひ等の感染が疑われる)
◻︎ 免疫低下がある、またはステロイド外用を長期使用している

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談

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医師の回答

マラセチア毛包炎は、マラセチアという常在するカビ(真菌)が毛包で増殖することによって引き起こされる病気です。

ニキビかと思ったらカビ!?
背中や肩のブツブツ、実は別の皮膚トラブルかも

脂が多い皮膚、高温多湿、ジョギングのTシャツ などの環境下で、マラセチアが異常に増殖することで発症します。 胸や背中などに、毛穴に一致した赤いボツボツとした症状がみられます。症状が悪化すると、赤いボツボツが増え、膿(うみ)もみられ、かゆみを伴う場合もあります。顔にでないことでざ瘡と鑑別されます。再発することもあります。

S.Aさん

夏にランニングを始めた頃、背中に細かい赤いブツブツが一気に広がりました。ニキビだと思って市販のケアを続けましたが、かゆみと膿が目立って不安に。汗をかく日ほど悪化し、Tシャツの擦れもつらかったです。

オンラインで相談し、マラセチア毛包炎を指摘されました。抗真菌外用を続け、運動後はすぐにシャワーと着替えを徹底。数週間で新しい発疹が出にくくなり、再発のサインにも気づけるように。ニキビと違う病気を早めに知れたのが一番の学びでした。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

毛穴に一致した赤いブツブツ/小さな膿疱が多発

背中・肩・胸・上腕に目立つ(顔は少なめ)

かゆみを伴うことがある

02

経過・持続

高温多湿・汗・運動後に悪化しやすい

再発を繰り返すことがある

03

随伴症状・背景

ニキビ薬で改善しない/悪化する

皮脂が多い・蒸れる服装やオイル系スキンケア

ステロイド外用の長期使用/免疫低下

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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マラセチア毛包炎とは?

マラセチア毛包炎(もうほうえん)とは、皮膚に常在する真菌(カビ)の一種であるマラセチア菌が毛穴(毛包)に感染して炎症を起こす皮膚疾患です。ニキビと非常によく似た赤いブツブツや膿疱(のうほう)が現れるため混同されやすいですが、原因菌や治療法が異なるのが特徴です。特に背中や肩、上腕に多発し、かゆみを伴うことが多いため生活の質を下げる要因となります。

たとえば、背中・肩・胸・上腕に小さな赤い丘疹や膿疱が多数出現するタイプ、顔に少数出るタイプ、夏場に汗や皮脂が多いときに悪化するタイプなどがあります。ニキビの薬では改善しないどころか悪化することもあるため、区別が重要です。

【主な原因】

  • マラセチア菌の増殖による毛穴の炎症

  • 汗や湿気など蒸れた環境

  • 皮脂分泌が多い体質やオイリーなスキンケア

  • ステロイド外用の長期使用や免疫低下

好発部位は背中、肩、胸、上腕で、汗をかきやすい方、皮脂が多い体質の方、夏場に運動習慣がある方に多く見られます。また、免疫が低下している方やステロイドを長期使用している方でも発症しやすくなります。

経過としては、初期に毛穴に一致した小さな赤い丘疹が出現し、悪化すると膿疱となりかゆみが強くなります。繰り返すうちに慢性的な色素沈着を残すこともあります。汗、皮脂、摩擦、ストレス、免疫低下などが悪化因子となります。早期に皮膚科を受診し抗真菌治療を行うことで、かゆみや見た目の不快感を軽減し生活の質を保つことができます。

応急処置(今日できること)

  • 汗をかいたら早めにシャワー・着替えを行う

  • 通気性の良い衣類を選ぶ、運動後は肌を清潔に保つ

  • 抗真菌成分を含む洗浄料を活用する

  • オイル系のスキンケアやボディクリームを控える

  • かゆみは掻かず、受診して治療薬で抑える

一般的なマラセチア毛包炎治療に使われる薬

◆ 外用薬(軽症~中等症)
分類 薬剤名 備考
抗真菌薬外用

ケトコナゾール外用(ニゾラール®クリーム/ローション)

ルリコナゾール(ルリコン®)

アスタット®、ラミシール®など
| 1日1~2回塗布(数週間以上の継続が必要)
髪の生え際や広範囲にはローションタイプが便利 |

◆ 内服薬(中等症以上、再発例)
分類 薬剤名 備考
抗真菌薬内服

イトラコナゾール(イトリゾール®)

フルコナゾール(ジフルカン®)
| 通常は1〜2週間の短期投与で改善するが、医師の管理下で使用が必要(肝機能などチェック) |

病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:皮疹の部位や分布、かゆみの有無などから、ニキビとの違いを確認します。生活習慣や使用薬剤の聞き取りも重要です。
  • 真菌鏡検(KOH法):皮疹の膿や角質を採取し、顕微鏡でマラセチア菌の存在を確認します。即日判定が可能で、鑑別診断に有用です。

  • 細菌培養検査:細菌感染による膿痂疹などとの鑑別を目的に行います。結果が出るまで数日かかることがあり、二次感染の有無を確認できます。

  • ダーモスコピー(皮膚鏡検査):皮膚表面の毛穴に一致した均一な皮疹であるかを観察し、ニキビや他の発疹との違いを把握します。非侵襲的で簡便です。

  • 血液検査:免疫低下や基礎疾患の有無を調べるために行うことがあります。特に再発を繰り返す場合には、全身状態の確認として役立ちます。

「マラセチア毛包炎」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

尋常性ざ瘡(ニキビ)

毛穴の詰まりが原因/顔に多い        痛みや圧痛が強い/白ニキビ・黒ニキビあり/かゆみはあまりなし

毛包炎(バイ菌による)

毛穴に一致して膿を持つ赤いできもの        触ると痛い/1つ1つが独立/原因は細菌(ブドウ球菌)

多発性粉瘤(アテローム)

毛穴の奥に袋状のしこりができる        皮膚の奥にしこり/においのある内容物/かゆみはあまりなし

汗疹(あせも)

細かい赤いぶつぶつ/夏に多い        汗管のつまり/小さい水ぶくれ/かゆみありだが膿疱はまれ

膿痂疹(とびひ)

ジュクジュクした赤い発疹が拡がる        水ぶくれが破れてかさぶたに/広がりが早い/感染性あり

毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)

ひじや太ももにできるザラザラ        触るとブツブツ/痛みもかゆみも軽い/思春期に多い

マラセチア毛包炎の特徴をチェック!

◻︎ 背中・胸・肩・上腕に赤いブツブツや膿が増え、かゆみが強い
◻︎ ニキビ治療(角質ケア・抗炎症薬)で改善せず、むしろ悪化する
◻︎ 何度も再発する/広い範囲に多発している
◻︎ ジュクジュクして急に拡がる(とびひ等の感染が疑われる)
◻︎ 免疫低下がある、またはステロイド外用を長期使用している

▶︎ これらに当てはまれば、「マラセチア毛包炎」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ ニキビ薬で改善せず悪化している
◻︎ 膿が目立ちジュクジュクして拡がる
◻︎ 何度も再発する・広範囲に多発
◻︎ 免疫低下やステロイド外用の長期使用がある
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:ジュクジュクして急に拡がる、感染が疑われる(とびひ など)

早めに受診:ニキビ治療で改善しない/悪化、再発を繰り返す、背中や肩に多発している

様子見可:少数で軽症、汗・蒸れ対策と洗浄料の見直しで改善傾向がある場合(迷えば受診)

予防のポイント

  • 汗をかいたら速やかにシャワー・着替え

  • 通気性の良い衣類、運動後は清潔を保つ

  • 抗真菌成分の洗浄料を取り入れる

  • オイル系スキンケアを控える

  • かゆみは掻かず、治療薬で抑える

  • 生活リズムを整え、再発時期は予防的外用を継続

FAQ

Q1. どの部位に出やすいですか?

背中・肩・胸・上腕に多発しやすく、顔には出にくい傾向があります。鑑別のため早めの相談を。

Q2. 検査は何をしますか?

皮疹の観察に加え、KOH法で真菌を確認します。必要に応じて細菌培養やダーモスコピーも行います。

Q3. ニキビの薬で治りますか?

ニキビ薬では改善しない、悪化することがあり、抗真菌薬が主体です。自己判断の継続は避けましょう。

Q4. 再発を繰り返します。どうすれば?

抗真菌外用の継続や、汗・蒸れ対策、オイル系スキンケアの見直しが有用です。中等症以上は内服を検討します。

<参考資料>

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。