【保険適用】ヒフメド|皮フ科専門オンライン診療

30代 男性のご相談

細菌性爪囲炎【ひょうそ】ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 指先がズキズキと拍動する強い痛み、指全体の腫れ・熱感がある
◻︎ 白〜黄色の明らかな膿(ふくらみ)が見える
◻︎ 発熱やリンパ節の腫れをともなう
◻︎ 数日で赤み・腫れ・痛みが悪化している/広がっている
◻︎ 糖尿病や免疫低下がある、再発を繰り返す

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談

友達登録は無料

LINE

医師の回答

細菌性爪囲炎は「ひょうそ」とも呼ばれ、爪のまわりの小さな傷に細菌が感染することで、爪のまわりや指先が赤くはれ、痛みがあらわれる病気です。

「指先がズキズキ」「赤く腫れて膿んできた」…
それは“ひょうそ”かも!?

細菌性爪囲炎は「ひょうそ」とも呼ばれ、爪のまわりの小さな傷に細菌が感染することで、爪のまわりや指先が赤くはれ、痛みがあらわれる病気です。 進行すると指先の血管を圧迫してドクドク痛んだり指先全体まで化膿が進んでしまうことがあります。

K.Tさん

週末にささくれをむしったあと、指先が赤く腫れてズキズキ。翌日には爪の横に白いふくらみが出て、キーボードを打つだけで痛むほどでした。市販の絆創膏だけでは変わらず、不安が強くなりました。

オンラインで相談すると、ひょうその可能性が高いとのこと。清潔に保ちつつ外用薬の指示を受け、必要なら切開の説明も。数日で腫れが引き、甘皮いじりをやめる・水仕事は手袋を使う大切さを実感しました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

爪の根元/側面が赤く腫れて痛む

ズキズキする拍動痛、熱感がある

白〜黄色の膿が見える/触れると強く痛む

02

経過・持続

数日で腫れや痛みが増してきた

膿がたまってきた、範囲が広がる

03

随伴症状・背景

発熱やリンパ節の腫れがある

水仕事・深爪・甘皮処理・ネイル後の刺激があった

糖尿病や免疫低下がある/再発を繰り返す

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

友達登録は無料

LINE

細菌性爪囲炎【ひょうそ】とは?

細菌性爪囲炎(ひょうそ)は、爪の周囲の小さな傷から黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などの皮膚常在菌が侵入し、炎症を起こす感染症で、主に爪の根元や側面に赤み・腫れ・痛み・膿などが現れ、進行すると指先全体に炎症が広がり、ズキズキと拍動するような強い痛みを伴うこともあります。

発症のきっかけには、ささくれをむしる、深爪や甘皮処理、ネイル後の刺激、頻繁な手洗いや水仕事による乾燥などがあり、特に水仕事の多い職種や手荒れしやすい方、ネイル習慣のある方、糖尿病や免疫力が低下している方はリスクが高くなります。

症状は初期の違和感や赤みから始まり、数日で腫れや痛みが増し、膿がたまると指全体に熱感や変形が生じることもあり、放置すると爪の根元にまで炎症が及び、将来的に爪が変形したりはがれたりする可能性もあります。

治療は、軽症であれば抗菌薬入りの外用薬と清潔なガーゼ保護で対応できますが、膿がある場合には医師による切開・排膿と抗生物質の内服が必要で、慢性化や再発を繰り返す場合は、習慣の見直しや真菌感染の除外診断も重要となります。予防としては、爪を切りすぎない、手指を丁寧に洗ってよく乾かす、甘皮処理を避ける、清潔な器具でネイルケアを行う、水仕事の際はゴム手袋を使用するなどの対策が有効であり、「たかが指先の腫れ」と放置せず、早期に皮膚科を受診することで悪化や爪の変形を防ぐことが可能です。

応急処置(今日できること)

  • 手指をよく洗い、患部は清潔にしてしっかり乾かす

  • 清潔なガーゼでやさしく保護する

  • 水仕事ではゴム手袋を使用(中の蒸れに注意)

  • 痛みや腫れが続く/悪化する場合は早めに皮膚科を受診する

一般的な細菌性爪囲炎【ひょうそ】治療に使われる薬

①【外用抗菌薬】★軽症・初期例に使用
ムピロシン バクトロバン軟膏 黄色ブドウ球菌(MSSA)に有効。耐性菌が少ない
フシジン酸 フシジンレオ軟膏(院内製剤) ブドウ球菌に有効。軟膏基剤で患部にとどまりやすい
ゲンタマイシン ゲンタシン軟膏 一般的に使われる。広範な細菌に対応可能
レボフロキサシン クリーム(自家調剤) 重症例や耐性菌が疑われる場合に使うことも

🔹 1日1~2回、患部を清潔にした上で塗布
🔹 症状が強い場合や進行傾向があれば内服薬を併用

②【内服抗菌薬】★中等症以上・膿が強い場合など
セファレキシン ケフレックスなど 第一世代セフェム。MSSAに有効。第一選択
アモキシシリン+クラブラン酸 オーグメンチン 広域スペクトルで好中球増多症のリスク少
クラリスロマイシン クラリス ペニシリンアレルギー時の代替
ミノサイクリン ミノマイシン ブドウ球菌に強い。炎症抑制効果もあり
レボフロキサシン クラビット 耐性菌の疑いがある場合や再発例に使用

🔹 通常5〜7日間の内服で反応を見る
🔹 発熱やリンパ節腫脹がある場合は全身管理が必要

③【膿瘍形成例:切開・排膿+抗菌薬併用】
明らかな膿の貯留(白や黄色の腫瘤)がある場合は、外科的切開・排膿が必要
排膿後に抗菌薬の外用 or 内服を併用

④【鎮痛・抗炎症薬(補助療法)】
ロキソプロフェン(ロキソニン)
アセトアミノフェン(カロナール) 炎症による疼痛・腫脹が強い場合に一時的に使用

⑤【慢性化・真菌感染の合併が疑われる場合】
真菌感染(カンジダ性など)を併発 抗真菌薬(例:ルリコナゾール、イトリゾールなど)
湿潤・びらんが持続 抗真菌+抗菌薬の合剤 or 乾燥療法併用

病院で何を調べるの?

医師による視診と問診

まずは、医師が実際に患部(指先や爪まわり)の状態を視診し、次の点を確認します

  • 赤み、腫れ、熱感の有無

  • 膿がたまっているかどうか

  • 痛みの程度や持続時間

  • 発症のきっかけ(ささくれ、深爪、ネイル処理など)

  • 指の動きや血流の異常がないか

 必要に応じた検査
1. 膿の培養検査

膿がたまっている場合、そこから採取して培養検査を行い、どの細菌が原因か(黄色ブドウ球菌や連鎖球菌など)を特定します。
これにより、最適な抗生物質を選ぶ手がかりになります(感受性検査)。

2. 真菌検査(カビ)

症状が長引いたり再発を繰り返す場合は、真菌(カンジダなど)との鑑別が必要です。皮膚片を採取して顕微鏡検査や培養を行うことがあります。

3. 血液検査

重症化したり、糖尿病や免疫不全の疑いがある場合には、白血球数やCRP(炎症反応)などを調べるために血液検査を行うこともあります。

「細菌性爪囲炎【ひょうそ】」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

カンジダ性爪囲炎

水仕事・主婦に多い/カビ(真菌)による 腫れは軽度/赤みや痛みは少ない/爪が変形しやすい

脂漏性湿疹

かさかさ+赤み/皮脂の多い部位に多い 頭皮・耳まわり・鼻・胸元にできる/かゆみあり

ひょう疽(深部感染)

細菌性爪囲炎が進行した状態 膿が深く広がり、爪全体や指腹まで腫れる/切開が必要なことも

手湿疹

水ぶくれ・かゆみ/爪まわりの乾燥 膿は出ない/かゆみメイン/両手に出やすい

細菌性爪囲炎【ひょうそ】の特徴をチェック!

◻︎ 指先がズキズキと拍動する強い痛み、指全体の腫れ・熱感がある
◻︎ 白〜黄色の明らかな膿(ふくらみ)が見える
◻︎ 発熱やリンパ節の腫れをともなう
◻︎ 数日で赤み・腫れ・痛みが悪化している/広がっている
◻︎ 糖尿病や免疫低下がある、再発を繰り返す

▶︎ これらに当てはまれば、「細菌性爪囲炎【ひょうそ】」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 強い拍動痛や指全体の腫れ・熱感
◻︎ 明らかな膿の貯留
◻︎ 発熱・リンパ節腫脹を伴う
◻︎ 糖尿病・免疫低下がある/急速に悪化
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

友達登録は無料

LINE

受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:膿がはっきりある、強い痛みや指全体の腫れ・変形、発熱やリンパ節腫脹を伴う

早めに受診:数日で悪化、ネイル・深爪・水仕事後に改善しない、再発を繰り返す、糖尿病・免疫低下がある

様子見可:軽い赤みや違和感のみで広がらず、痛みが軽い(悪化したら受診を)

予防のポイント

  • 手指をよく洗い、しっかり乾かす

  • 保湿を習慣化する

  • 甘皮処理や無理なネイルオフは避ける

  • 水仕事ではゴム手袋を使用(中の蒸れに注意)

FAQ

Q1. ひょうそは自然に治りますか?

軽症では外用抗菌薬と清潔なガーゼ保護で改善することがありますが、膿や強い痛みがあれば医師の処置や内服が必要になることがあります。

Q2. 「ひょうそ」と「ひょう疽」は何が違いますか?

ひょう疽は進行した深部感染で、膿が深く広がり爪全体や指腹まで腫れ、切開を要することがあります。

Q3. カンジダ性(真菌)の爪囲炎との見分け方は?

水仕事に多く、腫れは軽度で赤みや痛みが少ない一方、爪が変形しやすいのが特徴です。必要に応じて検査で確認します。

Q4. 受診すると何をしますか?

視診・問診で状態を確認し、必要に応じて膿の培養、真菌検査、重症例では血液検査を行います。治療は外用/内服抗菌薬や切開・排膿などです。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。