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カビ(真菌)アレルギーってどんな病気?症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック!
◻︎ 息苦しさ・笛のような呼吸音(ぜーぜー)が出る、夜間の咳が続く
◻︎ 発熱や顔面痛、黄色〜緑色の膿性鼻汁がある(細菌感染が疑われる)
◻︎ 片側だけの強い鼻づまり、嗅覚低下、鼻ポリープが疑われる
→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

50代 女性のご相談

カビ(真菌)アレルギーってどんな病気?

医師の回答

カビ(真菌)アレルギーとは、家の中や外にあるカビの胞子を体が「悪いものだ」とまちがえて反応し、鼻水やくしゃみ、せきやぜんそくなどを起こす病気で、予防には部屋をこまめに掃除したり換気して湿気をへらし、カビが生えにくい環境にすることが大切です。

〜それ、ただの鼻炎や夏風邪じゃないかも〜
カビ(真菌〔しんきん〕)アレルギーは、空気中の胞子〔ほうし〕に免疫が過剰反応して、
鼻炎〔びえん〕・ぜんそく・目や皮膚のかゆみを生じる状態です。
梅雨〜夏から秋に悪化しやすく、屋内の湿気が多いと通年で続くこともあります。
放置すると咳や喘鳴〔ぜんめい〕の長期化、慢性副鼻腔炎の悪化などにつながるため、早めの受診をおすすめします。
環境中の湿度・ホコリ・換気不良、エアコン内部の汚れなどが関与します。

A.Oさん

梅雨頃から鼻水とくしゃみが止まらず、夜になると咳が出て寝付きにくい日が続きました。家事で浴室や台所に立つ時間が長く、エアコンを入れた直後に息苦しさが強まるのが気になって受診を決めました。

オンラインで相談し、環境の聞き取りと検査の説明を受けました。掃除・換気・除湿の徹底や、エアコン内部とフィルター清掃の指示を実行。薬の調整と合わせて夜間の咳が軽くなり、「湿度とカビ」を意識する重要性を実感しました。

30秒セルフチェック/診断チャート

STEP 1|症状の出方・強さ

・ くしゃみ・鼻水・鼻づまりが続く
・ 咳・息苦しさ・喘鳴(ぜーぜー)が出る
・ 目や皮膚のかゆみ、赤みがある

STEP 2|経過・持続

・ 梅雨〜夏〜秋に悪化/雨天・閉め切りで悪化
・ エアコン使用直後、寝具・カーペットで症状が目立つ

STEP 3|随伴症状・背景

・ 室内の湿度が高い(目安:相対湿度60%超)
・ 換気不良・結露・水漏れ、浴室や台所の汚れがある
・ エアコン内部・フィルターの汚れ、押し入れや寝具の湿気・ホコリ

—— 判定 ——
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

カビ(真菌)アレルギーとは、カビの胞子を吸入・接触した際に免疫が過敏に反応し、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、咳や息苦しさ、目のかゆみ・充血、皮膚のかゆみや赤みを引き起こすアレルギーの総称です。梅雨や夏など湿潤な季節、雨天・閉め切り、エアコン使用直後やカビの多い寝具で症状が目立ちます。

たとえば、屋外ではアルテルナリア、クラドスポリウム、屋内ではアスペルギルス、ペニシリウムなどが代表的な原因になります。鼻炎、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎の悪化、まれにアレルギー性真菌性副鼻腔炎(AFRS)などの病型が知られています。

【主な原因】

  • 湿度の持続上昇(目安:相対湿度60%超)

  • 換気不良・結露・水漏れ、浴室や台所の汚れ

  • エアコン内部・フィルターのカビとハウスダスト

  • カーペット・押し入れ・寝具の湿気とホコリ

好発部位・なりやすい人としては、アレルギー体質やぜんそく、アトピー性皮膚炎の既往がある方、湿気の多い住環境・カビ清掃が不十分な家庭、職業で湿潤環境にいる方が挙げられます。鼻や気道、目、汗のこもる皮膚(首や前胸部、肘窩など)に症状が出やすい傾向です。

進行・経過は、曝露が続くと鼻炎や咳が遷延し、夜間・早朝の咳、運動時の息切れ、皮膚の掻破で湿疹が悪化し苔癬化〔たいせんか〕(皮膚がゴワつく)へ移行することがあります。悪化因子は湿度上昇、換気不良、埃・カビだまり、ストレスや睡眠不足、運動・入浴後の汗です。

受診の目安/危険サインは、

①息苦しさや笛のような呼吸音、夜間の咳が続く、
②発熱や顔面痛・膿性鼻汁など細菌感染が疑われる、
③片側優位の鼻閉や嗅覚低下・ポリープ疑い、などです。

早期受診により原因同定と環境・薬物療法の調整が可能になります。

応急処置(今日できること)

    • 応急対応は疾患により異なります。自己判断での処置は避け、症状が強い/拡大する/痛む場合は医師に相談してください。

✅ 主な治療薬(カビ〔真菌〕アレルギー)
① 外用薬(皮ふ症状がある場合)

▶ ステロイド外用薬(炎症を抑える基本薬)

モメタゾン(フルメタ®)

ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド®)
👉 かゆみ・湿疹・赤みを改善

▶ タクロリムス軟膏(非ステロイド免疫抑制剤)

プロトピック®軟膏
👉 顔や首などデリケートな部位に有効

▶ 保湿剤

ヘパリン類似物質(ヒルドイド®)
ワセリン

👉 バリア機能を回復し再発予防

② 内服薬(鼻炎・ぜんそく・かゆみに)

▶ 抗ヒスタミン薬(第一選択)

セチリジン(ジルテック®)
フェキソフェナジン(アレグラ®)
オロパタジン(アレロック®)

👉 鼻水・くしゃみ・かゆみを改善

▶ 抗ロイコトリエン薬(喘息・鼻づまりに)

モンテルカスト(シングレア®)
👉 気道の炎症を抑えて喘息発作を予防

▶ 吸入薬(喘息症状に)

吸入ステロイド薬(フルチカゾン、ブデソニドなど)
吸入配合薬(ICS+LABA:シムビコート®、アドエア®など)

▶ ステロイド内服(重症例・短期使用)

プレドニゾロン
👉 強い発作・重度の炎症に短期間のみ使用

③ 注射薬(重症例)

▶ デュピクセント(デュピルマブ)

IL-4/IL-13阻害抗体
👉 重度の喘息やアトピー性皮膚炎を合併する症例で有効

▶ ゾレア(オマリズマブ)

IgE抗体を標的とする生物学的製剤
👉 重症喘息や難治性鼻炎に適応あり

④ 特殊療法・注意点

▶ アレルゲン免疫療法
👉 現時点で「カビ(真菌)」を対象とした舌下免疫療法は未承認
👉 治療の基本は「環境整備(カビを減らすこと)」

📌 まとめ

軽症 → 抗ヒスタミン薬+ステロイド外用薬でコントロール
中等症 → 抗ロイコトリエン薬・吸入薬で喘息も管理
重症 → デュピクセント・ゾレアなど生物学的製剤
最重要 → 掃除・換気・除湿でカビを減らすこと!

◆ 病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:どの季節・場所で悪化するか、エアコン使用直後との関連、居住環境の湿度や清掃状況を整理します。生活歴の把握で原因の当たりを付け、検査の優先順位を決めます。
  • 皮膚プリックテスト:代表的カビ抗原を皮膚に少量付け反応を確認します。短時間(15〜20分)で判定でき、即時型アレルギーの有無が分かります。抗ヒスタミン薬内服中は反応が弱まるため、事前中止の指示に従います。
  • 特異的IgE(血液検査):アルテルナリア、アスペルギルス、ペニシリウム等に対するIgEの有無と程度を評価します。数日で結果が出ることが多く、皮膚試験ができない場合の代替になります。総IgEや好酸球数も参考にします。
  • 呼出一酸化窒素(FeNO)・肺機能検査:気道の好酸球性炎症や可逆性気流制限の有無を評価し、ぜんそく合併やコントロール不良を把握します。外来で短時間に測定でき、治療反応のモニタリングにも有用です。
  • 鼻汁好酸球・鼻内視鏡:鼻腔内の浮腫や分泌物、ポリープの有無を観察し、鼻汁中の好酸球増多を確認します。慢性副鼻腔炎やAFRSの示唆所見を拾い上げます。
  • 副鼻腔CT(必要時):広範な陰影、粘稠なムチン様貯留、骨の圧排などを評価し、AFRSや真菌塊の合併が疑われる場合に施行します。被ばく・費用を考慮して選択します。

 風邪(ウイルス感染)

⇒発熱・のどの痛み・数日で改善        カビアレルギーは長期に持続/熱が出にくい

ハウスダストアレルギー

⇒通年性で鼻炎やぜんそく        季節を問わず/掃除や寝具で悪化

ダニアレルギー

⇒ダニの死がいやフンで悪化        梅雨や夏に増えるが主因はダニ

副鼻腔炎(ちくのう症)

⇒膿性の鼻水・頭重感        カビアレルギーは透明な鼻水/副鼻腔炎は黄色〜緑色

細菌性気管支炎・肺炎

⇒発熱・せき・痰        アレルギーは発熱なし/抗生物質で改善

アトピー性皮膚炎

⇒慢性的な皮膚の赤み・かゆみ        季節性に関係なく持続することが多い

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 息苦しさ・笛のような呼吸音、夜間の咳が続く
◻︎ 発熱や顔面痛、膿性鼻汁がある
◻︎ 片側だけの強い鼻づまりや嗅覚低下、鼻ポリープ疑い
→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

受診の目安(タイムライン)

  • 当日〜翌日:呼吸が苦しい/夜間の咳が続く/発熱や顔面痛・膿性鼻汁がある

  • 早めに受診:鼻炎や咳が長引く、季節や住環境で反復して悪化する

  • 様子見可:軽い鼻水・くしゃみのみで生活支障が少ない(悪化・長引く場合は相談)

予防のポイント

室内の掃除・換気・除湿を徹底(目安:相対湿度60%以下を意識)
エアコン内部・フィルターの清掃、使用前後の換気
浴室・台所のカビ取り、結露・水漏れ対策
押し入れ・寝具・カーペットなど湿気とホコリの管理

FAQ

Q1. どんな季節・場面で悪化しやすいですか?
A1. 梅雨〜夏〜秋の湿潤な時期、雨天や閉め切り環境、エアコン使用直後、寝具・カーペット周りで症状が目立ちます。

Q2. どの検査で原因が分かりますか?
A2. 問診・生活歴の整理に加え、皮膚プリックテスト、特異的IgE(血液)、FeNO・肺機能、鼻汁好酸球や鼻内視鏡、必要に応じて副鼻腔CTで評価します。

Q3. 免疫療法は受けられますか?
A3. 現時点で「カビ」を対象とした舌下免疫療法は未承認です。治療の基本は環境整備で、症状に応じて薬物療法を調整します。

Q4. どんな薬が使われますか?
A4. 抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、吸入薬、皮膚症状には外用薬や保湿剤、重症例では生物学的製剤を検討します(医師判断)。

 

Q5. エアコンとの関係はありますか?
A5. 内部やフィルターのカビ・ハウスダストが悪化因子になります。清掃と換気の徹底が重要です。

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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