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花粉症ってどんな病気?症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック!
◻︎ 息苦しさや笛のような呼吸音がある、夜間の咳が続く
◻︎ 発熱・顔面痛・膿のような鼻水など、細菌感染が疑われる
◻︎ 片側だけの強い鼻づまり、嗅覚低下や鼻ポリープが疑われる
→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

10代 女性のご相談

花粉症ってどんな病気?

医師の回答

花粉症とは、スギやヒノキ、ブタクサなどの植物の花粉を体が「悪いものだ」とまちがえて反応し、鼻水やくしゃみ、目のかゆみや涙などの症状を起こす病気で、予防には花粉が多い時期にマスクやメガネをつけたり、窓を閉めて花粉を家の中に入れないようにすることが大切です。

〜それ、ただの鼻風邪じゃないかも〜
花粉症(アレルギー性鼻炎〔びえん〕/アレルギー性結膜炎〔けつまくえん〕)は、
特定の植物の花粉に免疫が強く反応して鼻水・くしゃみ・目のかゆみなどが続く状態です。
風邪と違い発熱は少なく、花粉が飛ぶ季節に数週間〜数か月くり返すのが特徴です。 放置すると睡眠障害や副鼻腔炎〔ふくびくうえん〕、仕事・学業への影響が生じやすいため、早めの受診をおすすめします。
関与因子として、花粉の飛散量、家族歴や体質、大気汚染、粘膜バリア低下などが知られています。

A.Oさん

毎年春先になると朝からくしゃみが連発し、透明な鼻水が止まらず授業に集中できませんでした。目もかゆくて、コンタクトがつらい日が増えていました。マスクをしても登下校時は症状が強く、家に帰るとさらにムズムズしました。

オンラインで相談し、花粉の多い時期だけ対策を強化。マスクとメガネを徹底し、帰宅後は衣服の花粉を払ってから入室。医師の指示で抗ヒスタミン薬とステロイド点鼻薬を使うと、日中のくしゃみが落ち着きました。長く悩んでいたけれど、早めに相談して生活が楽になったのが一番の学びでした。

30秒セルフチェック/診断チャート

STEP 1|症状の出方・強さ

・ 鼻水・くしゃみ・鼻づまりが中心
・ 目のかゆみ・充血・涙がある
・ 発熱は出にくい

STEP 2|経過・持続

・ 数週間〜数か月と長引く
・ 毎年同じ時期に悪化する(季節性)

STEP 3|随伴症状・背景

・ 屋外活動や花粉の多い日に悪化
・ マスクやメガネで軽減しやすい
・ 室内に花粉を入れると悪化しやすい

—— 判定 ——
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

花粉症とは、スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉を吸い込んだり目に入ったりすることで、くしゃみ・水様性鼻水・鼻づまり、目のかゆみや充血を中心とする症状群を引き起こすアレルギー性の疾患です。症状は「同じ季節になると毎年出る」「屋外で悪化し、雨の日に軽くなる」といった経過をとりやすく、生活の質を下げます。

たとえば、スギ・ヒノキ花粉症、イネ科花粉症、ブタクサ・ヨモギ花粉症などが代表例です。合併としてアレルギー性結膜炎、咽喉頭のかゆみ、咳、花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS〔ピーエフエーエス〕、リンゴやキウイなどで口がかゆくなる)がみられることがあります。

【主な原因】

  • 遺伝素因・家族歴:体質としてIgE抗体ができやすい。

  • 花粉曝露:飛散量の多い季節・地域、風の強い日や雨上がりの舞い上がり。

  • 大気汚染・排気ガス:花粉と相乗して粘膜刺激が強まる。

  • 粘膜バリアの低下:乾燥、睡眠不足、喫煙・受動喫煙、感染後の粘膜ダメージ。

  • 室内持ち込み:衣類・髪・洗濯物経由で家内に蓄積。

好発は学童期〜若年成人に多いものの全年齢で発症します。家族にアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、ぜんそく、通年性鼻炎)がある方、都市部居住、屋外作業やスポーツなどで花粉曝露が多い生活背景では起こりやすい傾向です。症状は顔(鼻・目)を中心に、のどのかゆみ、咳、頭重感、集中力低下、睡眠質の低下として現れます。

経過は、シーズン初期にくしゃみ・水様鼻汁が強く、進むと鼻閉・後鼻漏が加わり、眼症状が並行して悪化します。悪化因子は乾燥・晴天・強風・雨上がり、早朝、飲酒、睡眠不足、ストレス、摩擦(目をこする)などです。

受診の目安は、

①日常生活や睡眠に支障がある、
②市販薬で十分に抑えられない、
③発熱や膿性鼻汁・強い顔面痛が出る(副鼻腔炎の可能性)、
④ゼーゼーする・息苦しい(気管支ぜんそく合併の可能性)ときなどです。

早期受診により、初期療法(飛散開始前からの治療)や舌下免疫療法〔ぜっかめんえきりょうほう〕の適否判断が行えます。

応急処置(今日できること)

    • 応急対応は疾患により異なります。自己判断での処置は避け、症状が強い/拡大する/痛む場合は医師に相談してください。

✅ 主な治療薬(花粉症)
① 点鼻薬(鼻症状に)

▶ ステロイド点鼻薬(第一選択)

モメタゾン(ナゾネックス®)
フルチカゾン(アラミスト®)

👉 鼻づまり・鼻水・くしゃみに効果的、シーズン前から使うと予防効果も

▶ 抗アレルギー点鼻薬

レボガバスチン(リボスチン®)など
👉 即効性あり、鼻水・くしゃみに有効

▶ 血管収縮薬点鼻薬(短期使用のみ)

ナファゾリン(プリビナ®など)
👉 鼻づまり改善、ただし連用すると逆効果になるため注意

② 内服薬

▶ 抗ヒスタミン薬(第一選択)

セチリジン(ジルテック®)
フェキソフェナジン(アレグラ®)
オロパタジン(アレロック®)
ロラタジン(クラリチン®)

👉 鼻水・くしゃみ・目のかゆみに幅広く有効

▶ 抗ロイコトリエン薬

モンテルカスト(シングレア®)
👉 鼻づまりや喘息を併発している人に効果的

▶ 抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2阻害薬

ラマトロバン(バイナス®)
👉 鼻閉改善に用いられることがある

③ 目の薬(結膜炎症状に)

▶ 抗ヒスタミン点眼薬

オロパタジン点眼薬(パタノール®)
エピナスチン点眼薬(アレジオン®)

👉 目のかゆみ・充血を改善

▶ ステロイド点眼薬(重症例)

フルオロメトロン(フルメトロン®)
👉 医師管理下で短期間のみ

④ 注射薬(重症例)

▶ ゾレア(オマリズマブ)

IgE抗体を標的とする生物学的製剤
👉 重症のスギ花粉症に保険適応あり

⑤ 特殊療法(根本治療に近い)

▶ 舌下免疫療法(スギ花粉)

シダキュア®(スギ花粉舌下錠)
👉 数年かけて体を花粉に慣らす治療法、シーズンオフに開始

📌 まとめ

第一選択 → 抗ヒスタミン薬+ステロイド点鼻薬
鼻づまりが強い → 抗ロイコトリエン薬を併用
目のかゆみ → 抗ヒスタミン点眼薬
重症 → ゾレア注射や舌下免疫療法

◆ 病院で何を調べるの?

          • 視診・問診・鼻咽頭診察:症状の時期や誘因、既往歴を整理し、鼻粘膜の腫脹・蒼白、鼻汁の性状、眼結膜の充血を確認します。風邪・副鼻腔炎・非アレルギー性鼻炎との鑑別に有用です。結果は当日わかります。

          • 皮膚プリック試験〔ひふぷりっくしけん〕:スギ・ヒノキ・ブタクサなど原因花粉エキスを皮膚に少量滴下して反応をみます。15〜20分で判定可能で、即時型アレルギーの有無が分かります。抗ヒスタミン薬の影響で陰性化することがあるため、検査前の休薬指示に従います。

          • 特異的IgE〔とくいてきアイジーイー〕(血液検査):原因と疑う花粉に対するIgE抗体を測定します。数日〜1週間で結果が出ることが多く、皮膚試験ができない場合や複数アレルゲンの評価に適します。陰性でも臨床的に否定しきれないことがある点に注意します。

          • 鼻汁好酸球〔こうさんきゅう〕検査:鼻汁塗抹で好酸球の有無を確認し、アレルギー性鼻炎の関与を支持します。結果は当日〜翌日で、感染性鼻炎との鑑別に役立ちます。

          • 誘発試験〔ゆうはつしけん〕(専門施設):原因花粉への反応性を確認します。診断が難しいケースや研究的目的で行われ、症状誘発のリスクがあるため医療機関で慎重に実施します。(必要に応じて、副鼻腔CT・鼻内視鏡で副鼻腔炎の合併評価、結膜擦過で細胞所見の確認、総IgE・好酸球数などを追加します。)

 風邪(ウイルス性鼻炎)

⇒発熱・のどの痛み・1週間程度で改善        花粉症は熱が出にくく、長期化(数週間〜数か月)

ハウスダストアレルギー

⇒年中鼻水・くしゃみ・鼻づまり        季節に関係なく発症/掃除や寝具で悪化

ダニアレルギー

⇒ダニのフン・死がいで鼻炎やぜんそく        季節性でなく通年性/寝室で悪化しやすい

アレルギー性結膜炎(通年性)

⇒目のかゆみ・充血が中心        花粉飛散と関係なく、ハウスダストやダニで悪化

副鼻腔炎(ちくのう症)

⇒鼻づまり・膿のような鼻水・頭重感        花粉症は透明な鼻水/副鼻腔炎は黄色や緑の鼻汁

喘息(アレルギー型)

⇒せき・呼吸困難        花粉症は主に鼻・目/喘息は気道がメイン症状

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 息苦しさや笛のような呼吸音がある ◻︎ 発熱・顔面痛・膿性鼻汁などが続く ◻︎ 片側だけの強い鼻づまりや嗅覚低下がある → 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

受診の目安(タイムライン)

  • 当日〜翌日:息苦しさ・笛のような呼吸音がある/高熱や膿性鼻汁・顔面痛が出た

  • 早めに受診:症状が強く生活・学業に支障/適切な薬の選択や調整が必要

  • 様子見可:軽いくしゃみ・鼻水で日常生活に支障が少ない(悪化時は相談)

予防のポイント

花粉が多い時期はマスク・メガネを活用する
窓を閉め、屋内に花粉を入れないよう工夫する
服や持ち物に付いた花粉を屋外で払ってから入室する

FAQ

Q1. 点鼻薬や内服は、いつから始めるのが良いですか?
A1. ステロイド点鼻薬は第一選択で、シーズン前から開始すると予防的な効果が期待できます。内服薬は症状や生活への影響に合わせて調整します。

Q2. 舌下免疫療法はいつ始めますか?どのくらい続けますか?
A2. スギ花粉の舌下免疫療法はシーズンオフに開始し、数年かけて継続します。開始時期や適応は医師とご相談ください。

Q3. ゾレア(オマリズマブ)は誰に使われますか?
A3. 重症のスギ花粉症で基準を満たす場合に保険適用があります。詳しい条件は診察で確認します。

Q4. 目の症状が強いときの治療は?
A4. 抗ヒスタミン点眼での対応が基本で、重症例ではステロイド点眼を短期間・医師管理下で行います。

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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