
40代 男性のご相談
性器ヘルペスってどんな病気?

医師の回答
性器ヘルペスは、性器やその周囲、お尻などに小さな水ぶくれができ、痛みやかゆみ、不快感などを伴う病気です。
〜陰部のヒリヒリ、赤み、水ぶくれ…それ、ヘルペスかも!?〜 性器ヘルペスは、性器やその周囲、お尻などに小さな水ぶくれができ、痛みやかゆみ、不快感などを伴う病気です。
“単純ヘルペスウイルス”というウイルスによるもので、主にウイルスに感染している相手とのセックスで感染しますが、
ウイルスが付着したタオルや便座などを介して感染することもあります。 単純ヘルペスウイルスは一度感染すると
生涯に渡って体内に潜伏するため、疲労やストレスなどで免疫力が低下すると繰り返し症状があらわれることがあります。
性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染で、陰部を中心に水ぶくれやただれを起こす性感染症です。初感染時には陰部や肛門周囲のヒリヒリ感・赤みが現れ、小さな水疱が破れて強い痛みを伴う潰瘍に進展することがあります。女性では排尿時の痛みや発熱、リンパ節腫脹を伴うこともあります。一度感染するとウイルスは神経節に潜伏し、体調不良やストレスなどで再発を繰り返すのが特徴です。
性器ヘルペスには、HSV-2型によるものが多く、口唇ヘルペスの原因であるHSV-1型が性行為を介して感染する例もあります。たとえば、性交、オーラルセックス、アナルセックス、直接の皮膚粘膜接触などで感染が成立します。無症状でもウイルス排出があるため、完全に防ぐのは難しいですが、コンドームでリスクを減らすことは可能です。
【主な原因】
単純ヘルペスウイルス(HSV-2型・HSV-1型)の感染
性行為や皮膚・粘膜の直接接触
無症候性ウイルス排出による感染
ストレスや疲労による免疫低下での再発誘発
好発部位は性器や肛門まわりで、特に性的活動のある若年~中年層に多く見られます。妊娠中の感染は新生児ヘルペスにつながる可能性があるため注意が必要です。抵抗力が低下した人でも再発しやすい傾向があります。
経過としては、初感染では症状が強く長引く一方、再発時は軽度の前駆症状(チクチク感や違和感)のみで治まる場合もあります。悪化因子として、発熱、紫外線、過労、精神的ストレス、女性では月経などが知られています。早期に受診し抗ウイルス薬を開始することで、症状の軽減と再発予防につながり、生活の質を大きく保つことが可能です。

✅ 性器ヘルペスの治療薬
原因はウイルスなので、抗ウイルス薬(内服・外用)が主な治療です。
特に「発症48時間以内の内服開始」が効果的です。
◆ ①【内服薬(第一選択)】
アシクロビル(ACV) ゾビラックス® 1回200~400mgを1日5回、5日間 初発・再発時ともに使用可
バラシクロビル(VACV) バルトレックス® 1回500mgを1日2回、5日間 服用回数が少なく使いやすい
ファムシクロビル(FCV) ファムビル® 再発時:1回1000mgを1日2回、1日間(単回) 初発も再発も対応可(国内使用頻度少なめ)
🔹 再発を繰り返す人向けに「長期抑制療法(バルトレックス1日1回など)」も可能です。
◆ ②【外用薬(補助的)】
アシクロビル軟膏 ゾビラックス軟膏® 水疱に直接塗布。初期であれば効果あり
ビダラビン軟膏 アラセナ-A®軟膏 類似の作用。刺激感あり注意
※外用は単独では不十分なことが多く、内服と併用が基本です。
◆ ③【重症例/免疫低下者】
アシクロビル点滴 点滴静注(5〜10mg/kg 1日3回) 初感染が重症/免疫抑制下(がん治療、HIVなど)の場合
✅ 補助療法・対処法
鎮痛薬(アセトアミノフェンなど) 痛み・発熱があるときに使用
局所の清潔 弱酸性石けん、ビデ洗浄などでやさしく清潔を保つ
性交渉の制限 症状のある時期・治療中は避ける(高い感染力)
パートナーへの説明・検査 潜在感染の有無を共有することが大切
✅ 性器ヘルペス再発抑制療法(保険適用あり)
年間6回以上再発する場合:再発予防目的でバルトレックス® 500mg 1日1回の長期内服(最大1年)
◆ 病院で何を調べるの?
視診・問診:発疹の部位や形態、水疱・びらんの有無を確認します。初感染か再発か、症状の経過を把握するためにも重要です。
ウイルス培養検査:水疱内容液やびらん部から検体を採取し、HSVを培養して同定します。結果が出るまで数日を要しますが、確定診断に有用です。
PCR検査:ウイルスの遺伝子を検出する方法で、感度・特異度が高く、迅速にHSVの有無や型を判定できます。再発例や症状が軽い場合にも適しています。
抗体検査(血清学的検査):血液中のHSV抗体(IgM・IgG)を測定し、初感染か既感染かを判別します。判定には数日かかりますが、既往の把握に役立ちます。
ダーモスコピー:必要に応じて皮膚鏡で観察し、水疱やびらんの特徴を拡大して確認します。鑑別疾患(梅毒、帯状疱疹、接触皮膚炎など)との見分けに補助的に用いられます。
細菌培養:びらんや潰瘍から二次感染が疑われる場合に実施し、抗菌薬の必要性を判断します。
🔍 性器ヘルペスと間違えやすい病気(類似疾患)
尖圭コンジローマ⇒白〜ピンク色のイボ状の増殖/かゆみはあるが痛みは少ない 水ぶくれはできない/ぶつぶつと盛り上がるだけ/再発あり
梅毒(硬性下疳)
⇒固いしこり・潰瘍/痛みはほぼない 痛みがない潰瘍/周囲にリンパ節腫脹あり
淋菌性/クラミジア性尿道炎
⇒排尿時の痛み・膿が出る/外からは目立たないことも 水ぶくれや潰瘍は見られず、おりもの・排尿症状が主
接触皮膚炎(かぶれ)
⇒コンドーム・軟膏などで赤みやかゆみが出る 水ぶくれは少なく、特定の物質に触れた後に一致して出現
毛嚢炎(もうのうえん)/せつ・よう
⇒毛穴に一致した赤くて痛いできもの/しこり 中心に膿がたまる/ウイルスではなく細菌性
伝染性軟属腫(みずいぼ)
⇒小さくて白っぽい、中心がへこんだつるんとしたいぼ 痛み・かゆみは少なめ/ゆっくり広がる/子どもにも
膣カンジダ症
⇒かゆみ・白いおりもの/ヒリヒリする感じ 水ぶくれや潰瘍はなく、かゆみが主症状
ベーチェット病
⇒性器に繰り返す潰瘍・痛み/口内炎・眼の炎症など全身症状も 性器ヘルペスと非常に似るが、口・目・関節など多臓器に症状あり
予防のポイント
性行為中はコンドームを正しく使用する
発疹がある間は性行為を控える
タオルや下着を共有しない
感染部位に触れたあとは必ず石けんで手洗いをする
十分な睡眠と休養をとり免疫を保つ
ストレスをためない生活を心がける
紫外線や発熱などの再発誘因を避ける
妊娠中は症状が出たら速やかに産婦人科に相談する
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。
アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。