
40代 女性のご相談
スイート症候群ってどんな病気?

医師の回答
スイート症候群は、突然40℃前後の高熱と顔や手足、からだなどにむくんだ赤い発疹[紅斑(こうはん)]があらわれると同時に、好中球と呼ばれる白血球の増加を伴う病気です。
〜突然あらわれる赤く痛い腫れや熱、原因不明の発熱をともなうことも〜 スイート症候群は、突然40℃前後の高熱と顔や手足、からだなどにむくんだ赤い発疹[紅斑(こうはん)]があらわれると同時に、
好中球と呼ばれる白血球の増加を伴う病気です。
原因は不明ですが、上気道感染、妊娠、白血病や関節リウマチに関連して発症することが多くあります。
基礎疾患に対する治療を考慮しながら、主にステロイドで治療します。
スイート症候群(Sweet症候群)とは、急に発症する皮膚の炎症性疾患で、赤く盛り上がった痛みを伴う皮疹と発熱を主な特徴とします。皮疹は顔や首、腕、手の甲、体幹などに出やすく、2〜3cmほどの赤紫色〜暗赤色の隆起が急速に増えることがあります。血液中の白血球(好中球)が皮膚に集まることで炎症が起きるとされ、全身のだるさや関節痛を伴うこともあります。まれな疾患ですが、白血病などの血液疾患や悪性腫瘍と関連して出現することもあり、精査が必要です。
たとえば、特発性のスイート症候群は原因が特定できないタイプで、約半数を占めます。ほかに、白血病などの悪性腫瘍に関連する型、薬剤(造血剤・抗がん剤など)による型、感染後や自己免疫疾患に伴う型といった病型が知られています。
【主な原因】
特発性:原因が特定できないタイプが約半数
悪性腫瘍関連型:白血病やがんの治療中に出現
薬剤誘発性:造血剤や抗がん剤の使用が関与
感染後・自己免疫疾患関連:風邪や免疫異常に伴う
好発部位は顔、首、腕、手の甲、体幹などで、痛みや熱感を伴います。30〜60代の女性に多く、血液疾患の治療中の方や、風邪・ワクチン接種後に発症するケースも報告されています。免疫に関わる薬を使用中の方も発症しやすいとされます。
経過としては、突然皮疹と発熱が出現し、放置すると増悪して強い疼痛や全身症状を伴います。慢性化や再発を繰り返す場合もあり、掻破や摩擦、感染、ストレス、発熱などで悪化することがあります。早期に診断・治療を行うことで症状が速やかに改善し、生活の質を保つことができます。

✅ スイート症候群に使われる治療薬
🔸 治療は原因精査+炎症のコントロール(主にステロイド)が中心です。
◆ ①【第一選択:ステロイド治療】
プレドニゾロン(内服) 通常 0.5〜1.0 mg/kg/日で開始し、徐々に漸減 数日で劇的に改善する例が多い。再発に注意しながら tapering
メチルプレドニゾロン(点滴静注) 重症例に使用されることも 高用量ステロイドパルス療法はまれ
◆ ②【ステロイドが使えない/補助的に使う薬】
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) ロキソプロフェンなど 発熱・痛みの補助的緩和(単独では不十分)
コルヒチン 通風にも使う薬。好中球の移動を抑える ステロイドに抵抗性の軽症例などに検討されることがある
カリニウム(カリニウムクロライド) 好中球抑制薬(非定型) 使用例少ないが一部報告あり
ジアフェニルスルホン(DDS) 炎症性皮膚疾患にも使用 尋常性ざ瘡やハンセン病にも用いられる抗炎症薬。選択肢の一つとして挙がることも
◆ ③【基礎疾患に対する治療】
悪性腫瘍に伴うスイート症候群 急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、MDSなど 原因となる腫瘍治療が優先される(抗がん剤、分子標的薬など)
薬剤性スイート症候群 G-CSF、トリメトプリム・スルファメトキサゾール、抗がん剤など 原因薬の中止が重要
感染後型 呼吸器感染、胃腸炎の後など 対症療法が中心。必要に応じて抗菌薬併用
◆ 病院で何を調べるの?
- 視診・問診:皮疹の特徴(赤紫色の隆起、疼痛、発熱の有無)を確認します。皮疹の出現部位や経過を丁寧に聴取することが診断の第一歩です。
- 血液検査:白血球数や好中球の増加、炎症マーカー(CRPなど)を確認します。特に好中球優位の白血球増多が診断の参考になります。
- 皮膚生検:皮疹の一部を局所麻酔下で採取し、組織を顕微鏡で観察します。好中球浸潤を確認することが診断の確定につながりますが、小さな瘢痕が残ることがあります。
- 皮膚細菌培養:二次感染の合併を疑う場合に行います。膿や滲出液を培養し、細菌の有無や抗生剤の感受性を調べます。
- 背景疾患検索:血液疾患や悪性腫瘍との関連を調べるため、骨髄検査や画像検査、腫瘍マーカーなどを内科と連携して行うことがあります。これにより、皮膚症状の背景に潜む重大な病気を見逃さないことが重要です。
🔍 スイート症候群と似ている病気(類似疾患)
結節性紅斑
⇒すねなどに硬くて痛い赤いしこり/かゆみより痛み 発熱なしも多い/触るとごろっと硬い/原因が感染や薬の場合も
蜂窩織炎(ほうかしきえん)
⇒細菌感染による赤く腫れた熱感+痛み 発熱+片側性+押すと強く痛い/抗生物質が有効
薬疹(薬による発疹)
⇒飲み薬のあとに全身に赤い発疹/かゆみもあり 薬の開始から数日後/左右対称/かゆみあり
皮膚型サルコイドーシス
⇒赤い硬い発疹/全身に広がることも 無症状もあり/他臓器(肺など)に合併あり/検査で確定
好酸球性蜂巣炎/Wells症候群
⇒赤い腫れ/かゆみや痛みあり/好酸球が関与 虫刺されに似る/組織検査で好酸球浸潤あり
壊疽性膿皮症
⇒潰瘍をともなう深い炎症/強い痛み 難治性/基礎疾患(潰瘍性大腸炎など)あり/ステロイド有効
帯状疱疹(初期)
⇒赤みと痛み/のちに水ぶくれに 神経支配に沿って片側に出る/ウイルス性/水疱が決め手
皮膚白血病浸潤
⇒血液がんによる皮膚への浸潤/赤いしこり 他の症状や検査異常あり/生検で確定
予防のポイント
皮膚の急な発赤や発熱に気づいたら早めに受診する
医師の指示に従い、ステロイド内服薬は徐々に減量・中止する
定期的に血液検査を受け、背景に血液疾患や腫瘍がないか確認する
強いストレスや過労を避け、生活リズムを整える
発疹部を掻いたりこすったりせず、清潔を保つ
発熱時や体調不良時は無理に活動せず安静を心がける
新しい薬を使用する際は、副作用に注意して観察する
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
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