【保険適用】ヒフメド|皮フ科専門オンライン診療

20代 女性のご相談

ジベルばら色粃糠疹ってどんな病気?

医師の回答

ジベルばら色粃糠疹は、からだの一部に赤い発疹が1個でき、1~2週間で全身に広がる病気です。

〜突然、体に広がるうすピンクの発疹。ウイルスによるものかも!?〜
ジベルばら色粃糠疹は、からだの一部に赤い発疹が1個でき、1~2週間で全身に広がる病気です。原因は不明ですが、
ウイルス感染が関連すると考えられています。発疹は1~2cm程度の大きさで、かゆみを伴うことがあります。
1~3ヵ月で自然に治ります。春秋といった季節の変わり目に生じやすく、10~30代前半の人に多くみられます。

ジベルばら色粃糠疹(じべるばらいろひこうしん)とは、胸や背中を中心にうすいピンク色の楕円形の発疹が突然現れて広がる一時的な皮膚疾患です。はっきりとした原因は分かっていませんが、ヒトヘルペスウイルス6型や7型などのウイルス感染が関与すると考えられています。多くは健康な若年層に発症し、自然に治る良性の経過をとります。最初に「母斑(マザー・パッチ)」と呼ばれる比較的大きな発疹が出て、その後、花が咲くように小さな発疹が全身に広がるのが特徴です。

たとえば、胸・背中・お腹に多発するタイプ、肩や太ももに及ぶタイプなどがあります。発疹はうすいピンクから赤色で、表面に薄く皮がめくれる粃糠状(ひこうじょう)の変化を伴うこともあります。かゆみは軽度で、無症状のこともあります。顔や手足にはあまり出ないのも特徴です。

【主な原因】

  • ヒトヘルペスウイルス6型・7型などの一時的な感染

  • 風邪など先行するウイルス感染後の免疫反応

  • 季節の変わり目の体調変化

  • ストレスや疲労の影響

好発部位は体幹部(胸、背中、腹部、肩、腕、太もも)で、顔や手足にはあまり出ません。好発年齢は10〜30代の若い世代で、健康な人でも突然発症することがあります。女性にやや多い傾向が報告されています。

経過としては、最初に2〜4cm程度のマザー・パッチが出現し、数日〜1週間後に小発疹が全身に広がります。発疹は1〜2週間で増え、全体としては4〜8週間で自然に軽快します。色素沈着を残す場合もありますが、時間とともに消えていきます。悪化因子としては乾燥、汗、摩擦、紫外線、強い石けんの使用などが挙げられます。早めに受診し正確な診断を受けることで、不必要な心配や誤った治療を避けられる利点があります。

✅ 治療薬:ジベルばら色粃糠疹に使われる薬
🔹 基本的に自然治癒が見込めるため、治療は「対症療法」が中心です。

◆ ①【かゆみがある場合】
外用ステロイド ロコイド、キンダベートなど かゆみや炎症が強い発疹に部分的に塗布
抗ヒスタミン薬(内服) アレグラ、ザイザル、ポララミンなど 全身のかゆみ対策、掻き壊し防止
保湿剤 ヒルドイド、プロペト、白色ワセリンなど カサつきを和らげ、皮膚バリア保護

◆ ②【まれに使う薬】
抗ウイルス薬(アシクロビルなど) 発症初期に短期間使うと症状の短縮に寄与する可能性が示唆されているが、通常は不要
亜鉛華軟膏 滲出がある場合や刺激を避けたい部位に使うことも

❗ 使用しない方がよいもの
強いステロイド外用薬の全身使用 自然経過で治る病気のため、強力な薬は不要で副作用のリスクだけが残る
石けん・スクラブでの過度な洗浄 皮膚バリアを破壊し、悪化することがある

 ◆ 病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:発疹の形・色・分布から診断の基本となります。母斑と小発疹の典型的な広がりを確認し、経過を聴取します。通常はこれだけで診断可能です。
  • 真菌鏡検(KOH検査):似た症状を示す白癬(たむし)を除外するために行います。皮膚の鱗屑を採取し、顕微鏡で真菌の有無を確認します。結果は即日わかります。
  • 血液検査:炎症反応やウイルス感染の影響を評価します。白血球数やCRP、必要に応じてウイルス抗体価を確認する場合があります。必須ではありませんが、全身状態の把握に役立ちます。
  • 皮膚生検:典型的でない発疹や経過が長引く場合に行います。局所麻酔をして皮膚の一部を切り取り、組織学的に診断を確定します。瘢痕が残る可能性があるため必要時のみ実施されます。
  • パッチテスト:発疹が接触皮膚炎との鑑別を要する場合に行います。48〜72時間後に反応を判定します。外用薬の使用を控える必要がある点に注意します。

🔍 ジベルばら色粃糠疹に似ている病気(鑑別疾患)

 乾癬(かんせん)

⇒境界がはっきりした赤い斑+厚いフケ/慢性的に続く 頭皮・ひじ・ひざにも出やすい/再発しやすい

 アトピー性皮膚炎

⇒乾燥・かゆみ/関節の内側や顔に出やすい 乳幼児期からの既往や家族歴がある場合が多い

 薬疹(薬による発疹)

⇒薬の内服後に全身に発疹/発熱・倦怠感を伴うことも 新しい薬を使っていないかが重要なカギ

 二期梅毒(梅毒バラ疹)

⇒性感染症の一段階で出る全身の赤い発疹 手のひら・足の裏・粘膜にも出る/痛くないリンパ節腫脹がヒント

 疥癬(かいせん)

⇒夜間に強いかゆみ/トンネル状の皮疹/手指の間などに多い 他人にうつる/かゆみが強くてしつこい

 多形紅斑(たけいこうはん)

⇒丸い発疹が輪っか状に広がる/手足に出やすい ターゲット状(的のような見た目)が特徴

 ウイルス性発疹症(風疹・麻疹など)

⇒発熱を伴う/体全体に発疹 発熱+全身倦怠感あり/ワクチン歴の確認が必要

 皮膚カンジダ症・体部白癬(たむし)

⇒湿った赤み/かゆみが強く、ジュクジュクも 真菌検査(顕微鏡)で判別/輪の形が典型的なことも

予防のポイント
低刺激の洗浄料でやさしく洗う
入浴後はすぐに保湿を行う
紫外線や強い日差しを避ける
汗や摩擦を減らすため通気性の良い衣類を選ぶ
化学繊維や締めつけの強い服を避ける
睡眠を十分にとり、疲労をためない
ストレスを溜め込みすぎないよう工夫する
かゆみがあるときは掻かずに薬で調整する

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。
アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。