
10代 男性のご相談
アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

医師の回答
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹を主な症状とする慢性的な皮膚の炎症です。皮膚が乾燥して赤くなり、ブツブツができたり、皮がむけたり、ジュクジュクとただれることもあります。 慢性化すると、肌がゴワゴワと硬くなったり、色素沈着によって黒ずんだりすることもあります。


症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴で、長期間にわたり経過するケースが多く、慢性化すると皮膚が硬くゴワゴワしたり、黒ずんだりすることもあります。湿疹は左右対称に現れることが多く、特におでこ、目や口のまわり、耳のまわり、首、わき、肘や膝の内側などに多く見られます。
皮膚のバリア機能が低下しているため、肌は乾燥しやすく、少しの刺激でも赤みやかゆみを引き起こしやすくなっています。症状はいったん改善しても再発しやすく、乳児から高齢者まで幅広い年齢層で見られます。原因は一つではなく、アレルギー体質や遺伝的な要因、皮膚の乾燥、外部からの刺激、ハウスダストや花粉、汗、衣類の摩擦、ストレス、睡眠不足、特定の食べ物など、複数の要因が重なって発症・悪化します。
赤ちゃんではほっぺや肘、膝の裏に、子どもや大人では首やわき、肘・膝の内側、顔、体などに症状がよく出ます。季節の変わり目や、気温・湿度の急な変化も悪化のきっかけとなりやすいため、日常的なスキンケアと環境への配慮が大切です。
治療の基本は、毎日の保湿によるスキンケアと、症状に応じた薬の使用です。
外用薬としてはステロイドや非ステロイド薬、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬などがあり、症状が中等度以上の場合には内服薬や注射薬(たとえばデュピクセント)などを使うこともあります。あわせて、掻かない工夫や、こまめな保湿、刺激の少ない衣類選び、汗をかいた後のケア、ストレスや睡眠の管理など、生活習慣の見直しも重要です。
【💊主な治療薬】
① 外用薬(塗り薬)
▶ ステロイド外用薬(炎症を抑える)
重症度に応じて5段階の強さがあり、部位や年齢により使い分けます。
強さ 主な薬剤名 商品名(例)
Very Strong モメタゾンフランカルボン酸 フルメタ など
Strong ベタメタゾン吉草酸エステル リンデロン-VG など
Medium ヒドロコルチゾン酪酸エステル ロコイドなど
Weak プレドニゾロン プレドニン軟膏など
※長期使用時は副作用に注意(皮膚萎縮、毛細血管拡張など)
▶ タクロリムス軟膏(非ステロイド・免疫抑制剤)
プロトピック軟膏:
顔・首などのステロイドを避けたい部位に使用されやすい
初期に「ヒリヒリ感」「ほてり感」がでることも
▶ JAK阻害薬外用
コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)
小児にも使用可能な新しいタイプの非ステロイド薬
軽~中等症
▶ 保湿剤(第一選択)
ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)
ワセリン
尿素含有製剤(ただし刺激あり注意)
② 内服薬(飲み薬)
▶ 抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)
ポララミン
▶ 抗アレルギー薬(かゆみ止め)
セチリジン(ジルテック)
フェキソフェナジン(アレグラ)
オロパタジン(アレロック)など
▶ ステロイド内服(重症例の一時的使用)
プレドニゾロンなど(短期限定で使用)
▶ 免疫抑制剤(中等症~重症例)
シクロスポリン(ネオーラル)など
③ 注射薬(重症例・新しい選択肢)
▶ デュピクセント(デュピルマブ)
IL-4/IL-13阻害抗体による生物学的製剤
中等症~重症の患者に使用され、非常に効果的
▶ ミチーガ(ネモリズマブ)
かゆみに特化したIL-31受容体阻害薬
アトピーかな?実は見た目がそっくりでも、治療法が全然ちがうこともあるんです!
「かゆい」「赤くてジュクジュクする」「ずっと治らない」それ、本当にアトピー性皮膚炎でしょうか?
- よくある湿疹タイプ
- 接触皮膚炎(かぶれ):
金属や化粧品などに触れて赤くなる。触れた部分だけに出ることが多いよ。- 皮脂欠乏性湿疹:
乾燥による湿疹。特に冬にスネなどにカサカサが出ることが多い!- 手湿疹(手あれ):
手をよく洗う人・水仕事が多い人に。アトピーと勘違いされがち。あせも 暑い時に出るぶつぶつ。汗のかきすぎが原因。- 貨幣状湿疹:
丸くて赤い湿疹ができる。水虫とそっくりなこともあるので注意!- 乾癬(かんせん):
赤くてカサカサ、白い粉がふいたような湿疹が出る。アトピーより皮膚が厚くてかゆみが少なめなのが特徴です。薬が効かないときは、乾癬の可能性もチェック!- 白癬(はくせん)水虫:丸く広がる赤みはアトピーと間違えられがち!
- 疥癬(かいせん): ダニが原因で、夜にかゆみが強くなる。家族にもうつりますとびひ かいた所からばい菌が入って広がる。黄色いかさぶたがヒント!
- 免疫の病気:皮膚だけじゃなく、熱や下痢など体調全体に影響が出ます。
- 「ずっと湿疹だと思っていたら、実は皮膚のリンパ腫(がん)だった」そんなケースもあります。
こんなときは、皮膚の一部を調べる検査(皮膚生検)をおすすめします。
✅湿疹が左右で違う場所に出る
✅ステロイドや保湿剤がまったく効かない
✅発熱・だるさなど全身症状がある
✅家族にもうつっている
✅赤ちゃんが全身真っ赤になっている
ひとつでも当てはまったら、アトピーじゃないかもしれません!
気になる方は、皮膚科での検査・診察を受けてみましょう✨
「かゆくて眠れない」「薬をやめるとすぐに再発する」「市販薬ではなかなか改善しない」といったお悩みをお持ちの方は、皮膚科専門医への相談が早期改善につながります。当院では、スマートフォンからご利用いただけるオンライン診療で、アトピー性皮膚炎に関するご相談やお薬の処方が可能です。通院が難しい方やお子さまの症状でお困りの方も、ぜひお気軽にご相談ください。
日本皮膚科学会|アトピー性皮膚炎Q&A:原因・症状・治療・日常生活の注意点など、専門医監修の内容
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/index.html
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4470205/?utm_source=chatgpt.comhttps://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10078507/?utm_source=chatgpt.comhttps://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0140673620312861?utm_source=chatgpt.comhttps://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2020/0515/p590.html?utm_source=chatgpt.comhttps://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0140673620312861?utm_source=chatgpt.com
MSDマニュアル家庭版|アトピー性皮膚炎:疾患の定義・診断・治療・予防まで詳しく解説
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/17-%E7%9A%AE%E8%86%9A%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E3%81%8B%E3%82%86%E3%81%BF%E3%81%A8%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%BC%E6%80%A7%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E-%E6%B9%BF%E7%96%B9?query=%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%BC