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20代 女性のご相談

伝染性膿痂疹・水疱性膿痂疹【とびひ】ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 水ぶくれやただれが、掻いた手を介して短時間で体のあちこちに広がっている
◻︎ 発熱・リンパ節の腫れ・のどの痛みを伴っている(痂皮性が疑われる)
◻︎ 顔・体・手足などに水ぶくれが急速に多発している
◻︎ 保育園・学校・プール等の活動制限について指示が必要な状況

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医師の回答

伝染性膿痂疹は、虫さされや湿疹・あせもなどを掻いたあとなどの小さな傷に細菌が皮膚の表面に感染することで発症する病気です。

かきこわしから一気に広がる!
夏に多い皮膚の感染症

伝染性膿痂疹は、虫さされや湿疹・あせもなどを掻いたあとなどの小さな傷に細菌が皮膚の表面に感染することで発症する病気で、人にうつることがあります。 水ぶくれやただれが、掻きむしった手を介してあっという間にからだのあちこちに広がる様子から「とびひ」とも呼ばれます。 ① 水ぶくれができる、②かさぶたができるという2つのタイプがあります。 とびひの多くは①で、水ぶくれができ破れて皮膚がめくれてしまいます。かゆみを伴い、掻いた手で他の部位を触ること(自家接種)で全身に症状が広がります。 ②では水ぶくれが厚いかさぶたになり、リンパ節のはれや発熱、のどの痛みを伴うことがあります。

T.Mさん

腕の虫刺されを掻いたあとに小さな水ぶくれができ、破れてジュクジュクし始めました。翌日には太ももやお腹にも点々と広がり、衣類が触れるだけでかゆくてつい掻いてしまい、あっという間に広がる感じが怖くて相談しました。

オンラインで受診し、患部を覆って触らないこと、入浴時はこすらないことなどの指示を受け、外用の抗菌薬と必要に応じた内服で対応。タオルを家族と分けて毎日交換するなど生活面を整えたところ、拡大が落ち着き学びになりました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

小さな透明〜黄色の水ぶくれが出る

破れて皮膚がジュクジュクただれる

強いかゆみがある/掻くと広がる

02

経過・持続

掻いた手を介して別部位へ急速に多発する

厚いかさぶたへ変化(痂皮性)しやすい

03

随伴症状・背景

発熱・リンパ節の腫れ・のどの痛みを伴うことがある

虫刺され・湿疹・あせも等の「かきこわし」がきっかけ

乳幼児〜小学生に多く、梅雨〜夏に増える

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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伝染性膿痂疹・水疱性膿痂疹【とびひ】とは?

伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)は、虫刺されや湿疹、あせもなどをかきこわした皮膚に、黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌(溶連菌)といった細菌が感染することで発症する、非常に感染力の高い皮膚の病気です。皮膚の症状が、まるで火が飛び移るように全身に広がることから、一般的には「とびひ」と呼ばれます。

乳幼児〜小学生によく見られ、特に汗をかきやすく皮膚が弱くなりやすい梅雨〜夏の季節に多く発症します。

原因と感染のメカニズム

とびひの主な原因菌は以下の2つです。

  • 黄色ブドウ球菌:水ぶくれ型(=水疱性膿痂疹)を引き起こします。

  • 溶連菌:かさぶた型(=痂皮性膿痂疹)を引き起こし、熱など全身症状も伴いやすくなります。

皮膚にできた小さな傷、湿疹、虫刺され、アトピーのかきこわしなどから菌が侵入すると、局所的に水ぶくれや膿をもったただれができ、それをかいた手を介してほかの部位にもあっという間に広がります。

症状と2つのタイプ

とびひには以下の2つのタイプがあります。

水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)

  • 小さな透明〜黄色の水ぶくれができる

  • 破れると皮膚がジュクジュクただれる

  • 強いかゆみがあり、ひっかくことでどんどん広がる

  • 特に顔・体・手足などに急速に多発

痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)

  • 膿をもった発疹が厚いかさぶたに変化

  • 口の周りや鼻・手足によくできる

  • 発熱、リンパ節の腫れ、のどの痛みを伴うことがある

  • やや重症化しやすいタイプ

初期段階では、あせもや虫刺されとの区別が難しいことがあります。

感染力と注意すべき場面

とびひは非常に感染力が強い病気です。主に以下の経路で感染が広がります。

  • 皮膚同士の直接接触(兄弟、保育園・幼稚園など)

  • タオルや衣類の共有

  • プール・浴場・寝具の共用

患部に水ぶくれやかさぶたがある間は、登園・登校・プールなどの活動は制限される場合が多く、医師の指示に従うことが大切です。

応急処置(今日できること)

  • 患部を触らない・かかない(ガーゼ等で覆う)

  • 入浴は基本OK。こすらず、清潔なタオルで水分をふき取る

  • タオル・寝具・衣類は個別に使用し、毎日交換する

  • 家族・兄弟へうつさないよう手洗い・爪切りを徹底

  • 登園・登校・習い事は医師の指示(登園許可)に従う

一般的な虫刺症・毛虫皮膚炎治療に使われる薬

◆ ①【抗菌薬(第一選択)】
▶ 外用抗菌薬(軽症・限局例)

ムピロシン バクトロバン®軟膏 MRSA にも効果あり/患部に塗布
フシジン酸 フシジンレオ軟膏 黄色ブドウ球菌に有効/耐性菌に注意
ゲンタマイシン ゲンタシン®軟膏 市販にも類似薬あり/表在感染に使用

▶ 内服抗菌薬(中等症〜広範囲)

セファレキシン ケフレックス® 黄色ブドウ球菌・溶連菌
アモキシシリン+クラブラン酸 オーグメンチン® βラクタマーゼ産生菌にも対応
クラリスロマイシン クラリス®、クラリシッド® マクロライド系/耐性に注意
ST合剤 バクタ® MRSA を疑う場合に考慮されることも(医師判断)

◆ ②【補助療法】

抗ヒスタミン薬 アレロック®、ザイザル®など かゆみを抑えて掻破防止
ステロイド外用薬(併用) ロコイド®、キンダベート®など 炎症が強い場合に併用することも(感染が強ければ避ける)
解熱鎮痛薬 カロナール®など 発熱・痛みがある場合に使用可

病院で何を調べるの?

どんな順番で皮疹が出たか(最初は水疱?かゆみ?熱?)

他の人にもうつっていないか(園・きょうだいなど)

アトピーや湿疹の基礎疾患があるかどうか

必要に応じて:皮膚培養・顕微鏡検査・白癬検査などで鑑別

「伝染性膿痂疹・水疱性膿痂疹【とびひ】」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

水ぼうそう(水痘)

かゆい水疱→かさぶた/熱あり 新旧の発疹が混在/顔から始まり全身に広がる/ワクチン歴がカギ

虫刺され

腫れ+強いかゆみ/掻くと感染しやすい 刺された記憶がある/局所的/水ぶくれは1個ずつ

アトピー性皮膚炎の二次感染

乾燥・かゆみ→掻いてとびひ化 元からアトピー体質/慢性化しやすい/皮膚バリア低下

ヘルペスウイルス感染(カポジ水痘様発疹症など)

痛みのある水疱・発熱あり/アトピー持ちに多い 水疱が群がってできる/触ると痛い/高熱を伴うことも

膿痂疹性湿疹/細菌感染を伴う湿疹

湿疹に細菌が感染しジュクジュクする もともとの湿疹がベースにある/患部が限定的/膿あり

足白癬(みずむし)

指の間に水疱・皮むけ/真菌感染 かゆみあり/白癬菌の検査で判別/とびひより進行ゆっくり

汗疹(あせも)

小さな赤いプツプツ/かゆみ 発熱なし/拡大スピード遅い/透明な汗のような水泡

伝染性膿痂疹・水疱性膿痂疹【とびひ】の特徴をチェック!

◻︎ 水ぶくれやただれが、掻いた手を介して短時間で体のあちこちに広がっている
◻︎ 発熱・リンパ節の腫れ・のどの痛みを伴っている(痂皮性が疑われる)
◻︎ 顔・体・手足などに水ぶくれが急速に多発している
◻︎ 保育園・学校・プール等の活動制限について指示が必要な状況

▶︎ これらに当てはまれば、「伝染性膿痂疹・水疱性膿痂疹【とびひ】」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 水ぶくれ・ただれが急速に拡大
◻︎ 発熱・リンパ節腫脹・のどの痛みを伴う
◻︎ 顔や体・手足に多発している
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:発熱、リンパ節の腫れ、のどの痛み/水ぶくれ・ただれが広範囲に拡大

早めに受診:水疱が増え続ける、かゆみが強く掻いてしまう、登園・登校やプールの可否判断が必要

様子見可:記載は限られます。迷う場合も早めに医師へ相談してください。

予防のポイント

  • 患部を覆って触らない・かかない

  • 入浴は基本OK。こすらず、清潔なタオルで水分をふき取る

  • タオル・寝具・衣類は個別に使用し、毎日交換

  • 手洗い・爪切りを徹底

  • 登園・学校・習い事は医師の指示に従う

FAQ

Q1. 人にうつりますか?

とびひは 非常に感染力が強い 皮膚の細菌感染です。皮膚同士の接触や、タオル・衣類の共有 などで広がるため、個別に使用し毎日交換してください。

Q2. プールや登園・登校はいつから可能ですか?

患部に水ぶくれやかさぶたがある間は制限されることが多く、医師の指示(登園許可)に従ってください。家庭内でも共有物の管理と手洗いを徹底しましょう。

Q3. どんな薬を使いますか?

第一選択は 抗菌薬(外用/内服)です。かゆみには抗ヒスタミン薬、炎症が強い場合にステロイド外用を併用することもありますが、感染が強ければ避ける 方針です。

Q4. 検査は必要ですか?

状況に応じて 皮膚培養・顕微鏡検査・白癬検査 などで鑑別します。発疹の出方や順番(最初は水疱か、かゆみか、発熱はあるか)も評価します。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。