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50代 男性のご相談

涙小管断裂(るいしょうかんだんれつ)ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 目頭〜鼻の間をぶつけた・切った後から、涙が止まらず頬を伝う(流涙が続く)
◻︎ まぶたに裂創や腫れがあり、涙点(黒い小さな穴)の位置ずれ・変形がある
◻︎ 目頭の創部を洗うと頬側へ水が漏れる/鼻へ流れていかない
◻︎ 打撲・裂傷後、出血や強い痛み・違和感が続く
◻︎ 受傷から時間が経っても日常生活に支障が出るほど涙が溢れる

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医師の回答

涙小管断裂(るいしょうかんだんれつ)は、目頭にある涙の通り道(涙小管)がケガなどで切れてしまう状態です。

目のキズと思っていたら…涙が止まらない?
実は「涙の通り道」が切れているかも!?

涙小管断裂を発症すると、たまった涙を鼻腔に排出することができなくなります。行き場がなくなった涙は、頬を伝って流れ落ちるようになります。 重症なケースでは、常に涙が流しながら日常生活を送らなければいけません。このような状態を「流涙(りゅうるい)」といいます。

K.Tさん

階段でつまずき、メガネが当たって目頭に切り傷。数日経っても涙が勝手にこぼれ続け、マスクや頬が常に濡れて困りました。見た目は小さな傷でも、涙の道が傷ついているかもしれないと言われて受診しました。

診断は「涙小管断裂」。外来で再建してシリコンチューブを入れてもらい、抗菌点眼を継続。触らないよう気をつけて通院を続けると、少しずつ普段どおりに。早く受診してよかったと実感しました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

目頭〜鼻の間をぶつけた/切った後から涙が頬へ流れる

まぶたに裂創・腫れ・出血がある

涙点の位置ずれ・形の変化がある(分かりにくい場合も)

02

経過・持続

受傷後も流涙や違和感が続く

生活や仕事に支障が出るほど涙が止まらない

03

随伴症状・背景

ボール・メガネ破損・転倒・動物の爪などで受傷

小児・高齢者など、軽い衝撃でも傷つきやすい

通水で鼻へ流れず頬へ漏れる感じがある

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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涙小管断裂(るいしょうかんだんれつ)とは?

涙小管断裂(るいしょうかんだんれつ)とは、涙を目から鼻へ排出する「涙道」の一部である涙小管が外傷などにより切れてしまう状態です。涙小管はまぶたの内側に存在し、特に下まぶたに多く見られる細い管です。この部分が損傷すると、涙が正常に流れずに目からあふれ続ける流涙〔りゅうるい〕が起こります。受傷直後はまぶたの切り傷や腫れとして見えることが多く、単なる皮膚外傷と誤認されやすい点が特徴です。

たとえば、転倒や交通事故、ボールなどの打撲、メガネ破損による裂傷、ペットや子どもの爪によるひっかき傷などが代表的な発生状況です。小児や高齢者では皮膚やまぶたが薄いため、比較的小さな衝撃でも断裂に至ることがあります。

【主な原因】

  • 交通事故や転倒による顔面外傷

  • ボールや物の衝突などの打撲

  • メガネの破損や金属フレームでの裂傷

  • ペットや小児の爪によるひっかき

  • 鋭利な器具や日常生活での偶発的な切創

好発部位はまぶたの内側で、特に下まぶたに多く発生します。なりやすい人としては、転倒しやすい小児や高齢者、スポーツや外出中に衝撃を受けやすい方が挙げられます。

経過としては、初期には出血や腫れが目立ちますが、時間の経過とともに涙が鼻へ流れなくなり、慢性的な流涙や目の違和感が残ります。放置すると涙道が閉塞して再建が困難になるため、受傷後早期の外科的処置が生活の質を守るうえで重要です。

応急処置(今日できること)

  • 目をこすらない・引っ張らない。洗顔時は創部を刺激しない。

  • 受傷後は小さな傷でも早めに医療機関へ相談する。

  • 医師の指示があるまでは独自の点眼・外用を増やさない。

一般的な涙小管断裂治療に使われる薬

① 【基本情報と特徴】

▶ 涙小管は、上下まぶたの内側(涙点)から涙を鼻へ排出するための管(涙道)の一部です。
▶ この管が外傷などで断裂すると、涙が流れずにこぼれたり、感染の原因になることがあります。
好発部位 下涙小管(下まぶたの涙点側)に多い(約80〜90%)
主な原因 打撲・切創・眼鏡による外傷・動物咬傷・交通事故・美容整形手術後など
受傷機転 顔面外傷で目頭〜鼻の間の裂創(皮膚が切れている)に合併しやすい
見た目 涙点の位置ずれ・皮膚裂創・血液貯留などだが、見た目では分かりにくいこともある

② 【診断と評価】
臨床所見(涙点ずれ・出血・浮腫) 皮膚の創部と涙点の位置を確認。眼科的ルーペ・スリットランプなどでの観察が有効
涙道通水試験 涙点からの通水が通らない or 頬に水が漏れる場合は断裂を強く疑う
プロービング 涙小管に細いプローブを入れて途中で引っかかる場合、断裂・遮断部位を確認可能
画像検査(CTなど) 骨折・広範な損傷がある場合に併用されることがあるが、涙小管断裂そのものは画像で直接見えにくい

③ 【治療法】
▶ 基本的に外科的再建(涙小管吻合術+チューブ挿入)が必要です。
▶ 放置では自然治癒せず後遺症を残すため、できる限り受傷後48時間以内の処置が理想です。
涙小管吻合術(再建手術) 断裂した管の端どうしを細いチューブでつなぎ直すマイクロサージェリー。通常局所麻酔 or 全身麻酔で日帰り可
涙道チューブ挿入術 シリコン製の涙道チューブ(ステント)を涙小管内に数か月間留置して再建部の癒着を防ぐ
抗菌薬投与(内服または点眼) 術後の感染予防に**抗菌点眼薬+場合により内服(ニューキノロン系・セフェム系など)**を併用
抗炎症薬(必要時) 周囲の炎症が強い場合にステロイド点眼などを短期間併用する場合もあり

④ 【術後の経過・管理】
チューブの留置期間 通常約3〜6か月で抜去される(癒合の安定性による)
術後の注意点 目をこすらない、引っ張らない、洗顔時に注意。異物感や出血があれば再受診を
経過観察 チューブの位置ずれ、結膜炎、再狭窄の有無を定期的に眼科でチェック
合併症リスク 感染、涙道閉塞の再発、チューブ逸脱などあり。術後も半年以上のフォローが望ましい

病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:まぶたの外傷部位や裂傷の深さを確認し、受傷の経緯を聴取します。外見上は軽度に見えても涙小管まで損傷している可能性があるため注意が必要です。

  • 涙道プロービング:細い金属棒を涙小管に挿入して通過性を確認します。断裂や閉塞の有無を直接評価できる検査です。出血や腫脹で一時的に判定が難しいことがあります。

  • 通水検査(生理食塩水注入):涙点から生理食塩水を注入し、鼻腔へ流れるかを確認します。流れが途中で止まる場合は断裂や閉塞を疑います。簡便ですが炎症が強い時には痛みが出ることもあります。

  • 色素通過試験:フルオレセインなどの色素を点眼し、鼻腔に到達するまでの時間を確認します。涙の流路が機能しているかを客観的に判断でき、術後の評価にも用いられます。

  • 画像検査(CT・超音波):外傷の範囲が広い場合や骨折の合併が疑われる際に行われます。まぶたや眼窩周囲の損傷を把握し、手術計画に役立ちます。必要に応じて選択されます。

「涙小管断裂」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

涙囊炎(るいのうえん)

涙を貯める「涙嚢」に細菌が入って炎症 目頭が赤く腫れ、押すと膿や涙がにじむことも

鼻涙管閉塞症

涙の出口(鼻涙管)が詰まり涙がたまる 赤ちゃんに多い/生まれつきの詰まりが多い/感染を繰り返す

結膜炎(感染性)

細菌・ウイルスが原因/涙・目やにが多くなる 両目に広がりやすく、かゆみ・充血もある

涙小管断裂の特徴をチェック!

◻︎ 目頭〜鼻の間をぶつけた・切った後から、涙が止まらず頬を伝う(流涙が続く)
◻︎ まぶたに裂創や腫れがあり、涙点(黒い小さな穴)の位置ずれ・変形がある
◻︎ 目頭の創部を洗うと頬側へ水が漏れる/鼻へ流れていかない
◻︎ 打撲・裂傷後、出血や強い痛み・違和感が続く
◻︎ 受傷から時間が経っても日常生活に支障が出るほど涙が溢れる

▶︎ これらに当てはまれば、「涙小管断裂」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 受傷後、涙が頬へ流れ続ける(流涙が持続)
◻︎ 涙点の位置ずれや変形がある
◻︎ 目頭〜鼻の間の裂創があり、通水が鼻へ抜けない
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:目頭付近の裂創・腫れがあり流涙が続く/涙点の位置ずれが疑われる

早めに受診:受傷後に違和感や出血が続く、生活に支障が出る流涙

様子見可:軽微で改善傾向が明らかな表在の擦過傷のみ(ただし不安なら相談を)

予防のポイント

  • スポーツ時はメガネやフェイスガードで眼外傷を予防

  • 小児・高齢者では転倒防止の住環境整備

  • ペットや小児と遊ぶときは目元を保護する工夫

  • 鋭利な物の取り扱いでは目に近づけない

  • 外傷後は小さな傷でも早めに受診

  • 術後はこすらない・チューブを引っ張らない

  • 指示どおり点眼・軟膏を使用し、定期受診を守る

FAQ

Q1. 受傷から何日までに手術したほうがよい?

できれば受傷後48時間以内の外科的再建が理想です。状況により判断するため、早めに相談してください。

Q2. どんな検査で分かりますか?

視診・問診に加え、涙道通水試験やプロービングで通過性を確認します。必要に応じて画像検査を併用します。

Q3. 術後はどれくらいチューブを入れますか?

通常は3〜6か月程度留置し、通過性を保ちながら経過を見ます。違和感や出血があれば受診してください。

Q4. 点眼や飲み薬は必要ですか?

術後の感染予防に抗菌点眼(場合により内服)を使い、炎症が強いときは短期の抗炎症点眼を併用することがあります。自己判断での長期使用は避けましょう。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。