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20代 女性のご相談

脂漏性皮膚炎ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 片側だけのヒリヒリ痛や赤みに続いて水ぶくれが出る(帯状疱疹の可能性)
◻︎ 頭皮のフケに「脱毛」や円形の抜けが伴う(頭部白癬の可能性)
◻︎ 皮膚がジュクジュクしてきた/痛み・膿を伴う(二次感染の疑い)
◻︎ 頬の蝶形紅斑や関節痛・強い倦怠感を伴う(膠原病の可能性)
◻︎ 症状が長引く・繰り返す、広がって生活に支障がある

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医師の回答

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が盛んな部位を中心にフケのようなものを伴う赤みのある湿疹ができる病気です。

頭皮や顔まわりのカサカサ・赤み・かゆみ、
それ「脂漏性皮膚炎」かも!?

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が盛んな部位を中心にフケのようなものを伴う赤みのある湿疹ができる病気で、 かゆみを伴うこともあります。 乳幼児や思春期以降の成人でよくみられ、頭や顔(鼻の周り)、腋など皮脂の分泌が盛んな部位や皮膚が こすれやすい部位にあらわれます。

F.Aさん

大学のころから、眉間と鼻のわきが赤くなり、粉がふくような皮むけが続きました。頭皮のフケも多く、黒い服が着づらいのが悩み。洗顔を増やしたら一時的によくなった気がしたものの、すぐにぶり返してしまいました。

受診して「脂漏性皮膚炎」と分かり、抗真菌の外用とローション型のステロイドを短期間、洗い方を見直して低刺激の保湿を継続。数週間で目立つ赤みが落ち着き、再発しにくくなりました。やみくもに洗うより“適切な治療+やさしいスキンケア”が大事と学びました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

頭皮/眉間・鼻周り/耳の後ろに赤み・細かいフケ・かさつき

かゆみやヒリヒリ感がある

うろこのような落屑が続く

02

経過・持続

良くなったり悪くなったりを繰り返す

秋冬に悪化しやすい

03

随伴症状・背景

脂性肌、思春期〜中年に多い/男性に多い傾向

洗いすぎ・乾燥・摩擦・紫外線、ストレスや睡眠不足で悪化

乳児では頭皮に黄色いかさぶた状の皮疹が出ることがある

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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脂漏性皮膚炎とは?

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、皮脂の分泌が多い部位に起こりやすい慢性的な炎症性皮膚疾患です。頭皮、顔(眉間や鼻のわき、髪の生えぎわ)、耳のうしろ、胸の中央などに、赤みやかゆみ、うろこのようなフケ、皮膚のかさつきが現れるのが特徴です。乾燥や単なるフケに似ていますが、皮脂分泌と皮膚常在菌(マラセチア)の増殖が関与する点が特徴的です。感染症ではないため、人にうつることはありません。

脂漏性皮膚炎にはいくつかの病型があり、成人型では頭皮や顔まわりに症状が出やすく、再発を繰り返します。乳児期に生じる「乳児脂漏性湿疹」もあり、これは多くの場合は数か月で自然に改善します。かぶれ、乾燥、脂漏、アレルギー性の素因などが複雑に関係し、見た目や経過が異なることもあります。

【主な原因】

  • 皮脂分泌の過剰(ホルモンや体質の影響)

  • 常在真菌「マラセチア」の異常増殖

  • ストレスや睡眠不足など生活習慣の乱れ

  • 洗いすぎや乾燥による皮膚バリアの低下

  • 季節の変化や気候(秋冬に悪化しやすい)

好発部位は頭皮、顔のTゾーン(眉間・鼻周囲)、耳まわり、胸部、わきなど皮脂が多い部位です。発症しやすいのは思春期から中年の男性、脂性肌の方、アトピーや乾癬を併発している方です。また、乳児にも見られることがあり、特に赤ちゃんの頭皮に黄色いかさぶた状の皮疹が出ることがあります。

経過は、最初は赤みやかゆみ、細かいフケのような落屑として始まり、慢性化すると再発を繰り返します。悪化因子として、乾燥、気温差、ストレス、睡眠不足、皮膚への摩擦や紫外線などが知られています。放置すると炎症が広がり、皮膚の見た目や生活の質に影響しますが、早めに受診し治療を行うことでコントロールが可能です。

応急処置(今日できること)

  • やさしく洗い、過剰な洗浄や強い摩擦は避ける

  • 洗浄後は低刺激の保湿を行う

  • 抗真菌成分入りの薬用シャンプーや洗顔料を定期的に使う

  • 紫外線・気温差・乾燥など外的刺激を避ける

  • 掻かない・こすらない、睡眠とストレス管理に配慮する

一般的な脂漏性皮膚炎治療に使われる薬

◆ ①【外用薬(塗り薬・シャンプー)】— 基本の治療
抗真菌薬(外用) ミコナゾール硝酸塩 フロリードDクリーム、ニゾラールクリーム マラセチア菌に効果。第一選択
〃 ケトコナゾール ニゾラールシャンプー(自費) 頭皮のフケ・かゆみに有効
ステロイド外用薬 ヒドロコルチゾン酪酸エステル ロコイド軟膏など 赤み・かゆみが強いときに短期間使用
〃 デキサメタゾン酢酸エステル リンデロン-Vローション 頭皮など毛がある部位に適応(ローション基剤)
カルシニューリン阻害薬 タクロリムス プロトピック®軟膏(顔に) ステロイドを避けたい部位に補助的に使うことも(刺激感あり)

◆ ②【内服薬】
※ 内服は基本的には「補助的・一時的」な位置づけです。
抗ヒスタミン薬 アレグラ、ザイザル、ポララミンなど かゆみの軽減、掻破防止に補助的使用
抗真菌薬(内服) イトラコナゾール、フルコナゾールなど 重症例・外用で効果が乏しい場合に検討(まれ)
ビタミン剤 B2(リボフラビン)、B6、Cなど 皮膚代謝補助として併用されることがある

◆ ③【保湿・スキンケア製品(市販も含む)】
保湿剤 ヒルドイド、プロペト、白色ワセリンなど カサつき防止、皮膚バリア改善
低刺激シャンプー コラージュフルフル®(ケトコナゾール配合)、ノンエー 頭皮タイプでは毎日の洗髪が基本
洗顔料・スキンケア 弱酸性・ノンアルコール製品 香料・アルコールなどは避けるのが無難

✅ 生活指導も非常に重要
☑ 1日1回以上の洗顔・洗髪(過剰洗浄は避ける)
☑ 脂っこい食事・アルコールの過剰摂取に注意
☑ ストレス・睡眠不足も悪化要因
☑ 顔や頭皮を掻かない・こすらない

病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:皮疹の部位や形態を確認し、経過や再発パターンを聴取します。典型的な症状が揃う場合は視診のみで診断できることもあります。

  • 真菌鏡検(KOH検査):フケや皮膚の一部を採取し、カビ(真菌)の有無を調べます。マラセチア以外の皮膚真菌症との鑑別に役立ちます。検査は数分で結果が分かります。

  • 血液検査:アトピー性皮膚炎や乾癬など他の皮膚疾患の併存を確認するため、IgE値や炎症マーカーを測定することがあります。診断補助や全身状態の把握に用います。

  • 皮膚生検:症状が非典型的で診断が難しい場合に実施されます。局所麻酔下で皮膚の一部を採取し、病理組織を顕微鏡で解析します。結果は数日後に判明します。

  • 細菌培養検査:皮膚がじゅくじゅくして二次感染が疑われる場合に行います。分離した菌種に基づいて適切な抗菌薬を選択する参考になります。

「脂漏性皮膚炎」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

乾癬(かんせん)

頭皮や肘・膝に厚い白いフケ・赤い斑点が出る/かゆみあり 境界がはっきり/爪の変化・関節痛を伴うことも

酒さ・酒さ様皮膚炎

鼻・頬の赤み・ブツブツ/ヒリヒリ感/ステロイド長期使用歴があることも かゆみよりヒリヒリ感が強い/繰り返す赤ら顔

アトピー性皮膚炎

乾燥肌+かゆみ/幼少期からの経過がある 顔以外にも症状がある/皮膚がとても乾燥しているのが特徴

接触皮膚炎(かぶれ)

特定の化粧品や洗顔料が原因で赤み・かゆみ 使ったものをやめるとよくなる/境界がくっきりしていることも

マラセチア毛包炎

ニキビに似た赤いプツプツ/背中・胸にも出ることがある 毛穴に沿って赤い丘疹が多数/抗菌薬が効きにくい

カンジダ皮膚炎

湿ったところにできる赤み+白いふやけた皮むけ 胸の下・耳の後ろ・おむつまわりなど/ジュクジュク感が強い

紅斑性狼瘡(膠原病)

頬に蝶形の赤み(バタフライラッシュ)/紫外線で悪化 全身症状(関節痛・倦怠感)を伴うことあり/血液検査で診断

頭部白癬(しらくも)

子どもに多い/フケ・脱毛・かゆみ カビ(白癬菌)による感染症/真菌検査で確認可能

帯状疱疹

初期 赤み・ヒリヒリ感/片側だけに出る 水ぶくれ・ピリピリ痛/帯状に並ぶことが多い

脂漏性皮膚炎の特徴をチェック!

◻︎ 片側だけのヒリヒリ痛や赤みに続いて水ぶくれが出る(帯状疱疹の可能性)
◻︎ 頭皮のフケに「脱毛」や円形の抜けが伴う(頭部白癬の可能性)
◻︎ 皮膚がジュクジュクしてきた/痛み・膿を伴う(二次感染の疑い)
◻︎ 頬の蝶形紅斑や関節痛・強い倦怠感を伴う(膠原病の可能性)
◻︎ 症状が長引く・繰り返す、広がって生活に支障がある

▶︎ これらに当てはまれば、「脂漏性皮膚炎」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 片側のヒリヒリ痛+水ぶくれが帯状に出る
◻︎ 頭皮のフケに脱毛を伴う
◻︎ 皮膚がジュクジュク/痛み・膿がある
◻︎ 蝶形紅斑や関節痛・倦怠感を伴う
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:片側の痛みと水ぶくれ(帯状疱疹疑い)/ジュクジュクや膿を伴う/脱毛を伴う頭皮病変

早めに受診:症状が長引く・繰り返す/顔や頭皮で日常ケアでは抑えられない

様子見可:軽い赤みやフケでセルフケア(やさしい洗浄・低刺激保湿・適切なシャンプー)で改善傾向がある

予防のポイント

  • 1日1回を目安にやさしく洗い、洗いすぎは避ける

  • 洗浄後は低刺激保湿を習慣にする

  • 抗真菌成分入りの薬用シャンプーや洗顔料を定期的に使う

  • 紫外線・気温差・乾燥などの刺激を避ける

  • バランスの良い食事・十分な睡眠・ストレス軽減

  • 喫煙や過度の飲酒は控える

FAQ

Q1. 脂漏性皮膚炎は人にうつりますか?

いいえ。感染症ではないため、人にうつる病気ではありません。

Q2. シャンプーは毎日した方がいいですか?

頭皮タイプでは毎日の洗髪が基本です。ただし洗いすぎ・強い摩擦は避け、やさしく行いましょう。

Q3. ステロイドは長く塗っても大丈夫?

赤み・かゆみが強い時に短期間使用するのが基本です。自己判断での長期連用は避け、医師の指示に従ってください。

Q4. 乳児の「乳児脂漏性湿疹」は自然に治りますか?

多くは数か月で自然に改善します。広がる・ケアが難しい場合は小児科や皮膚科に相談を。

Q5. どんな検査をしますか?

視診・問診が中心で、必要に応じて真菌鏡検(KOH)、血液検査、皮膚生検、細菌培養などで鑑別します。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。