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30代 女性のご相談

うっ滞性皮膚炎ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 皮膚が破れて潰瘍になっている/治りにくい
◻︎ 黄色い膿やびらんがあり、二次感染が疑われる
◻︎ 赤み・ジュクジュクが広がってきた
◻︎ 足のむくみが強く、夕方に悪化する・靴下跡がくっきり残る
◻︎ 自己判断や市販薬で改善せず、繰り返している
◻︎ 下肢静脈瘤など血管の問題を指摘されたことがある

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医師の回答

うっ滞性皮膚炎(うったいせいひふえん)は、足の静脈の血流が滞ることで皮膚に炎症が起きる慢性の皮膚疾患です。 足首やふくらはぎの下の方にかゆみや赤みが出たり、皮膚がカサカサ・ジュクジュクしたり、色が茶色や黒っぽく変色してくるのが特徴です。放置すると皮膚が硬くなったり、最終的には皮膚潰瘍(皮膚が破れて治りにくい状態)に進行することもあるため、早めの対処が重要です。

足のむくみや赤み、
それ「血の流れ」が原因かも

脚の静脈の血流が滞ることで皮膚に炎症が生じる病気です。原因のひとつとして下腿静脈瘤(かたいじょうみゃくりゅう)が考えられており、脚の血管が膨れて脚がむくんだり、血管がボコボコと盛り上がったりすることがあります。下腿静脈瘤になると、脚の表面に曲がりくねった血管が浮き出てみえることがあります。 また、立ちっぱなしや脚の麻痺、肥満、妊娠などにより静脈の血流が悪くなることによっても生じます。

M.Kさん

ふくらはぎにかゆみが出て、夕方は靴下の跡が深く残るのが気になっていました。最近は足首が茶色くなり、時々ジュクジュクするので心配に。市販薬では良くならず、仕事中もムズムズが続きました。

オンラインで相談し、医師から「うっ滞性皮膚炎」の説明を受けました。外用薬で炎症を抑え、足を高くして休むことや弾性ストッキングの使い方を教わりました。むくみが軽くなると症状も和らぎ、早めに相談してよかったと感じました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

足首〜ふくらはぎのかゆみ・赤み・皮むけ・湿疹

ジュクジュクした浸出がある

茶〜黒っぽい色素沈着、皮膚がゴワつく/硬い

02

経過・持続

夕方にむくみや重だるさが強くなる

左右両足に出ることがある

03

随伴症状・背景

立ちっぱなし/座りっぱなしの仕事が多い

下肢静脈瘤の既往、足の手術・けが後

高齢、むくみ体質

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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うっ滞性皮膚炎とは?

この疾患は、足の静脈内の血液がうまく心臓に戻れず、足にたまってしまう「うっ滞」が原因です。血液やリンパの流れが滞ることで周囲の組織に負担がかかり、皮膚に炎症が生じます。特に夕方に足がむくむ人や、靴下の跡がくっきり残るような人は注意が必要です。

症状は、足の赤みやかゆみ、皮むけ、湿疹、ジュクジュクとした浸出、茶色い色素沈着、皮膚の硬化感、足のむくみ・重だるさなど。これらは左右両方の足に同時に起こることもあります。進行例では、皮膚が厚くゴワゴワし、潰瘍ができてしまうこともあります。

うっ滞性皮膚炎になりやすいのは、高齢の方、立ちっぱなし・座りっぱなしの仕事をしている人(販売・事務職など)、過去に下肢静脈瘤のあった方、足の手術やけがをした後で血流が悪くなっている方などです。とくに、夕方に足のむくみが強くなる人は、慢性的な静脈うっ滞を抱えている可能性があります。

診断の際は、似た症状を示す他の皮膚病との鑑別も重要です。たとえば、かぶれやアレルギーによる接触皮膚炎、冬に多い乾燥性湿疹、水虫(白癬)、自己免疫疾患による皮疹、下肢静脈瘤そのものなどと見分ける必要があります。特徴的なのは、「むくみ」「左右両足に出る」「茶色~紫色の色素沈着」「潰瘍ができやすい」などの所見です。

治療の基本は、皮膚の炎症を抑えると同時に、血流の改善を図ることです。具体的には、ステロイド外用薬などで皮膚の炎症を抑えつつ、弾性ストッキングの着用や足を高くして休むことで、足にたまった血液を効率よく戻すようにします。また、血管の異常(下肢静脈瘤など)がある場合は、必要に応じて血管外科での治療が行われることもあります。

うっ滞性皮膚炎は、市販薬ではなかなか改善しないことが多く、進行すると治療に時間がかかります。さらに、背景に心臓や腎臓の病気が潜んでいることもあるため、「ただの湿疹かな?」と自己判断せず、なるべく早めに皮膚科専門医にご相談ください。

応急処置(今日できること)

  • 足を高くして休む(就寝前など)

  • 長時間の同一姿勢を避け、こまめに歩く・足首を動かす

  • 弾性ストッキングの着用(医師の指示に従う)

  • 毎日の保湿で皮膚バリアを守る

  • 症状が強い/広がる/ジュクジュクが続く場合は受診

一般的なうっ滞性皮膚炎治療に使われる薬

① 【外用ステロイド剤】
▶ 炎症(赤み・かゆみ・湿疹)を抑える第一選択薬

・Very Strong モメタゾンフランカルボン酸 フルメタ など
・Strong ベタメタゾン吉草酸エステル リンデロン-VG など。感染合併が疑われるときは抗菌薬入りを使用
・Medium ヒドロコルチゾン酪酸エステル ロコイドなど
・Weak プレドニゾロン プレドニン軟膏など
※炎症が落ち着いてきたら、徐々に減量・中止していきます。

② 【保湿剤(スキンケア)】
▶ 慢性の乾燥やバリア機能回復に重要。継続使用が基本
・ヘパリン類似物質外用薬:ヒルドイドソフト軟膏、ヒルドイドローションなど
・白色ワセリン、プロペトなど
・尿素製剤(角化が強い場合のみ。ただしびらん部位には避ける)
・ケラチナミンコーワクリームなど

③ 【抗菌薬外用剤】
▶ 二次感染(とびひ様、黄色い膿やびらん)があるときに使用
・アクロマイシン軟膏(テトラサイクリン)
・フシジンレオ軟膏(フシジン酸ナトリウム)
・リンデロンVG軟膏(ステロイド+抗菌薬)

④ 【内服薬】
▶ 抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)
・アレグラ(フェキソフェナジン)
・アレロック(オロパタジン)
・ザイザル(レボセチリジン)など

▶ 抗生物質(感染が広がっている場合)
・セファレキシン(ケフレックス)
・アモキシシリンなど

▶ 利尿剤(浮腫のコントロールが必要な場合)
・フロセミドなど ※他疾患との関連があれば

⑤ 【圧迫療法の補助:外用とは別に重要】
▶ お薬ではないですが、治療の中心は「弾性ストッキング」などによる圧迫療法です。
・医療用弾性ストッキング(クラスI~III)
・包帯法(間欠的圧迫)
・医療機関でのフットケア指導

予防や日常のケアは、
長時間同じ姿勢で立ち続けたり座りっぱなしにしないように心がけること、
寝る前などに足を高くして休むこと、
毎日の保湿で皮膚を守ること、
ウォーキングや足首を動かす体操などで血流を促すことが効果的です。また、弾性ストッキングの着用も有効な予防策のひとつです。

「うっ滞性皮膚炎」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

接触皮膚炎

特定の刺激後に急な赤み・かゆみ|原因物質の回避が重要/受診推奨

乾燥性湿疹

冬に悪化しやすい乾燥に伴う湿疹|保湿中心でも改善乏しければ受診

水虫(白癬)

足の湿疹様変化|誤用を避けるため受診で確認

自己免疫疾患による皮疹

多様な皮疹|全身管理が必要なことがあり受診を

下肢静脈瘤

血管の膨らみ・だるさ|血管外科評価が必要な場合あり

うっ滞性皮膚炎の特徴をチェック!

◻︎ 皮膚が破れて潰瘍になっている/治りにくい
◻︎ 黄色い膿やびらんがあり、二次感染が疑われる
◻︎ 赤み・ジュクジュクが広がってきた
◻︎ 足のむくみが強く、夕方に悪化する・靴下跡がくっきり残る
◻︎ 自己判断や市販薬で改善せず、繰り返している
◻︎ 下肢静脈瘤など血管の問題を指摘されたことがある

▶︎ これらに当てはまれば、「うっ滞性皮膚炎」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 潰瘍がある/治りにくい
◻︎ 膿・びらんなど感染が疑われる
◻︎ ジュクジュクや赤みが広がっている
◻︎ 夕方の強いむくみや靴下跡が続く
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:潰瘍がある/膿・びらんなど感染が疑われる/急速に悪化している

早めに受診:ジュクジュクが続く、左右両足に広がる、むくみが強い、色素沈着や皮膚の硬さが目立つ

様子見可:軽い赤み・かゆみで数日で改善傾向がある。ただし迷う場合は早めに相談を

予防のポイント

  • 長時間の立ち/座りっぱなしを避け、こまめに歩く・足首体操

  • 就寝前などに足を高くして休む

  • 弾性ストッキングを適切に着用(医師の指示)

  • 保湿を毎日続け、皮膚を守る

  • ウォーキングなどで下肢の血流を促す

FAQ

Q1. 茶色っぽい色素沈着は元に戻りますか?

うっ滞が続くと色素沈着が目立つことがあります。炎症とむくみのコントロールで悪化を防ぎます。早めの相談が大切です。

Q2. 弾性ストッキングはどんな時に使いますか?

うっ滞性皮膚炎では圧迫療法が治療の中心です。適切な圧・サイズは医師の指示に従って選びます。

Q3. 市販薬での対応は可能ですか?

市販薬だけでは改善しにくいことが多いです。繰り返す・広がる場合は早めに受診してください。

Q4. どの診療科にかかれば良いですか?

まず皮膚科で評価し、静脈の異常が疑われる場合は血管外科の治療が併行されることがあります。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。