
20代 女性のご相談
肥厚性瘢痕ってどんな病気?

医師の回答
肥厚性瘢痕は、皮膚の傷が治る過程で傷跡が紅褐色に盛り上がった[隆起(りゅうき)]状態のことです。
〜キズあとが盛り上がって赤くなる…それは「治りすぎ」による反応かも!?〜 肥厚性瘢痕は、皮膚の傷が治る過程で傷跡が紅褐色に盛り上がった[隆起(りゅうき)]状態のことで、
ニキビ跡や外科手術の縫合部にできることが多く、つまんでも痛みはありません。
数年以内に自然と小さくなることが多いです。 ケロイドは、紅褐色に盛り上がり[隆起(りゅうき)]が
傷跡の範囲を越えている場合を指し、自然に小さくなる傾向はほとんどありません。
大きくなると中央部が平たくなり[扁平化(へんぺいか)]、つまむと痛みを伴います。また、かゆみを伴う場合もあります。
多くはケガや手術から1ヵ月以内に発症します。
肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)やケロイドは、皮膚の傷が治る過程で異常な治癒反応が起こり、傷あとが赤く盛り上がる皮膚疾患です。
どちらも目立ちやすく、かゆみ・痛み・つっぱり感を伴い、美容や日常生活にも影響を与えることがあります。
◆できやすい部位
胸元、肩、背中、耳たぶ、顎まわり
肘や膝、指などの関節部
ピアスや手術痕、ニキビ跡、やけど跡など
特に皮膚が引っ張られる・こすれやすい部位でできやすい傾向があります。
◆原因とリスク要因
皮膚が傷ついた際、体はコラーゲンなどを生成して修復を行いますが、その働きが過剰になると傷あとが盛り上がるようになります。
主な原因・誘因
・手術やけが、ニキビ、やけどなどの皮膚損傷
・傷が治るまでに時間がかかった
・傷への摩擦や刺激
・家族歴や遺伝的体質(特にケロイド)
・若年層(10〜30代)に多い
◆症状の進行
傷が治ったあとに赤くなり始める
チクチク感やかゆみとともに徐々に盛り上がる
肥厚性瘢痕は時間とともに改善傾向
ケロイドは拡大・慢性化しやすく、治療が必要
✅ 肥厚性瘢痕・ケロイドに使われる主なお薬
①【ステロイド外用薬】★第一選択
クロベタゾールプロピオン酸エステル デルモベート軟膏 非常に強力なステロイド。短期使用で炎症・増殖抑制
ベタメタゾン酪酸エステル リンデロンVなど 中等度の肥厚瘢痕に使用されることも
使用法 1日1~2回、テープ療法や密封療法(ODT)で効果を増強
②【ステロイド含有テープ剤】
ドレニゾンテープ フルドロコルチゾン 日本で広く使用。密着性が高く、長時間作用
リザベンテープ トラニラスト含有 炎症抑制+線維増殖抑制成分
🔹 テープは夜間または日中12時間貼付が一般的
③【ステロイド局所注射】
トリアムシノロンアセトニド(ケナコルトA注) 硬く盛り上がったケロイドに直接注射することで、強力に増殖を抑制
🔹 効果が高いが、皮膚萎縮・陥没などの副作用に注意
🔹 数週おきに複数回の注射が必要になる場合あり
④【抗アレルギー・抗炎症薬(内服)】
トラニラスト リザベン® ヒスタミン遊離抑制+線維芽細胞の増殖抑制作用があり、長期内服でケロイドのかゆみ・赤み・盛り上がりを緩和
🔹 1日3回内服(通常3か月〜半年以上)
🔹 単独では効果が弱いため、外用や注射と併用が基本
⑤【その他の補助療法】
シリコーンジェルシート ケアシート®、アトファイン®など。圧迫+保湿で再発予防
保湿外用剤 ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)で皮膚柔軟性を保つ
ビタミンCローション 色素沈着予防・美白効果(補助的)
⑥【難治性・再発例の治療(専門医管理)】
5-FU注射 抗がん剤を局所注射(ケロイド縮小)
インターフェロン局注 免疫調整による瘢痕抑制(研究段階)
放射線療法 手術後早期に照射することで再発予防(悪性化リスクに留意)
外科手術+予防療法 再発リスクが高いためステロイド注射や放射線療法併用が原則
病院で何を調べるの?
1. 診断のための視診・問診
2. 必要に応じて追加の検査
通常は視診(見た目)と問診のみで診断可能ですが、以下のようなケースでは追加検査を行うこともあります:
◇ 追加検査の例
病理検査(皮膚生検)
→ 難治性・異常な拡大がある場合、悪性腫瘍との鑑別のため
アレルギー検査・血液検査(まれ)
→ 皮膚疾患との合併や、全身的な異常の疑いがあるとき
☆ 間違えやすい皮膚病(鑑別)
通常の瘢痕(普通のキズあと)
⇒赤みや硬さが少なく、徐々に目立たなくなる 痛み・かゆみがない/盛り上がりが軽度
皮膚がん(基底細胞がんなど)
⇒赤く盛り上がり、じゅくじゅくする/出血しやすい 盛り上がるが硬くて潰瘍や出血があることも
脂肪腫や粉瘤
⇒皮下にできる柔らかいしこり/かゆみなし 盛り上がるが赤くない/痛みもないことが多い
予防のポイント
傷あとはこすらず、刺激を避ける
保湿ケアと紫外線対策は毎日行う
リュックや下着などでの摩擦・圧迫を避ける
傷の治癒期間中からケアを開始することが重要
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。
アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。