
20代 女性のご相談
酒さ様皮膚炎ってどんな病気?

医師の回答
酒さ様皮膚炎は、ステロイドなどの抗炎症外用薬を長期にわたり使用することが原因で、薬剤を塗っている部分に赤み(紅斑)やニキビのようなブツブツ(丘疹)があらわれる病気です。

〜赤み・ほてり・ぶつぶつが続く…それはスキンケアの副作用かも!?〜 酒さ様皮膚炎は、ステロイド(副腎皮質ホルモン)などの抗炎症外用薬を長期にわたり使用することが原因で、
薬剤を塗っている部分に赤み(紅斑)やニキビのようなブツブツ(丘疹)があらわれる病気で、
酒さに似た症状であることから命名されています。かゆみや灼熱感を伴うこともあります。
酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)とは、ステロイド外用薬や刺激の強い化粧品などの長期使用が原因で、顔に赤み・ほてり・ブツブツ(丘疹)・かゆみ・灼熱感などが慢性的に続く炎症性皮膚疾患であり、鼻や口のまわり、頬、あごなどに左右対称に症状が現れます。この疾患は、ステロイドの使用により一時的に症状が改善するものの、使用をやめるとリバウンドとして症状が悪化する傾向があり、繰り返しの使用により肌のバリア機能が破綻し、常在菌のバランスが崩れることが発症の引き金となります。
とくに市販薬や強いランクの薬を自己判断で継続的に使用している方や、過度なスキンケア、ピーリング、美容施術の経験がある方、敏感肌・乾燥肌の方は注意が必要です。治療の基本は、原因薬剤や刺激の強い化粧品の中止に加え、炎症の程度に応じてタクロリムス軟膏などの抗炎症薬や抗菌薬を使用し、肌のバリア機能を回復させるスキンケアを継続することです。また、低刺激の保湿剤やノンケミカルの日焼け止めを用いること、症状の変動を記録しておくことも予防と早期対応に役立ちます。顔の赤みやかゆみが長引いている、治療をしているのに再発を繰り返すといった場合は酒さ様皮膚炎の可能性があり、皮膚科での正しい診断とステロイドの離脱サポート、オンライン診療による丁寧なスキンケア指導を受けることが重要です。
✅ 酒さ様皮膚炎の治療に使われる薬
🔺 第一の治療は「原因ステロイドの中止」ですが、急な中止でリバウンド症状が悪化することがあるため、医師の管理のもと段階的に治療を行います。
①【ステロイドの中止または段階的減量】
一気に止めると「リバウンド皮膚炎」が悪化するため注意
医師の指導で弱いステロイド → 非ステロイド外用薬へ移行
②【非ステロイド系抗炎症薬】
タクロリムス軟膏 プロトピック 炎症抑制。顔専用に多用されるが、最初はヒリヒリ感が出やすい
ピメクロリムスクリーム エリデル(国内未承認) タクロリムスに比べ刺激が少なめ(海外で使用)
③【抗菌・抗炎症作用のある外用薬】
メトロニダゾール外用 ロゼックスゲル(日本未承認) 欧米では酒さ治療の第一選択。抗炎症・抗菌作用あり(保険外で個人輸入される例も)
アゼライン酸 スキノレンクリームなど(日本未承認) 酒さ様皮膚炎にも有効とされる(美白・角質抑制効果も)
④【内服薬(必要に応じて)】
テトラサイクリン系抗菌薬(ドキシサイクリンなど) 抗炎症作用が目的。丘疹や膿疱が目立つときに短期使用される
抗ヒスタミン薬 かゆみやヒリヒリ感が強い場合に使用(例:アレグラ、ザイザルなど)
ミノサイクリン 長期的に炎症を抑える目的で用いられることもある
⑤【保湿・バリアサポート】
低刺激の保湿剤(白色ワセリン、ヒルドイドなど)を中心に使用
皮膚バリアを守り、炎症の再燃を予防
アルコールや香料の入った化粧品は避ける
🔬 病院で何を調べるの?
顔の赤み・ヒリヒリが数週間以上続く
ステロイドを使っていた/やめたあと悪化した
市販薬やスキンケアでよくならない/かえって悪化した
など細かく確認
🩺 よく間違えられる皮膚病(鑑別)
酒さ(しゅさ)
⇒赤み・毛細血管の拡張/中年以降に多い ステロイド使用歴がなくても発症/症状が似ているため鑑別が必要
接触皮膚炎(かぶれ)
⇒明確な接触物が原因/急性の炎症反応 ステロイドで改善するが酒さ様では悪化することも
ニキビ(尋常性ざ瘡)
⇒思春期に多い/毛穴に皮脂がつまってできる 赤みよりも白ニキビ・黒ニキビが目立つ/Tゾーンに多い
口囲皮膚炎
⇒子どもや女性に多い/口のまわり中心 赤い小さなブツブツ・ステロイド使用歴あり/酒さ様に含まれることも
予防のポイント
肌への過度な刺激や薬剤の使いすぎを避け、バリア機能を守ることが基本です
・スキンケアの見直し
・外用薬の使い方に注意
・ステロイドは医師の指導で使用します。
専門医のサポートを早めに取り入れる
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
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