
20代 女性のご相談
伝染性軟属腫【みずいぼ】ってどんな病気?

医師の回答
伝染性軟属腫は「みずいぼ」とも呼ばれ、伝染性軟属腫ウイルスによって皮膚に1~5mmほどの光沢のあるブツブツができる病気です。


〜ポツポツした小さないぼ、水や接触でうつることも!〜 伝染性軟属腫は「みずいぼ」とも呼ばれ、伝染性軟属腫ウイルスによって皮膚に1~5mmほどの光沢のあるブツブツができる病気です。
乳幼児や小児でよくみられ、全身のどの部位でもみられますが、とくに胸、腋の下、腕の内側などに多発します。
痛みやかゆみはありませんが、引っかいたりつぶしたりした際に出てくるブツブツの中身が皮膚につくとウイルスが広がり
自分のほかの部位や他の人にうつります。
伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)、いわゆる「みずいぼ」は、伝染性軟属腫ウイルス(ポックスウイルスの一種)によって引き起こされるウイルス性の皮膚感染症です。1〜5mmほどのツルンと光沢のある半球状のいぼが皮膚にでき、中心が少しくぼんでいるのが特徴です。乳幼児から小学生くらいの子どもに多く見られ、胸やわきの下、腕の内側、太ももなど皮膚がこすれやすい部分に複数できることがあります。
感染は、皮膚と皮膚の直接的な接触や、タオルや水着、プールの水などを介した間接的な接触で広がります。特に肌のバリアが弱い子ども(アトピー性皮膚炎など)や集団生活をしているお子さんで多く発症します。痛みやかゆみがないことも多いですが、かゆみがあると無意識に引っかいてしまい、いぼの中のウイルスが別の部位に広がったり、他人にうつってしまうことがあります。症状は見た目ほど強くはありませんが、数が増えたり広がると気になるため、皮膚科での対応が望ましい疾患です。
治療は、基本的には自然に治るのを待つ経過観察か、ピンセットでの摘除(つみとり)が選択されます。自然治癒の場合、半年〜1年ほどで免疫がついて消えることが多いですが、増えたりかゆみが強い場合は、医師の判断で早めに処置を行うこともあります。摘除は一時的に痛みを伴うため、麻酔のテープ(ペンレス®)を貼ってから行うなど、お子さまの負担を軽減する工夫もされています。他にも、漢方薬や硝酸銀、冷凍療法など症状や年齢に応じた方法が選ばれる場合もあります。
感染を広げないためにも、いぼをつぶしたり無理に押し出したりするのは厳禁です。いぼに触れた後は手をしっかり洗い、タオルや衣類の共用を避け、プールや入浴後はシャワーで清潔に保つことが大切です。また、肌のバリア機能を保つために、保湿ケアなどのスキンケアを心がけましょう。プールへの参加は、みずいぼがあるからといって一律に禁止されるわけではなく、園や学校の方針や医師の判断に従う形が一般的です。
✅ 治療の選択肢
基本は「経過観察または摘除」です。
医療機関での対応は年齢・部位・数・保護者の希望により異なります。
◆ ①【物理的摘除(主流)】
ピンセット除去 医師が1つずつ専用ピンセットで取り除く(やや痛みあり)
表面麻酔を併用 ペンレス®テープやエムラ®クリームで痛みを軽減できることがある
傷は浅い 小さなかさぶたになる程度/治癒後の跡は残りにくい
◆ ②【薬物療法・外用薬(補助)】
ヨクイニン内服薬(漢方) いぼ体質の改善を目的に処方されることがある/即効性はない
サリチル酸ワセリン(角質剥離) 外用で自然に取れやすくなるよう補助するが、刺激が強いことも
硝酸銀・トリクロロ酢酸など 一部の皮膚科で使われるが、保険適用外で跡が残るリスクもある
イミキモド(ベセルナ®) 一部報告があるが一般的ではない/保険適用外
◆ ③【自然経過観察】
基本的には自然治癒 6か月〜2年以内に自然消失する例が多い
観察の条件 症状が軽い/掻かない/広がらない/他人にうつさないよう注意できるなら可
🔬 病院で何を調べるの?
病院では、基本的には視診で診断がつきます。
いぼの特徴がはっきりしているため、血液検査や画像検査などは不要
その場で診断・治療相談ができることがほとんどです。
🔍 みずいぼと間違えやすい類似疾患
尋常性疣贅(いぼ)
⇒HPVウイルスによるいぼ/硬くザラザラ 表面がザラザラ/光沢なし/手足に多い
汗疹(あせも)
⇒小さな赤いブツブツ/夏に多い かゆみが強め/数日で消える/芯がない
伝染性膿痂疹(とびひ)
⇒水ぶくれが破れてジュクジュク/かゆみあり かゆみが強く、どんどん広がる/黄色いかさぶたも
虫刺され
⇒赤く腫れてかゆい/刺された直後に出る かゆみ強め/左右非対称/時に痛みも
毛包炎(ニキビに似たできもの)
⇒毛穴に細菌感染/膿がたまる 中央に芯や膿/赤く痛むことが多い
アトピー性皮膚炎
⇒湿疹やかゆみ/カサカサの肌 左右対称の赤みやカサつき/じゅくじゅくすることも
水痘(水ぼうそう)
⇒全身に水ぶくれが次々と出る かゆみ強め/熱あり/新旧の水疱が混ざる
梅毒の丘疹(成人で)
⇒性感染症/体幹に赤い発疹や小いぼ 思春期以降・性行為歴あり/血液検査で判別
予防のポイント
いぼに触れた手はしっかり洗う
タオル・衣類の共用を避ける
プールや入浴後はシャワーで洗い流す
スキンケアで湿疹や乾燥を防ぎ、肌のバリア機能を保つ
☆ 園や学校では、医師の判断でプールが可能なことも多いです。心配な場合は事前に相談しましょう。
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
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