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60代 男性のご相談

爪白癬ってどんな病気?

医師の回答

爪白癬は白癬菌(はくせんきん)というカビ[真菌(しんきん)]が爪に寄生することで起こる感染症です。

〜爪が白く濁る・ボロボロする…それ、「爪の水虫」かも!?〜
爪白癬は白癬菌(はくせんきん)というカビ[真菌(しんきん)]が爪に寄生することで起こる感染症です。
爪が白~黄色に濁って厚くなることが多く、かゆみはありません。
始めは見た目が悪くなる程度ですが、放置して爪が厚くなり変形すると靴にあたって痛みを感じたり、
歩きにくくなったりすることがあります。多くは足白癬(みずむし)を放置していた人に起こります。

爪白癬(つめはくせん)は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)が爪の中に入り込んで起こる感染症で、いわゆる「爪の水虫」として知られています。多くは足の爪に見られますが、まれに手の爪にできることもあります。初期にはかゆみや痛みがなく、ただ見た目が少し変わる程度のため放置されがちですが、進行すると爪が分厚くなり変形したり、靴に当たって痛くなったり、歩きづらくなることもあります。

この病気は、足白癬(いわゆる水虫)を放置していた場合に、そこから爪へ菌が入り込んで発症することが多く、特に中高年や男性、立ち仕事やスポーツをしている方、高齢者、糖尿病や免疫力が低下している方に多くみられます。また、ジムや温泉、家族間でスリッパやマットなどを共有することで感染が広がるケースもあります。

爪白癬の主な見た目の特徴としては、「爪が白く濁る」「黄ばんでくる」「厚くなってボロボロと崩れる」「表面がガサガサ・デコボコする」「爪の端が剥がれてくる」などが挙げられます。痛みはほとんどありませんが、サンダルなどで足を出すのをためらう方も多く、美容面でも悩みの原因になりやすい病気です。

診断には見た目だけでは不十分で、顕微鏡による検査や菌の培養が必要です。市販薬で対処しようとしても、原因が爪白癬でなければ効果が出ないため、まずは皮膚科での正確な診断が欠かせません。

治療は抗真菌薬(カビに効く薬)を使うことが基本で、外用薬または内服薬が選択されます。軽症〜中等度の場合には爪の表面に塗るタイプの外用薬(例:ルコナック®、クレナフィン®)が用いられ、週1回〜毎日塗布しながら、半年〜1年ほどの継続治療が必要です。爪が新しく生え変わる速度に合わせて治療を続けることで、健康な爪へと徐々に改善が見込めます。

注意したいのは、爪が見た目上きれいになっても、奥に白癬菌が残っていることがあり、中途半端に治療をやめると再発する可能性が高いという点です。医師の指示通り、完治まできちんと続けることが大切です。

放置すると、他の爪に感染が広がったり、家族にうつることがあります。また、糖尿病の方にとっては、足の小さな傷や潰瘍の引き金となり、より深刻なトラブルにつながるリスクもあるため、軽視せず早めに対処しましょう。

「爪が濁ってきたけれど、これって加齢?」「市販薬で治らない」「人前で足を出せない」「分厚くて爪が切れない」など、気になる症状があるときは、皮膚科での検査を受けて原因を特定しましょう。当院では、顕微鏡検査による正確な診断、外用・内服を含めた最適な治療提案、再発防止のための生活指導までトータルで対応しております。

✅ 治療薬一覧(保険適用)
◆ ①【内服抗真菌薬(全身療法)】
テルビナフィン塩酸塩 ラミシール® 1日1回 6か月間/最も使用されている内服薬
イトラコナゾール イトリゾール® 1日2回 1週間服用+3週間休薬 ×3クール(パルス療法)
ホスラブコナゾール ネイリン®カプセル(爪専用) 週1回服用/12週間/2021年保険適用の新薬/副作用少なめ・飲みやすい

📌 肝機能検査が必要:内服中は定期的な血液検査で肝臓・腎臓のモニタリングを行います。

◆ ②【外用抗真菌薬(塗り薬)】
エフィナコナゾール クレナフィン®爪外用液10% 1日1回、患部の爪に塗布/爪白癬専用外用剤・保険適用あり
ルリコナゾール ルコナック®爪外用液5% 同様に1日1回塗布/皮膚科で処方される
市販薬 市販には爪白癬専用薬はなく、皮膚用の水虫薬のみ(効果不十分)

📌 外用薬は爪の伸びに合わせて長期(半年~1年以上)塗る必要あり。軽症例や内服できない人向け。

✅ 治療の選び方
中等症〜重症(広範囲) 内服薬が第一選択(治癒率高い)
軽症・単爪・高齢者・内服NG 外用薬(クレナフィン®など)で対応可能
内服+外用 両方併用することで治癒率が上がることもあり(医師の判断で)

 🔬 病院で何を調べるの?

・顕微鏡検査(KOH検査)
・必要に応じて「真菌培養検査」
・治療に入る前の血液検査(必要な場合のみ)
 ⇒内服薬(抗真菌薬)を使う予定がある場合、事前に肝機能検査などを行うことがあります

 

🔍 爪白癬と間違えやすい類似疾患

 乾癬性爪病変

⇒爪の変形・黄変・点状くぼみ/乾癬の皮ふ症状がある 爪の周りに赤み/頭皮やひじ・ひざにも皮疹あり

 爪甲色素線条(黒い線)

⇒縦に黒い線/色素の沈着 色の変化が黒〜茶色/急に広がる場合は要注意

 外傷による爪変形

⇒衝撃・圧迫で爪が変色・割れる・変形 原因に心当たりがある/特定の指だけ変化

 接触皮膚炎(かぶれ)

⇒ネイル製品・洗剤などの刺激で爪が変形 左右差あり/爪周囲の皮膚も荒れていることが多い

 薬剤性変化(抗がん剤など)

⇒爪がもろくなる・縦すじ・黒ずむことも 複数の爪に同時/薬の使用歴がカギ

 爪母腫瘍(良性・悪性)

⇒爪の下にしこり/変形・出血することも 痛み・急な変化・色素沈着があれば要精査

 加齢変化・栄養不良

⇒爪が乾燥して白っぽくなる・縦すじが目立つ 真菌なし/全身状態の影響もあり/左右対称が多い

予防のポイント
・足と爪を清潔・乾燥に保つ
・靴・靴下の管理を見直す
・家族との共有アイテムに注意
・水虫(足白癬)を放置しない
・爪の異変は早めに皮膚科へ

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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