
40代 女性のご相談
口腔内アフタってどんな病気?

医師の回答
口腔内アフタは、口の中に生じるアフタ(粘膜に生じる直径3~10mmくらいの円形ないし楕円形、卵円形の境界明瞭な白っぽい窪み)です。 口腔内にできた傷から感染して、炎症を起こすことで発症したり、免疫力が低下することで発症したりします。

〜口の中の白い“できもの”、しみて痛い…それ「アフタ」かもかも!?〜 口腔内アフタは、口の中に生じるアフタ(粘膜に生じる直径3~10mmくらいの円形ないし楕円形、卵円形の境界明瞭な白っぽい窪み)です。
口腔内にできた傷から感染して、炎症を起こすことで発症したり、免疫力が低下することで発症したりします。
白苔(はくたい)をつけた潰瘍が、ひとつないしは複数できることがあります。
痛みを伴い、約10日で傷跡を残さずなくなりますが、繰り返し生じることもあります。
口腔内アフタ(こうくうないアフタ)とは、口の中の粘膜にできる白っぽい小さな潰瘍(かいよう)で、「アフタ性口内炎」とも呼ばれる非常に一般的な炎症性疾患です。アフタは、直径3〜10mmほどの円形〜楕円形で、中央が白〜黄色く、周囲が赤く縁取られているのが特徴です。しみるような痛みを伴い、特に食事や会話のときに強く痛みを感じることがあります。
できやすい場所としては、舌の側面や先端、唇の裏側、頬の内側、歯ぐき、上あご、口の奥など、やわらかい粘膜部位が中心です。1個だけできることもあれば、複数個同時にできることもあります。見た目は似ていても、アフタの原因は一つではなく、ストレス・疲労・寝不足・免疫力の低下・栄養不足(特にビタミンB群や鉄分)・口の中の小さな傷・ホルモンバランスの変化など、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。
症状の経過としては、最初はピリピリ・チクチクした違和感から始まり、1日ほどで白っぽい潰瘍が形成され、3〜7日目あたりに痛みのピークを迎えます。その後、10〜14日ほどで自然に治癒し、通常は傷跡も残りません。ただし、何度も繰り返しできるタイプの人もおり、体質や生活習慣との関連が指摘されています。
治療としては、軽症であれば自然に治ることも多いため、日常生活でのセルフケアが基本です。口腔内を清潔に保つこと(やさしく歯みがき)、刺激物(辛い・酸っぱい・熱いもの)を避けること、十分な休養と栄養をとることが重要です。痛みがつらい場合には、ステロイド含有の口腔用軟膏(ケナログなど)や、アズレン含有のうがい薬、ビタミンB2・B6や鉄剤の内服、必要に応じて鎮痛剤(アセトアミノフェン)などが使われます。市販薬で改善しないときや、アフタがたくさんできている場合は、皮膚科や内科での診察が推奨されます。
また、2週間以上治らない場合、頻繁に繰り返す場合、発熱やだるさを伴う場合、あるいは口以外(目や性器)にも同様の症状が出ている場合には、ベーチェット病などの全身性疾患の可能性もあるため、注意が必要です。こうした症状がある方は、早めに専門医を受診することが大切です。
「たかが口内炎」と軽く考えてしまいがちですが、実は体の不調を教えてくれる大切なサインであることもあります。「毎月のようにアフタができる」「忙しい時期になると決まって痛くなる」「市販薬で良くならない」など、気になる症状があるときは、一度医師に相談してみましょう。
✅ アフタ性口内炎に使われる主な治療薬
①【ステロイド外用薬】★第一選択
トリアムシノロンアセトニド アフタゾロン軟膏, ケナログ口腔用軟膏 軟膏 炎症・痛みを抑える。患部に直接塗布
デキサメタゾン デキサルチン軟膏 軟膏 強めの抗炎症効果
プレドニゾロン プレドネマなど(うがい用粉末) 含嗽剤 広範囲に複数アフタがあるときに有効
🔸 食後・就寝前に綿棒などで患部に塗布
🔸 患部が乾いている状態で塗るのがコツ
🔸 5~7日以内で改善しない場合は再評価を
②【貼付タイプの局所治療薬】
アフタッチA(ステロイド含有) アフタに貼り付けて、薬剤を局所的に長時間作用させる
ケナログ貼付剤(調剤) 痛みが強いときや話す・食べるのがつらいときに有効
🔸 貼付できる部位(唇の内側・頬の粘膜など)に限る
🔸 舌下・口蓋などには不適
③【痛みの緩和:鎮痛・麻酔成分入り製剤】
アズノールうがい液(アズレン) 炎症を抑え、粘膜を保護
ベンジダミン(ハリゾンうがい液) 抗炎症+鎮痛作用
表面麻酔薬(リドカイン含有ジェル) 一時的に痛みをブロック。小児用に使用されることも
④【ビタミン剤(補助療法)】
ビタミンB2 ビタミンB2製剤、チョコラBBなど 粘膜の再生促進
ビタミンB6 ピリドキサールなど 補助的に処方されることあり
ビタミンC シナールなど 炎症抑制作用、組織修復補助
⑤【再発を繰り返す場合の治療】
口腔内ヘルペスとの鑑別必要 アシクロビル(抗ウイルス薬)など
ベーチェット病や潰瘍性大腸炎の一症状 免疫抑制剤やコルヒチン
難治性・多発性 ステロイド内服(短期)などを検討することもあり(専門医管理下)
✅ 市販薬で使える代表例(軽症の場合)
ケナログ口腔用軟膏 ステロイド 薬局で購入可(第1類医薬品)
アフタッチA ステロイド 貼付剤タイプ(第2類)
アズレンスルホン酸Na含嗽液 アズノールなど うがい薬として使用
「もしかして口腔内アフタかも…」と思ったら?
自分で判断せずに皮ふ科へ相談を!
当院では、スマホで受けられるオンライン診療も対応しています
症状の確認からお薬の処方まで、自宅から気軽にご相談ください
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
🔬 病院で何を調べるの?
病院での診察・検査の流れ
調べること | 内容 | 目的 |
---|---|---|
視診・問診 | 見た目、痛み、発症状況など | アフタの診断と背景把握 |
血液検査 | 栄養状態や免疫のチェック | 繰り返す・治りにくいアフタの原因特定 |
自己免疫チェック | ANA、CRPなど | ベーチェット病などの全身疾患の除外 |
必要に応じて生検 | 組織の確認 | 悪性病変や他疾患の鑑別 |
🩺 よくある間違えやすい病気(鑑別)
単純ヘルペスウイルス感染
⇒小さな水ぶくれから痛みが出て潰瘍化 水疱→びらんの順/唇や口角に多い/再発しやすい
カンジダ性口内炎
⇒白いコケのようなものが広がる/赤みと灼熱感あり 免疫低下・抗生物質使用後に多い/舌全体や口角にも出やすい
ベーチェット病
⇒口内アフタ+外陰部潰瘍・目の炎症・皮膚症状など全身に症状 くり返すアフタ+他の部位の症状があれば要精査
外傷性潰瘍
⇒入れ歯・歯列矯正・歯ブラシの刺激などで潰瘍ができる 明確な刺激・接触が原因/繰り返さないことが多い
アフタを繰り返さないためにできること
予防ポイント | 内容 |
---|---|
栄養管理 | ビタミンB群・鉄・亜鉛を意識的に摂取 |
休息 | 睡眠・疲労回復の時間をしっかり確保 |
口腔ケア | やさしく歯磨き、清潔を保つ |
刺激の回避 | 辛い・酸っぱい・熱いものを控える |
ストレス対策 | リラックス法を習慣化する |
医師の相談 | 頻回なら内科や皮膚科で栄養・疾患チェック |
「毎月アフタができてつらい」「大事なときに限って口内炎が…」という方には、ビタミン補充療法や生活習慣指導が効果的です。
<参考資料>
ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。
アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。