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20代 女性のご相談

虫刺症・毛虫皮膚炎ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ ハチやムカデに刺された後、腫れが急速に広がる
◻︎ 息苦しさ・めまい・意識の混濁がある
◻︎ 強い痛みや発熱を伴う
◻︎ 顔面などに強い腫れや水疱が出てきた

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医師の回答

虫刺症は、蚊、ブヨ、ハチなどの昆虫から刺されたり、咬まれたり、吸血されることによって生じる皮膚炎です。

赤くはれて、かゆい・痛い!…
その皮膚トラブル、虫が原因かも!?

虫刺症は、蚊、ブヨ、ハチなどの昆虫から刺されたり、咬まれたり、吸血されることによって生じる皮膚炎です。 虫刺症の症状は、年齢や体内に入った昆虫の唾液や血液毒物量、アレルギー反応の程度によって 個人差がありますが、赤い発疹[紅斑(こうはん)]を伴い皮膚がやわらかく盛り上がる、 ブツブツしたもの[丘疹(きゅうしん)]ができるなどの症状がみられます。強いかゆみを伴うこともあります。 毛虫皮膚炎は、チョウやガの幼虫であるケムシのなかで、有毒な毛を持っているケムシに触れたり、 毛が皮膚に付いたりした場合に生じる皮膚炎のことです。腕や首に強いかゆみを伴う赤い ブツブツ[丘疹(きゅうしん)]がたくさん生じ、掻くことで周囲に広がります。

T.Mさん

公園で子どもと遊んだ翌朝、首と前腕にチクチクする赤いブツブツが多数出現。強いかゆみで夜も目が覚め、掻くと周囲に広がる感じがありました。前日に木陰に長くいたため毛虫かもと不安に。毒毛をこすり広げないことを意識して触らずにいました。

オンラインで皮膚科に相談し、まずは流水と石けんで洗い、冷タオルで冷却、衣類も洗濯するよう指示。処方の外用薬でかゆみが落ち着き、掻き壊しを防げました。毛虫皮膚炎は数時間〜半日で出ることがあると知り、屋外では長袖や虫よけを習慣にすることにしました。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

刺された直後〜数時間で赤いはれや強いかゆみ

丘疹や水ぶくれが出る

線状にブツブツが並ぶ(毛虫皮膚炎の特徴)

02

経過・持続

掻くと周囲に広がる

春〜秋の屋外活動後に目立つ

03

随伴症状・背景

ハチ・ムカデに刺された、または毛虫の毒毛に触れた可能性

発熱や痛みがある

呼吸苦、めまい、意識の混濁がある

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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虫刺症・毛虫皮膚炎とは?

春から秋にかけて、屋外で過ごす機会が増えるとともに、「虫刺され」による皮膚トラブルが増えてきます。特に、蚊やブヨ、ハチなどの昆虫に刺されたり、毛虫の毒毛に触れたりすることで起こる皮膚炎は、「虫刺症(ちゅうししょう)」や「毛虫皮膚炎(もうちゅうひふえん)」と呼ばれ、かゆみや痛み、腫れなど強い不快感を引き起こします。

虫刺症は、蚊・ブヨ・ノミ・ダニ・アブ・ハチなど、さまざまな昆虫に刺されたり吸血されたりすることで起こります。刺された直後から数時間後にかけて、赤く腫れてかゆくなったり、痛みを感じたり、ブツブツ(丘疹)や水ぶくれができることがあります。特にハチやムカデなど一部の虫に刺された場合には、強い腫れや発熱、さらにはアナフィラキシーショックといった全身反応が起こることもあり、注意が必要です。

一方、毛虫皮膚炎は、チャドクガやイラガ、ドクガといったガやチョウの幼虫である毛虫が持つ毒毛(どくもう)に触れることによって起こる皮膚炎です。直接触れていなくても、風に舞った微細な毒毛が皮膚に付着するだけで発症することがあり、気づかないうちに症状が出るケースもあります。数時間〜半日ほどで、赤いブツブツ(丘疹)が首や腕、太ももなどの露出部に多数出現し、チクチク・かゆみが強く、掻くことで広がってしまうのが特徴です。ときに、ブツブツが線のように並んで現れることもあります。

こうした虫刺されによる皮膚炎は、肌が敏感な子どもや、高齢者、また屋外で過ごすことが多い方に多く見られます。公園での散歩や庭いじり、キャンプや畑仕事、草むらの近くでの活動のほか、ベランダで洗濯物を干しているだけでも、毛虫の毛が飛んできて皮膚炎が起こることがあるため、思いがけない場面で発症することもあります。

治療は、症状に応じた外用薬や内服薬を使用します。かゆみや赤み・腫れにはステロイド外用薬が有効で、かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬の内服を併用します。発熱や痛みを伴う場合には、解熱鎮痛薬を使用することもあります。毛虫皮膚炎の場合には、毒毛をこすり広げてしまわないように注意し、洗い流す・冷やすなどの処置が重要です。悪化や跡を防ぐためにも、症状が強い場合には皮膚科での早めの診察をおすすめします。

虫刺されに対するセルフケアも大切です。まず、掻きむしらないことが基本で、掻くことで「とびひ(伝染性膿痂疹)」の原因になることもあります。刺された部位は水や石けんで優しく洗い流し、冷タオルや保冷剤で冷やすことでかゆみを和らげましょう。毛虫に触れた可能性がある場合は、衣類にも毒毛が付着していることがあるため、衣類や寝具をしっかり洗濯することも忘れずに行ってください。また、ハチやムカデなどによる刺傷で、腫れが急速に広がったり、呼吸が苦しくなったり、めまいや意識の混濁がある場合には、すぐに救急を受診する必要があります。

応急処置(今日できること)

  • 刺された/触れた部位を水や石けんでやさしく洗い流す

  • 冷タオルや保冷剤で冷やしてかゆみを和らげる

  • 掻きむしらない(とびひの原因になるため)

  • 毛虫の可能性がある場合は衣類・寝具を洗濯する

  • 腫れが急速に広がる、呼吸苦・めまい・意識の混濁があれば救急受診を検討

一般的な虫刺症・毛虫皮膚炎治療に使われる薬

◆ ①【外用薬(塗り薬)】
ステロイド外用薬 ロコイド®、キンダベート®、リンデロン-VG® など 炎症・かゆみ・腫れを抑える/早期に使用が効果的
抗ヒスタミン外用薬 レスタミンコーワ軟膏®、ジフェンヒドラミンなど 軽いかゆみ対策/市販薬でも使用可(※重症には不十分)
抗菌薬配合軟膏 ゲンタシン®軟膏、フシジン酸など 掻き壊しによる二次感染予防に/化膿している場合に使用
局所冷却剤 カチリ®、メントール含有ローションなど 一時的にかゆみを和らげる補助剤として使われることも

◆ ②【内服薬】
抗ヒスタミン薬 アレグラ®、クラリチン®、タリオン®、ザイザル® など かゆみの強い例や広範囲の場合に使用
ステロイド内服薬(短期) プレドニゾロン® など 重症例(広範囲・腫れ・水疱・顔の虫刺されなど)で短期間使用
抗菌薬(内服) セファレキシン、アモキシシリンなど とびひ(伝染性膿痂疹)などの二次感染を起こした場合に追加されることも

病院で何を調べるの?

虫に刺された記憶の有無(屋外活動・寝具など)

必要に応じてダニや真菌の検査/皮膚スクラッチテストもします

かゆみ・赤み・水疱の性状で判断できることが多いです

「虫刺症・毛虫皮膚炎」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

接触皮膚炎(かぶれ)

植物・金属・化粧品などの刺激でかゆみ・赤み 接触した部位に一致/境界がくっきり/左右非対称

多形紅斑

的(まと)のような赤い斑点/かゆみ・痛みあり 左右対称・手足に多い/虫に刺された部位と無関係

蕁麻疹(じんましん)

かゆくて赤くふくらむ/数時間で消える 出たり消えたり/全身にランダムに出る/日替わりで場所が変わる

水痘・帯状疱疹

水ぶくれ・痛み・発熱/ウイルス感染 片側に帯状/痛みが強い/水疱が多発する

伝染性膿痂疹(とびひ)

子どもに多い/かき壊し→うつる/水疱やかさぶた 赤ちゃん~学童期に多い/どんどん広がる/まわりの人もうつることも

疥癬(かいせん)

手指・おなか・わきなどに強いかゆみ/夜間悪化 家族にも同じ症状/線状の発疹/高齢者施設でも注意

汗疱(かんぽう)/異汗性湿疹

手足に小さな水ぶくれ/汗で悪化 繰り返す/左右対称/水疱は透明で小さい

真菌感染(白癬など)

赤くてふちがある/かゆい/皮むけ 境界くっきり/中央が治って周囲が赤い“リング状”

虫刺症・毛虫皮膚炎の特徴をチェック!

◻︎ ハチやムカデに刺された後、腫れが急速に広がる
◻︎ 息苦しさ・めまい・意識の混濁がある
◻︎ 強い痛みや発熱を伴う
◻︎ 顔面などに強い腫れや水疱が出てきた

▶︎ これらに当てはまれば、「虫刺症・毛虫皮膚炎」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 腫れが急速に広がる
◻︎ 息苦しさ・めまい・意識の混濁
◻︎ 強い痛みや発熱を伴う
◻︎ 顔面の強い腫れや水疱
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:呼吸苦、意識の混濁、急速に広がる腫れがある

早めに受診:強いかゆみや広範囲の発疹、発熱・痛み・水疱を伴う、顔面の症状

様子見可:軽いかゆみで限局し、セルフケア(洗浄・冷却)で落ち着いている

予防のポイント

  • 草むら・樹木の下では長袖・長ズボン・帽子を着用

  • 虫よけスプレーなど市販の虫よけ製品を活用

  • ベランダや庭木に毛虫がいないか観察・剪定

  • 洗濯物は取り込む前によく振る

FAQ

Q1. 受診時はどんな検査をしますか?

症状や経過を確認し、必要に応じて ダニや真菌の検査、または 皮膚スクラッチテスト を行います。

Q2. どれくらいで症状が出ますか?

虫刺症は 刺咬直後〜数時間、毛虫皮膚炎は 数時間〜半日 で出現することがあります。

Q3. 市販薬でも対応できますか?

軽いかゆみには 外用抗ヒスタミン薬 が使えますが、重症には不十分です。強い腫れ・広範囲・発熱や痛みがあれば受診してください。

Q4. 毛虫に触れたかもしれません。まず何をすべき?

早めに 水や石けんで洗い流す、その後 冷却 を。衣類や寝具も洗濯し、掻き壊しを避けてください。

Q5. ハチやムカデの刺傷で注意するサインは?

呼吸苦・めまい・意識の混濁、または 急速に広がる腫れ は救急受診を検討してください。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。