
30代 女性のご相談
《汗疱(異汗性湿疹)》ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説
⚠️まずは緊急度をチェック
□小さな水ぶくれが破れてジュクジュクし、痛みが出ている
□かゆみが強く、掻き壊してしまう/広がって湿疹化している
□くり返し再発して、セルフケアでおさまらない
□金属アレルギーが疑われ、原因の見当がつかない(検査を検討)
▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を
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医師の回答
手のひらや足の裏、指の周囲などに小さな水ぶくれが突然現れる皮膚のトラブルです。水ぶくれは2〜5mm程度と小さく、潰れると皮がむけてガサガサになります。多くの場合、かゆみを伴いますが痛みはほとんどありません。春から夏にかけて症状が悪化しやすく、何度もくり返すのが特徴です。
手のひらや足のうらに小さな水ぶくれ
それ、汗のトラブルかもしれません...
汗疱(かんぽう)とは、主に手のひらや足の裏、指の側面や股などに、2〜5mmほどの小さな水ぶくれが突然できる皮膚の病気です。水ぶくれは透明〜白く濁っており、強いかゆみを伴うことが多いですが、痛みはほとんどありません。潰れると皮がむけてガサガサになり、見た目にも不快です。


H.Tさん
毎年初夏になると手のひらに細かい水ぶくれが出て、家事の後は特にかゆみがつらくなりました。掻いてしまい皮がむけてガサガサに。受診して病名を知り、汗をためない工夫と塗り薬で少しずつ落ち着きました。外出時は汗を拭き取り、帰宅後は洗浄→保湿を習慣に。水仕事は手袋で刺激を減らしています。再発はあるものの、早めに対処すると悪化しにくいと学びました。無理に我慢せず、相談して良かったです。
30秒セルフチェック/診断チャート
01
部位:手のひら/足裏/指の側面に出ている → はい/いいえ
02
見た目:2〜5mmの小さな透明〜白濁の水ぶくれ → はい/いいえ
03
症状:強いかゆみ(痛みは少ない) → はい/いいえ
04
経過:潰れて皮むけ・乾燥になる → はい/いいえ
05
季節:春〜夏に悪化しやすい/くり返す → はい/いいえ
結論
はいが多い:汗疱が疑われます。軽症ならセルフケア、悪化・長引く場合は受診/オンライン相談を。
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応急処置(今日できること)
- 汗をこもらせない:こまめに拭く/乾かす
- 冷却でかゆみを鎮める(こすらない)
- 掻破予防:爪を短く・綿手袋を活用
- 保湿でバリア補助:洗浄後に保湿
- 水仕事は手袋+短時間、洗剤など刺激物はガード
一般的な汗疱(異汗性湿疹)に使われる薬
① 【外用薬(塗り薬)】
・ステロイド外用薬(炎症・かゆみを抑える)※基本治療
モメタゾンフランカルボン酸 フルメタ など
ベタメタゾン酪酸 アンテベートなど
ベタメタゾン吉草酸 リンデロン-V など
・補助的に使う外用薬
ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど) 乾燥やひび割れの保湿・再発予防
ウレパール・パスタロン 皮むけ・角化が強いとき(ただし刺激注意)
② 【内服薬】
・ 抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)
フェキソフェナジン(アレグラ)
レボセチリジン(ザイザル)
オロパタジン(アレロック)など
・ 金属アレルギーが疑われる場合
金属除去目的の食事療法・パッチテスト
トラブルが明確な場合、皮膚科で検査・指導

「汗疱」と似ている症状の病気(鑑別疾患)
手湿疹(主婦湿疹)
手全体にカサカサ・ひび割れ・かゆみ 水ぶくれよりも乾燥とひび割れが中心/手荒れや水仕事がきっかけに
白癬(足の水虫)
足の裏や指の間にジュクジュク・皮むけ・かゆみ 真菌検査(KOH検査)でカビが検出/かゆみが強く慢性化しやすい
接触皮膚炎
アレルギー物質・刺激で皮膚に赤み・水ぶくれ 原因物質がはっきりしている/範囲がくっきりしていることも
膿痂疹(とびひ)
水ぶくれが破れてかさぶたに/子どもに多い 細菌感染が原因/うつることも
汗疹(あせも)
細かい赤いブツブツ/かゆみ中心 背中・首に多く、手足にはあまり出ない/赤くかゆいが水疱は少ない
掌蹠膿疱症
手のひらや足の裏にうみをもったしこりが出る 繰り返し膿疱が出現/関節症状を伴うことも
汗疱(異汗性湿疹)の特徴をチェック!
□小さな水ぶくれが破れてジュクジュクし、痛みが出ている
□かゆみが強く、掻き壊してしまう/広がって湿疹化している
□くり返し再発して、セルフケアでおさまらない
□金属アレルギーが疑われ、原因の見当がつかない(検査を検討)
▶︎ これらに当てはまれば、「汗疱(異汗性湿疹)」や関連する疾患の可能性があります
⚠️緊急度をチェック!
▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を
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受診の目安(タイムライン)
当日〜翌日:ジュクジュク・痛みがある、湿疹化してつらい
早めに受診:毎年再発する/セルフケアで改善しにくい/金属アレルギーが疑われる
様子見可:小水疱が少数で軽いかゆみ・生活に支障が少ない(悪化時は受診へ)
予防のポイント
洗浄後はすぐ保湿、清潔+バリア補助
汗はこまめに拭く・乾かす
手袋で洗剤や刺激物から防御
睡眠・休養でストレスケア
金属アレルギーがある人は食事に注意(チョコ・紅茶・豆類などニッケルを含む食品)
FAQ
Q1. なぜ春〜夏に悪化しやすいの?
高温多湿で汗がこもりやすく、刺激になりやすいためです。
Q2. 痛みはありますか?
本症は小水疱が“群れて”出て高熱を伴いやすく、急速に広がる点が特徴です。とびひは黄色い痂皮で発熱は少なめ、水ぼうそうはワクチン歴や家族内感染が手掛かり、かぶれは触れた部位に限局しやすいです。
Q3. くり返すのは普通?
再発をくり返すことが特徴です。長引く・つらい場合は治療の見直しを。
Q4. 金属アレルギーと関係ありますか?
関与する場合があり、その際はパッチテストや食事指導を皮膚科で行います。
監修薬剤師/公衆衛生学修士
畔原 篤 Atsushi Azehara
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
執筆者
ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。