
20代 女性のご相談
蕁麻疹・血管浮腫ってどんな病気?

医師の回答
蕁麻疹は、虫に刺されたようなみみずばれや赤みが突然あらわれ、多くはかゆみを伴う皮膚の病気です。


〜突然あらわれてかゆい「赤み」や「腫れ」…その正体は?〜 蕁麻疹は、虫に刺されたようなみみずばれや赤みが突然あらわれ、多くはかゆみを伴う皮膚の病気です。
蕁麻疹の発症にはアレルギーや物理的な刺激などが関わっていますが、ほとんどは原因が不明です(特発性)。
発疹は全身のどの部位でもみられますが、これらの発疹は原則的に24時間以内に跡形もなく消失します。
血管浮腫は蕁麻疹の一種で、まぶたやくちびるなどが突然腫れて、数日続く病気です。多くの場合、
原因は不明ですが、特定の病気や薬剤が原因となっていることもあります。
口の中や気道の粘膜がはれた場合、ときに呼吸困難やショックに至ることがあります。
蕁麻疹(じんましん)とは、皮膚に突然あらわれる赤みと膨らみ、強いかゆみを特徴とする発疹の総称です。蚊に刺されたような小さな膨疹が数時間以内に消えるのが典型的で、顔や手足、体幹など全身に出現し、移動することもあります。通常は24時間以内に跡を残さず消えますが、6週間以上繰り返す場合は慢性蕁麻疹と呼ばれます。
一方、血管浮腫(けっかんふしゅ)は蕁麻疹に似ていますが、より深い皮膚や粘膜に腫れが生じる状態です。まぶたや唇、のど、手足などが急に腫れ、赤みが少なく「むくみ」のように見えるのが特徴です。蕁麻疹と同時に出ることもあれば単独で起こることもあり、のどや舌に起こると呼吸に支障をきたすことがあるため注意が必要です。
【主な原因】
食物(魚介類、卵、ナッツなど)によるアレルギー反応
薬剤(解熱鎮痛薬、抗生物質など)の副作用
温度変化や発汗、運動、日光刺激
感染症(風邪、胃腸炎など)や精神的ストレス
特発性(原因が特定できない場合)
血管浮腫では特定薬剤(ACE阻害薬など)や遺伝的要因
蕁麻疹は年齢を問わず発症し、アレルギー体質や疲労・ストレスが多い人に起こりやすい傾向があります。慢性蕁麻疹を持つ人や特定の食物・薬剤に敏感な人も注意が必要です。血管浮腫は家族歴がある場合や遺伝性タイプ(遺伝性血管浮腫)で見られることがあります。
経過は、多くが一過性で数時間から数日で消退しますが、掻破による悪化や再発を繰り返すと慢性化することがあります。乾燥、汗、摩擦、ストレス、発熱などが悪化因子となりやすく、呼吸困難を伴う場合は救急対応が必要です。早期に受診して適切な治療を行うことが、生活の質を守るために大切です。

✅ 治療に使われる主なお薬
◆ ①【第一選択薬:抗ヒスタミン薬(内服)】
第2世代抗ヒスタミン薬 フェキソフェナジン アレグラ 眠気少なめ。長期使用可能
〃 エバスチン エバステル やや強力。持続時間も長い
〃 オロパタジン アレロック 効果高め。眠気が出ることも
〃 セチリジン/レボセチリジン ジルテック/ザイザル 比較的早く効く。夜間かゆみにも
※第1世代 クロルフェニラミンなど ポララミンなど 眠気が強く、頓用に使われることもあり
◆ ②【補助薬・追加薬】
H2ブロッカー ファモチジンなど H1受容体に加えて補助的に使われることがある
抗ロイコトリエン薬 モンテルカスト(キプレス®)など 難治性慢性蕁麻疹で追加されることがある
漢方薬 十味敗毒湯、柴胡桂枝湯など 慢性蕁麻疹や体質改善に補助的に用いられる
◆ ③【重症・難治例】
ステロイド内服 プレドニゾロン(短期限定)。強い浮腫・全身症状の時に
アドレナリン筋注 血管浮腫で呼吸困難・アナフィラキシー疑い時(エピペン®)
オマリズマブ(ゾレア®) 抗IgE抗体。慢性特発性蕁麻疹の難治例に保険適用(注射薬)
C1インヒビター補充療法 遺伝性血管浮腫(HAE)に対して使用(保険診断が必要)
◆ 病院で何を調べるの?
- 視診・問診:発疹の形態や出現・消失の時間、かゆみの強さ、発症状況を確認します。問診では食事や薬、生活習慣、既往歴も含め、原因特定の手がかりを探ります。
- 血液検査:アレルギーに関連する総IgE値や特異的IgE抗体、炎症マーカー(CRPなど)を測定します。感染や全身状態を把握する目的もあります。
- パッチテスト:皮膚に原因と疑われる物質を貼付し、48〜72時間後に反応を判定します。外用剤は中止して臨む必要があり、かぶれや薬剤性蕁麻疹の鑑別に役立ちます。
- 負荷試験(食物・薬物):医師管理下で原因と疑う食品や薬を少量から摂取し、症状の有無を確認します。リスクを伴うため、専門施設で慎重に行われます。
- 皮膚生検:慢性・難治性の場合に、皮膚組織を採取して顕微鏡で観察します。他の皮膚疾患との鑑別や血管性浮腫の原因探索に有用です。
- 補体検査:特に遺伝性血管浮腫が疑われる場合、C1インヒビターやC4の測定を行います。血管浮腫の病型を分類し、治療方針を決めるために必要です。
🔍 蕁麻疹・血管浮腫と間違いやすい病気(類似疾患)
多形紅斑(たけいこうはん)
⇒ターゲット状の赤い発疹/手足に多い 数日以上続く/中心に色が変わる特徴あり
伝染性膿痂疹(とびひ)
⇒かゆみ+水ぶくれ/かきこわして広がる 子どもに多い/細菌感染でジクジクがある
接触皮膚炎(かぶれ)
⇒アレルゲン・刺激物によって赤く腫れる 決まった場所に出る/左右非対称のことが多い
薬疹(薬による発疹)
⇒薬の服用後に全身に出る発疹 内服から数日後に出現/発熱・粘膜症状ありは重症
ウイルス性発疹症(風疹・麻疹など)
⇒発熱+全身の赤み/倦怠感も 症状が長引く/咳・目の充血など随伴症状あり
アナフィラキシー⇒食物・薬・虫刺されなどで全身に急性症状 呼吸困難・血圧低下を伴うことあり/命にかかわる緊急事態
遺伝性血管性浮腫(HAE)
⇒家族性に繰り返す腫れ/まぶた・腹部が腫れる 抗ヒスタミンが効かない/血液検査で補体異常あり
皮膚筋炎(初期)
⇒手背・顔に浮腫性紅斑/筋力低下 発疹が長期間続く/血液検査や筋電図で診断
予防のポイント
原因となる食物や薬を避け、記録を残す
入浴や運動による急激な体温変化に注意する
十分な保湿で皮膚の乾燥を防ぐ
ストレスをためず、規則正しい睡眠をとる
紫外線や汗の刺激をできるだけ減らす
掻きむしらないよう薬でかゆみを調整する
慢性型は医師の指示で内服を継続する
血管浮腫の家族歴がある人は早めに相談する
<参考資料>
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
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